ヒロアカ世界でありそうな事~人気調査~
鈴木と井波の言葉で男子生徒が調だと理解した山田は怒りに顔を歪ませながら調へと向き直った。
「お前が皆にデマカセを吹き込んだのか!?」
「デマカセだ!?俺は“読者(みんな)”の知っている事を伝えただけだ!!」
調は山田を指差しながら言い放った!!
「お前の“正体”をな!!」
「!?正体だって!?」
「“読者(みんな)”の知っている姿こそがお前の正体だ!!」
「なっ、何だと!」
調は普段は大人しいが...強い正義感と行動力を持ち併せた“やる時はやる男”なのである!つまり、山田とは正反対の男なのだ!!そんな調の気迫に押さえ始めている山田は恐怖を感じて後退れる。
「お前にも教えてやるよ!“読者(みんな)”が知っているお前の“正体”をなぁ!!」
調はそう言うと...山田の顔面を右手で掴んだ!!
「えっ!?」
山田の眼前が真っ暗となり、暗闇に画面が現れて彼が登場する物語が流れ始めた。
「違う......こんな奴!俺じゃない!!」
物語は続く......
「こんな事になるなんて思わなかったんだろ?俺...俺達の所為じゃない!!」
物語は続いている......
「俺のした事できっかけでこの人は死んだのか?俺のせいで......?」
物語は終わった......
「ごめんなさい!ごめんなさい!!」
恐怖と罪悪感で泣き叫ぶ山田の眼前に無数の眼と口が現れていた...眼は山田に対する怒りと嫌悪で滲んでおり、口にも憤怒が浮かべているのが解かる。そんな眼と口が山田の周囲180°に出現していた!そして、口が開いて“卑怯者”に向かって声を発した。
『お前の所為で世界が滅びた』『お前達の所為だ』『クズ野郎』『ゲス野郎』『偽善者』『人殺し』『お前なんかがいなければ誰も不幸にならなかった』『全てはお前の所為だ』『女の敵』『詐欺師』『俺も山田だお前の所為で恥ずかしい』『リア充に碌な奴なんていない』『卑怯者』『卑劣漢』『疫病神』『死神』『てめぇだけが死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね!』『死ね!!』『死ね!!!』『死ね!!!!』『死ね!!!!!』『死にやがれ!!!!!』
「嫌だぁぁぁあああ!!!!!!赦してくれぇぇぇえええ!!!!!」
調から脳へとダイレクトに“伝達”された“読者”達の感情が籠った言葉を注ぎ込まれた山田は大声で泣き叫び始めた!それでも調は“卑怯者”の顔面を離さない!!周囲で見ている山田のクラスメイト達は困惑と恐怖の眼差しで調達を見ているが...中には自業自得という感じで薄ら笑いを浮かべている生徒もいる。そんな人々が見ている中で山田は調の“個性”によって脳へとダイレクトに叩き込まれる“悪意”によって泣き叫んでおり、何時しか
「おい?何か臭くね?」
「あっ!山田だ!!アイツ、小便漏らしてやがる!!」
「うわ...だせぇ!!」
「今更だろ?アイツは保身の為に女の子を騙して不良達に差し出す様な奴だぜ?」
「あぁ...男らしさなんて微塵もねぇよ」
「恥ずかしい...あんな人に好意を持っていたなんて」
「全くだわ」
「うわぁぁぁあああん!!!!!」
調の手を振り解いた山田は小便を垂れ流しながら教室の隅へと逃げると大声で叫び続けた...自分を蔑み嫌う“読者”達の視線から逃れる為に壁に頭を擦り付けながら眼を閉じ、調から離れた後も脳内で響いている“声”が聞こえない様に両手で耳を塞ぎながら醜く赦しを乞いている。その余りに無様でみっともない姿をクラスメイト達は白い眼で見ている。当然である!彼らの世界は超能力が“個性”という名称で実在している世界、犬が“個性”を目覚めた事で人間の姿となってギターを弾いたり、女の子が強い心的ストレスで街一つを破壊する様な能力に目覚めても不思議ではない世界なのである。そんな社会で沢山の人々の不幸のきっかけとなるなんて言われたら冷たい眼で見られるだろう。
「うわぁぁぁあああん!!わぁぁぁあああ!!!!!!」
山田は騒ぎを聞き付けた教師達が駆け付けるまで教室の隅で泣き叫び続けたのだった。平行世界(原作)の自分の報いを受けながら泣き叫んだのだった。次の日以降...山田は学校へと来なかった。ちなみに山田には小等部に妹がいたが、噂は小等部にも届いていた為か彼女も学校から消えていた。
「じゃあ...高校を卒業するまでお爺さんの家で過ごしなさい」
「......うん」
「母さんも●子も...お前が赦せないと言ってるが...時間が経てば、考えも変わるだろう」
「皆はどうするの?」
「此処から引っ越すよ......もうこの辺りには噂が出回っているからな」
「ごめんなさい......」
「そう思うなら...真っ当な人間になる事だな」
「......うん」
「誰も怨むなよ......あんな事が起きるかも知れないって知ったら誰だってあんな風に感じるんだからな...」
「......うん!」
その後...山田がどうなったか?は調達は知らない。平行世界の自分を見て真面目に生きようと努力したのか?又は...調から話を聞いた者達にリンチを受けて死んだのかも知れない。唯一つ言えるのは...世界が滅亡しなかった事と念の為に事件の起こる街の祭りに行った調が自分と同年代の少女が可愛い柴犬を連れながら友人達と幸せそうに歩いているのを見かけたというだけである。
作品名:ヒロアカ世界でありそうな事~人気調査~ 作家名:ブロンズ・ハーミット