キメツ学園の世界に転生した転生者達が徒党を組んだお話
「そうね......少年法ってのがあるし...」
「私も......あの人達が何かをしても......極力、警察に何かを証言するのはよそうかな...」
近所の人達がそんな事を話している中で岩崎剣道教室の中で道場主である中年男性が息子『岩崎洋助』へと怒りの声を上げている。既に門下生達は全員が道場を止めており、彼らしかいない。洋介は神経質そうな顔を歪めながら父親の叱責を聞いている。よく見ると...洋助の顔には所々に古傷の様な痕がある。
「何をしたのか知らんが!お前のせいでこんな惨めな生活を送っているんだぞ!!」
「俺だって!何が何だか解らないんだよ!!」
「うるさい!お前は昔から剣の腕も無い癖に偉そうにしているから何処かで敵を作ったんだろう!?学校で虐めでもしたのか!?」
「虐めだって!?それをされたのは俺の方だぞ!知っているだろ!?」
洋助の脳裏に中学生の時に起こった出来事が蘇った。あれは練習が休みで父親が留守だった時、仲が良かった連中(原作での取り巻き)と一緒に道場で涼んでいた時の事だった。道場に十数人の顔を隠した男達が土足で入って来たのである。
『なっ!?何だよ!?』
『こんちわ~!犯罪者予備軍を退治しに来ましたぁ!!』
『へっ!?何、言ってんだよ!?おっさん!!』
『うるせぇ!ケダモノが人間様の言葉を話してんじゃねぇ!!』
男の中の1人がそう叫ぶと...彼らの数人が懐から銃の様な物...テーザーガンを取り出した。テーザーガンはピストル型のスタンガンであり、引鉄を引くと針やワイヤーが発射されて相手を感電させるという武器である。男達は洋助を始めとした少年達...合計4人に向かって引鉄を引くとテーザガンからワイヤーが発射されたのだった。
『ぎゃっ!?』
『ぐあっ!!』
『うおっ!?』
『げぇ!!』
洋助と3人の取り巻きは悲鳴を上げながら感電し、4人共倒れてしまう。辛うじて意識のあった洋助が尋ねる。
『な……何なんだよ!アンタ達!?』
『鬼神教の者だ』
『お前達みたいな犯罪者予備軍から人を護る正義の集団だ!』
『い……意味が解らねぇよ!!』
男達はテーザガンを仕舞うと懐からロープを取り出して奴等の手足を縛り上げる。すると...男の一人が道場に置いてある竹刀を指差した。
『おい!コイツは皆でこれを使ってぶっ叩いてやろうぜ!!』
『おぅ!コイツにはお似合いだぜ!!』
『あぁ、コイツらにとってはこれはそういう道具だからな!!』
『どうせならよぉ...真っ裸にしてからぶっ叩いてやるってのはどうだ!?』
『お前!最高だなぁ!!』
男達はそう言って懐から大きな鋏を取り出して洋介に向かって言葉を発した。一人では何も出来ない臆病者は明らかに怯えており、声も出ない様である。
『騒いだら...この鋏でチン●とタ●をやるぞ?』
『はっ...はい!』
『そいつらの服も脱がせ!そいつらは身体中にスタンガンをお見舞いしてやれ!!』
『『『おぉ!!』』』
『『『ヒィィィッ!!』』』
洋助達は服を斬り刻まれ、脱がされて全裸へとされるのを恐怖で震えながら眺めていた。
『うわっ!?ちいせぇな!?思った通りだぜ!!』
『全くだな♪コイツの男としての器にピッタリだぜ♪』
『......』
洋助は屈辱と恐怖に震えながらも大人しくしていた。他の仲間達も同じである。彼らは犯罪者予備軍であったが...平和な時代で生きる普通の中学生でもあった。そして、全裸にされると洋介は男達から四つん這いになる様に言われた...地獄で鬼からお仕置きをされる罪人の様に無様な格好になれ!と
