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バイオハザード Fの起源  第5話 ジェイクの危機 地下

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レオンの指示を受け、Fウイルスの発生源を確かめるべく、ソニアとジェイクは地下へ続く階段を下りる。

すると冷たい空気が彼らの肌を刺した。
地下の廊下はさらに暗く、湿った空気が淀んでいる。
換気システムの機械音が、遠くから低く響いていた。

ソニアの視界には、その音源から放たれる熱と振動が、まるで生き物のように蠢く光の帯となって見えた。

「ジェイク、気をつけろ。この地下、どこかおかしい」

ソニアは囁いた。
彼女の視覚は、壁に付着したウイルスの痕跡が、廊下の奥へ向かうにつれて異常な速度で増殖していることを捉えていた。

それは、まるで生命力を持った何かが、地中深くに巣食っているかのような不気味さだった。

「おかしいって、何がだよ?」

ジェイクは警戒しながら、周囲を見回した。
彼の鋭い聴覚は、わずかな物音も聞き逃さないが、今は換気システムの音しか聞こえない。

その時、ソニアの視界の隅で、微かな、しかし決定的な変化が起こった。

壁の表面に張り付いていたウイルスの痕跡が、まるで呼吸しているかのように脈動し始めたのだ。

それは単なる細胞分裂ではない。もっと複雑で、まるで意識を持った生き物が蠢いているかのようだった。

「ジェイク!あそこだ!」

ソニアは指差した。
彼女の視線の先には、壁の奥深くに続く、見慣れない古びた鋼鉄の扉があった。

その扉の周囲には、ウイルスの痕跡が異様なまでに密集し、蠢いていた。
まるで、その扉の奥から、Fウイルスが漏洩しているかのように。

「なんだ、あれは…こんなところに扉なんてあったか?」

ジェイクは首を傾げた。
彼は以前、このペンタゴン内を視察したことがあったが、この扉の記憶はなかった。
それは、巧妙に隠された扉である可能性が高かった。

二人が扉に近づくと、ソニアの視界はさらに詳細な情報を捉えた。
扉の表面には、肉眼では見えないほどの微細な傷がびっしりと付いており、その傷一つ一つから、ウイルスの粒子がかすかに放出されているのが見えた。

まるで、扉自体がウイルスを培養しているかのようだった。

「ジェイク、この扉はただの扉ではないようだ。ここが、Fウイルスが最初に広がり始めた場所…」 

ソニアは息を呑んだ。
彼女の視覚は、ウイルスの「流れ」を追っていた。

その流れは、この扉の奥から発し、換気システムを通ってペンタゴン全体へと広がっていたのだ。
ジェイクは警戒しながら扉に手を触れた。
冷たい鋼鉄の感触。
そして、微かに振動しているような錯覚に囚われた。

「開かねぇ…ロックされてやがる」

ジェイクは扉を揺らしたが、びくともしない。
彼は乱暴な口調とは裏腹に、その表情は真剣そのものだった。

「何か、解除する装置があるはずだ…」

ソニアは目を凝らした。
扉の周囲の壁に、かすかに熱を発するわずかな突起があるのを捉えた。

それは、壁の模様に擬態しており、肉眼ではほとんど見分けがつかない。

「ここだ、ジェイク。この突起。何か仕掛けがあるはずだ」

ソニアは指差した。
ジェイクはソニアの指示通りに突起に触れると、カチッ、と小さな音がした。

そして、扉の周囲に、これまで見えなかった小さなパネルが浮かび上がった。

「…なんだこれ。暗証番号か?」

パネルには、数字のボタンが並んでいた。
ジェイクは首をひねる。
しかし、ソニアの視界は、パネルの表面に付着した微細な指紋の痕跡を捉えていた。

通常の目では見えないほどの、ごくかすかな油分と汗の跡。
そして、その指紋が、特定の数字のボタンに不自然に集中しているのが見えた。

「ジェイク、これだ。指紋の痕跡が、特定の数字に集中している。これが暗証番号だ」

ソニアは言った。
彼女の異常な視力は、まるで鑑識官のようだった。

ジェイクは驚きながらも、ソニアの指示通りに指紋の濃いボタンを押していった。
最後の数字を押すと、ガチャリ、と重々しい音がして、扉がゆっくりと内側へ開いた。

中からは、カビと鉄錆の混じったような、不快な臭いが漂ってきた。

「…何が待ってるか分かんねぇぞ」

ジェイクは拳銃を構え、ソニアの前に立った。
彼の瞳は、暗闇の奥を鋭く見据えている。
彼はいつもひねくれているが、いざとなれば頼りになる男だった。

扉の奥は、真っ暗な通路が続いていた。
ソニアの視界には、その通路の奥から、さらに大量のウイルスの粒子が放出されているのが見えた。
それは、まるでウイルスの巣のようだった。

「ジェイク、気を抜くな。ここが、きっと元凶だ」

ソニアは息を呑んだ。

彼女は、この通路の先に、ペンタゴンが隠し持つ真実が隠されていることを直感していた。
二人は、ゆっくりと通路の奥へと足を踏み入れた。

通路の両脇には、長らく使われていないらしく埃を被った研究機材が乱雑に置かれているのが、ソニアの視界にはぼんやりと見えた。
そして、その全てが、ウイルスの白い膜で覆われているかのようだった。

だが、その埃と黴の合間には、ごく最近まで使われたような生々しい痕跡や、異様な液体が滴る不自然なシミが点在していた。
まるで、この場所が誰かに再利用されているかのようだった。

「…これって、研究所か?」

ジェイクが呟いた。
彼の声には、僅かな驚きが混じっていた。

さらに奥へと進むと、通路は広がり、そこには大きな研究室のような空間が広がっていた。
空間の中央には、巨大なFウイルスの入った見たこともない形の試験管が、厳重に固定された特殊な保管ケースに収められているのが見えた。

そのケースから、微かな光が漏れ出している。
そして、その光の中心からは、ごく微量のウイルスの粒子が、まるで息を吹き返すかのように放出されているのが、ソニアの視界にはっきりと映し出された。

どうやら、保管ケースのどこかに微細なひび割れが生じ、そこからウイルスが漏れ出していたようだ。

「これは…!」

ソニアは言葉を失った。
試験管に収められたFウイルスは、彼女がこれまで見たことのない形をしていた。

それは、ただの細胞の集合体ではなく、かすかに脈動しているかのようにも見えた。

「おい、ソニア…あれは、何なんだ…?」

ジェイクの声は掠れていた。
彼もまた、その保管ケースから放たれる異様な雰囲気に、直感的な恐怖を感じ取っていた。
その時、ソニアは試験管ケースに厳重に保管されたファイルを見つけた。

ソニアはそれを開くと、視線を走らせた。

「適合者…ホークアイズ計画…」

ソニアの視覚が、その言葉を鮮明に捉えた瞬間、彼女の頭の中に、遠い記憶の断片が、走馬灯のように駆け巡った。

それは、エイダがかつて、何気ない口調で話していた「あなたの出生にはある種の『計画』が関わっている」という不穏な言葉と、奇妙に符合した。

「やっぱり…」

ソニアは思わず呟いた。
レポートには、Fウイルスの特性、そして、特定の条件下で「適合者」が生まれるという仮説が記されていた。
そして、そこに、彼女の父親のサインが記されていた。

ペンタゴンがFウイルスを隠蔽し、両親の情報を伏せていた理由が、少しずつ形を成していく。