バイオハザード Fの起源 第5話 ジェイクの危機 地下
ペンタゴンが重い腰を上げてアメリカ空軍を派遣したのも同時だった。
隠したいことがあるのだから、当然の事だろう。
すぐに実験室の入り口に駆けつけてくるレオンとクリス。
建物はアメリカ空軍が完全に包囲した。
彼ら顔には、疲労と、この惨状に対する怒りが浮かんでいた。
「ソニア!ジェイク!」
レオンとクリスが駆け寄ってきた。レオンはジェイクの異変に気づき、すぐにその容態を確認した。
「ジェイクが、ウイルスの活性化を止めてくれた。この冷却装置のおかげで、漏れ出したウイルスも死滅だ」
ソニアは早口で説明した。
レオンとクリスはジェイクの顔色を見て、事態の深刻さを理解しつつも、ウイルスが収束に向かっていることに安堵した。
「ソニア、ジェイクを頼む!できるだけ早く、医療チームをここに呼ぶ!」
レオンがソニアにそう指示すると、クリスは既に、現れた謎の男の姿を捉えていた。
男はソニアたちに背を向け、通路の奥へと逃走しようとしていた。
「貴様、待て!」
クリスは叫び、迷わず男を追って通路の奥へと走り出す。
レオンは、クリスの背中を見送ると、すぐさま無線で医療チームの応援を要請した。
ソニアは頷き、再びジェイクの容態を確認した。彼の体内でウイルスが共鳴を始めた時、一瞬、どうなることかと肝を冷やしたが、ソニアが冷却装置の弱点を見抜き、ジェイクがそれを破壊したことで最悪の事態は免れた。しかし、まだ安心はできない。
ソニアは、意識が朦朧とするジェイクを抱きしめた。
手首に引きつり、呼吸の正常化。
彼女の視界には、ジェイクの体内で脈打つウイルスの粒子が、完全に活動を停止し、その濃度を下げていくのがイメージになって見えた。
ジェイクの血液が持つ抗体能力が、体内で暴れていたウイルスを、完全に抑え込んだのだ。
しかし、その事故は、ソニアが自身の出生の秘密に触れるきっかけとなった。
事態は一旦収束したが、ソニアの中に残された疑問は大きかった。
作品名:バイオハザード Fの起源 第5話 ジェイクの危機 地下 作家名:masa