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バイオハザード Fの起源  第5話 ジェイクの危機 地下

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全ては、彼女がこのウイルスと深い関わりがあるからだということを、この場に来て初めて突きつけられたのだ。

ペンタゴンは、この研究を既に終え、ただ保管しているだけだったのかもしれないが、結果として彼女の出生の秘密を隠し続けていたことに変わりはない。

その時、保管ケースの奥から、けたたましいアラートが鳴り響いた。

「どうした、ソニア!」

ジェイクの声が焦りをはらんだ。
保管ケースから、さらに強烈な光と、おぞましい脈動が放たれた。

ソニアの視界は、その光景を捉えると共に、彼女の脳に激しい痛みを伴う情報の奔流を送り込んできた。

「ぐっ…!」

ソニアは膝をついた。
彼女の視覚が、これまでの限界を超えた情報を捉え始めたのだ。

それは、漏れ出したウイルスの粒子が、単なる物質としてではなく、まるで意識を持ったものとして、彼女の脳に直接語りかけてくるかのようだった。

「ソニア!どうした!」

ジェイクがソニアに駆け寄ろうとしたその時、保管ケースから溢れ出したごく少量の、粘度の高い微かに緑色の蛍光を放つ奇妙な液体が床に広がっていた。

ジェイクが誤ってその液体に足を踏み入れた瞬間、焼け付くような痛みと共に、全身の細胞が共振するような不快感が彼を襲った。

それは、単なる電気ショックとは異なり、ウイルスの微小な針が無数の神経を同時に刺激するような、根本的な感覚だった。

「ぐあああああッ!」

足を踏み抜いたジェイクの体が、激しく痙攣した。

「ジェイク!」

ソニアは思わず叫んだ。

彼女の視覚は、ジェイクの体内を走るウイルスの独特な刺激が、周囲の空気から吸い込んでいたFウイルスの粒子と反応し、彼の体内で新たな変化を起こしているのを、鼻と喉の揺れ、顔色の赤味の変化などで捉えていた。

彼の体温が異常に上昇し、皮膚の下で、まるで無数の繊維が蠢いているかのような微細な動きが、顔色の赤味の変化などで捉えていた見えた。

「くっ…バカ…女…!何が…起きてん…だ…」

ジェイクは苦悶の表情でソニアを見た。
彼の体は、徐々にウイルスに侵食されていく。

「ジェイク…なんてことだ…」

ソニアは、保管ケースに収められたFウイルスが、何かに反応しているのを捉えた。
その何かは自分の目に見えない、しかし空気の動きは見える。

「周波数?」

それは、ごく微細な、しかし確実に存在する「共鳴点」だった。

「このウイルスには…弱点があるな」

ソニアはほそりとつぶやいた。
彼女の視覚は、保管ケースの隣に設置された緊急冷却装置が、わずかな熱を吸収していることを捉えていた。

それは、ウイルスの活動を抑制するための装置だと直感した。

「ジェイク!聞け!保管ケースの…その横にある、おそらく小型の冷却装置だ!あそこにあるのは危機管理のためだ。あれが、漏れ出したウイルスを死滅させるための周波数を発することができる!」

ソニアは叫んだ。
彼女の視覚は、冷却装置の内部にある、ウイルスの活動を抑えるための「核」のようなものを見抜いていた。

それは、特定の超音波や周波数を発することで、ウイルスの奇妙な構造を破壊する安全装置だった。
同時に、冷却機能も持ち合わせているようだった。

「ジェイク!出来るか!?」

ジェイクはソニアの顔を見た。
ニヤリと笑うジェイク。
その眼には任務を遂行しようとするエージェントとしての強い意志が宿っていた。

「チッ…お前、本当にバカ女だな」

彼の顔に、いつものひねくれた笑みが戻った。
彼の中で、純粋な闘争心が燃え上がっていた。

「俺を誰だと思ってんだ…」

ジェイクは、ウイルスの独特な刺激に耐えながら、ソニアの指示通りに冷却装置へと向かった。
冷却装置の表面には、複雑なパターンを持つ起動ボタンがいくつも並んでいた。

ソニアの言っていた「周波数」を発生させるには、これらを正確に起動させる必要があると直感した。

「くそっ…どれだ…!」

ジェイクは苛立たしげにボタンを見た。
肉眼では、どれも同じように見えた。

「ジェイク!一番下の段の、左から三番目!それが周波数を起動させる『核』だ!そこを起点に、時計回りにボタンを叩け!ただし、正確なタイミングと力加減が必要だ!」

ソニアは叫んだ。
彼女の視覚は、起動ボタンの内部に流れる微細なエネルギーの流れ、そして、正しい起動シーケンスを捉えていた。
それは、まるでクラシックピアノの鍵盤を叩くように、精確なリズムとタッチが求められるものだった。

「チッ!めんどくせえな!」

ジェイクは悪態をついたものの、ソニアの言葉に迷いはなかった。
彼は、ウイルスの独特な刺激に耐えながら、冷却装置に狙いを定めた。

次の瞬間、ジェイクの動きは豹のようにしなやかだった。
痺れる体をものともせず、彼は滑るように冷却装置の前に立つと、右足で起動盤の一番下のボタンを正確に蹴り込んだ。

その一撃で盤面が僅かに軋むと、彼は即座に体を反転させ、鍛え抜かれた左肘で二番目のボタンを力強く叩きつける。

流れるような体術の動きは、まるでピアノの連弾を思わせた。

研ぎ澄まされたジェイクの指先が、クラシックピアノを弾くときのような繊細さと、傭兵として鍛え上げられた力強さで、起動ボタンを次々と押していく。

カチッ、カチッ、とリズムを刻むようにボタンが押されるたびに、冷却装置から、これまでとは異なる、かすかな「キーン」という高周波のような、神経を刺激する音が響き渡った。

最後のボタンが押されると、ガシャン!という激しい音と共に、冷却装置は大きく軋み、内部から、冷たい蒸気が勢いよく噴き出した。
その蒸気は、先ほどの神経を刺激する高周波の音と共に、空間を満たしていく。

ソニアの視界には、冷却装置から放出される冷気と、目には見えない特定の周波数が、漏れ出したウイルスの奇妙な構造を内側から破壊し、その活動を急速に停止させていくのが見えた。

保管ケースから放たれる光が弱まり、床に広がっていた奇妙な液体の動きも完全に止まった。

その隙を見逃さず、ソニアは崩れ落ちたジェイクの元へと駆け寄った。
彼女のギプスが邪魔になるが、必死に彼を抱き起こそうとした。

「ジェイク!大丈夫か!?」

「あ…ああ…なんとか…だが、まだ…」

ジェイクは息も絶え絶えに答えた。
彼の体はウイルスの独特な刺激からは解放されたものの、多量のウイルスが体内に侵入し、激しい倦怠感と吐き気に襲われていた。

ソニアの視界には、ジェイクの体内で蠢くウイルスの粒子が、徐々に活動を停止し、その濃度を下げていくのが、彼の体のけいれんの仕方からイメージ画像になって見えた。

彼の血液が持つ抗体能力が、体内で暴れていたウイルスを、ゆっくりと、しかし確実に抑え込んでいるのだ。

その時、数台のヘリコプターがホバーリングする音が聞こえてきた。

そして、冷却装置の作動音とウイルスの光が弱まる中、研究室の奥、培養槽の陰から、一人の男が姿を現した。

「レオン!」

レオンとクリスが、ペンタゴン内で発生した異常事態に、ホワイトハウスへ報告、BSAAと連携をとってこの地下へと到達したのだ。