『ぎゃはははは!本当にやったよ!!』
『マジでしょうもねぇな!父上(笑)と身分が無いと何も出来ねぇのなっ!!』
洋助は泣きながら四つん這いになっていた。取り巻き達も何かを打ちのめされた感じで涙を流していた。男達は洋助の周囲で剣道教室の竹刀を構えると交互に洋助の背中や頭を叩き始めた!彼らは剣術はおろか...剣道の心得も無かったので素人そのものの拙い動きであったが、それでも強い怒りを籠めながら洋助へと竹刀を振り下ろしたのだった。
『この!この!犯罪者予備軍が!!』
『死ねっ!!シネッ!!死んじまえよ!!』
男達がそんな事を言いながら洋助の背中を竹刀で叩く。そして、その横では別の男達が門下生達の身体にスタンガンを押し当ている。1人に男数人で交互に押し当ており、奴等の悲鳴を聞きながら男達は楽しそうにスタンガンを押し当てている。
『ギャアッ!!』
『ウッ!!』
『ヒィッ!?』
洋介は恐怖と苦痛で何も言えず、ただ涙を流しながら蹲るしか出来なかった……男達はそんな洋助を竹刀で叩きながら嘲笑するのであった。そして、一通りに叩き終えると男達は最後に洋助の尻に竹刀を差し込んだのである!!
『うぎゃァァァァッ!?』
『洋助ちゃん……案外、良い声で泣くじゃねぇか!!涙まで流してよ!!』
『本当だぜ!!流石は犯罪者予備軍だな!!』
『竹刀くれぇで騒ぐなよ!ケツの穴が小せぇな!!』
『だからだろう?コイツの場合は!!』
『違いねぇ♪』
男達はそう言って竹刀を引き抜くと泣き叫ぶ洋助と全身にスタンガンを押し当てられて感電している門下生達に言い放った。
『通報とかしてもいいけどよ......そん時は殺される気でしろよ!』
『俺達は一度死んでいる......だから、第二の人生は好きなモノを護る為に使うって決めたんだ!!』
『あぁ、てめぇらを放置して生きるくれぇなら死んだ方がマシなんだよ!!』
『何時でもてめぇらと一緒に死んでやる!ありがたく思いやがれ!!』
洋助達は男達の狂気を前にして完全に閉口しており、何も言う事が出来なかった。それから、岩崎流剣道教室の地獄が始まった。SNSで道場主の息子である洋助や門下生達の悪口をSNSに個人情報と併せて書かれるといった事を始めとした様々な嫌がらせを受け、時折、洋助と仲が良い門下生が襲撃を受けたりといった事件が起きたのである。そして、何故か...襲撃者の正体が判らず、SNSに書き込んだ者も特定が出来なかった。何時しか...襲撃者だけでない者も鬼神教を名乗る様になり、洋助や道場に悪戯をする様になる。元々、奴は性格から取り巻き以外の同級生に嫌われていたのも仇となってしまい、今では取り巻き達にも絶縁されてしまい、道場の門下生も全て辞めてしまった。
「この手紙を見ろ!“俺達はお前の罪を知っている!その時点でお前は犯罪者だ!!”だと!?連中は本気だ!遊びで此処までする奴等はいないぞ!!」
「本当に分からないんだよ!何で!?此処までされるんだよぉ!!」
「とにかく!お前は高校を卒業したら、この家を出て行け!!このままでは......私達は共倒れだ!!」
「そんな!?俺はどうすればいいんだよ!?」
「知るか!アルバイトでも何でもすればいいだろ!!私はこの道場を畳む!お前も何処かで勝手に生きてろ!!」
「親父ぃ!!」
その数か月後...岩崎流剣道教室は閉鎖し、道場主は何処かへと引っ越して行った。道場主は手切れ金として洋助に家と土地を売った金の何割かを与えており、奴も何処かへと旅立って行った......?
作品名:キメツ学園の世界に転生した転生者達が徒党を組んだお話 作家名:ブロンズ・ハーミット