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みとなんこ@紺
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それも悪くないだろう?

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「・・・前々から言おうと思ってたんだけどさ」
「ん?」



「あんたたち緊張感なさすぎ」



ずばり、と包み隠さず事実を述べました、体勢で告げてくる金色の少年に、周りの大人たちは一瞬固まった。
そして次の瞬間、弾かれたように笑い出す。
「まま、大将。そんなシケたツラせずに」
「心配せずとも一応最低限の人員には涙を呑んで夜勤に出て貰っているので大丈夫ですよ」
「そーそー、オレたちは今は勤務時間外。かたい事はいいっこなしに盛り上がろうぜー」
「エドワード君、これ美味しいよ?」
聞いちゃいねぇ・・・。
アメストリスの四方を分割統治する地方司令部の一つ、東方司令部のアタマどもがこんなで良いんだろうか。

というかそもそも実質上のトップがああだからこんな事になってるのか、どっちだ。


基本的に人間というものは自分の上に立つ者を見て自分の行動範囲を決めがちになるという。
ならば色んな所が容赦なく何かが底抜けなあの上司を見ていると部下もつられるんだろうか。…というか。
「の前に司令部の屋上で酒盛りってどーなんだ…」
「いや予算とか、場所とか、その他色々あんだよ。あの人もいるし」
「安上がりで色んな理に適ったのがここだっただけで」
いや、そーゆーとこが問題なのでなく。
力一杯ツッコんでも誰も判ってくれそうにない雰囲気にエドワードは口を閉じた。
ああ、いったい何でこんなことに。
長い旅路の途中、次の地への中継地としてたまたま立ち寄っただけだったのに、お祭り騒ぎ当日にぶち当たってしまった間の悪さを呪う間もなく。あれよという間に集団に拉致られて今にいたる。
…本当に恐ろしい程のチームワークなんだが、こんなしょうもない所で発揮しないでもいいのに。
「兄さん、そろそろ諦めた方が良いよ…」
「アル…!」
ああ天の声が聞こえる。
普通のソフトドリンクだと思っていたのに酒でも混入されていたんだろうか。微妙にシェイクされた思考のままエドワードは振り返ったが。
弟を見上げた途端、更に力が抜けてその場にへたり込みそうになった。
「・・・・・・誰にやられた」

「・・・えっと・・・」
唯でさえ沸点の低い兄が呻くように問うてくるのに、弟は所在無さげに視線をつつー、と泳がせてみたり。
「別に何がしたかった訳でもないみたいなんだけど…」
何かごにょごにょ言っているのを抑えて、じっと胡乱げな目で見つめていると、根負けしたのかアルフォンスは小さく息をついて俯いた。
「・・・『これで兄とお揃いだな』って」

「大佐ぁー!!」

早。
意外と丁寧に三つ編みにキメられた飾り紐を揺らしてアルフォンスは思わず兄を見送った。
視線の先では、犯人でもあるお祭り好きの司令官が、喜々として駆け寄ってきた火に油を注ぎ足していた。
止めるべきか、と見ていると、大佐の傍らに控えていた中尉からSTOP必要なし、とのブロックサインが送られてきたので放っておくことにする。
…はたから見ていると、ただのいつも通りの子供じみた悪口の応酬だが、何だか楽しそうだ。(少なくとも大佐は)ちょっとばかり周りの目が気になったが、宴も佳境に入って各人集団ごとに好き勝手盛り上がっており、そんなに注目を集めているわけでもない。
なのでアルフォンスは、周囲ののんびりお祭り空気に毒されたか、あっさりと仲介役を投げ捨てた。
結局あそこの2人は、何のかんのと仲がいい。(兄本人は激しく否定するだろうが)気が合う、のかどうかは知らないが、何だか似たもの同士な気がするのだ。そんな事を言えば、やっぱり兄は嫌がりそうだから、まだ言ったことはないけれど。
今日の兄はちょっとばかり拗ねてしまっているけれど。
本当はこの空気が嫌なわけではないことは判ってる。
この長い果ての見えない旅のさなかに、こうしてちょっと休んでいけと手招いてくれる人が、軍の中にもいるなんてことは、想像もしていなかった。
だからこそ、今のこの空気が、とても好きで。
ぼんやりと見送った2人を見ていると、こっちこいよ、と馴染みのメンツの混じる一団に呼ばれた。
「今日はのんびりしてけよ。最後にいいもん見れるぞ!」
「いいもの?いいものって何ですか?」
「それは後のお楽しみ!」
傍らに屈みこめば、そうして普通の子供にするように頭を撫でてくれる。
今はその感触はわからないけれど、ほんの少しの昔にいつももらっていたのと同じように、きっとその手は優しいんだろうと思った。