zokuダチ。セッション20 冒険編4
「だって……、牢屋の中にもしも骸骨とあったら……」
「そんなの○ラ○エ時代に慣れてるだろっ!今更っ、あーもうっ!」
再び始まったダウドのヘタレ病にキレたアルベルト、ダウドを
無理矢理引っ張って奥へと連れて行った。
「……ひいいい~……」
2人は一つ一つ、庭師がいないか牢屋の中を確認しながら
慎重に歩いて行く。
「……や、やっぱりもう処刑……」
「ダウドっ!いい加減に……」
突然、アルベルトの声が急に止まり、アルベルトが前方を向いたまま
急に動かなくなってしまい、ダウドが慌てる……。
「アル、どうしたのさ!あ、……あああ……」
「おい、小僧ども、此処は立ち入り禁止区域だ、誰が許可した?」
鉄球を持ったいかつい数人の男が行く手を塞ぎ、アルベルトと
ダウドを睨んでいた……。
「ひ、……ひいいい~っ!!」
いつもの如く脅えるダウドを尻目に、アルベルトはすっと
男達の前に出る。
「お前達は相当頑固な奴らの様だな、其処をどいてくれ、
どかない場合は僕らが相手をさせて貰う……」
「ぼ、僕らって、やっぱりオイラも入ってるのねえ~、とほほ~……」
「相手をさせて貰うだと?こいつはおもしれえ!面白すぎで、
ケツから糞がはみ出ちまう!」
「ガハハハハ!」
「わはははは!」
恐らく、こいつらもエリート兵士である。だが、ジャミル達に屈した
良心あるエリート兵達とは違い、此方は君主に絶対的命令を誓う
厄介な部類の方であった。兵達はアルベルトとダウドを馬鹿にした様に
わざとらしくゲラゲラ笑った。
「……仕方がない、では、いざ参るっ!」
「ア、アルっ!!」
「……おあ?」
アルベルトは言うが早いか、竹刀を構え、兵達の前で
ジャンプすると、いつものトロイ動作とは打って変わった
素早い動きで頭部を思い切り叩いた。
「……こ、この野郎っ!」
アルベルトを完全に舐めて掛かっていた兵士どもは動揺するが、
彼は微動だにせず次々と、兵士達を竹刀で叩きまくり気絶させていった。
「うわあ、凄いや!アル!よしっ、オイラもっ……!!
……ええーいっ!」
アルベルトに感化され、勇気が出たのか、ダウドもスリッパで
パシパシパシパシパシ……、兵の頭を叩きまくった。
「ぐあああああっ……!!」
「ひ?泡吹いて痙攣しちゃったよおお!あわわわ!!」
「うん、君に渡したのは新タイプの鉛入りだからね、重くないかい?」
「……鉛って、そう言われれば、何となく……、てか、アル、これで
ジャミル叩く気だったの?」
「何で叩こうが死なないから、ジャミルは、多分こいつらも大丈夫だよ、
……っと、油断してる暇はないっ!」
トークを始めようとした2人の処へ、又新たなごつい兵が
襲い掛かってくるが、咄嗟にアルベルトも竹刀で兵の頭部を
叩き、即座に気絶させた。
「さあ、行こう、時間はないよっ!」
「ひええええ~っ!!」
2人は襲い掛かってくる兵を蹴散らしながら、庭師が捕まっている
牢屋を更に探す。
「あ、あそこでこの階は行き止まりだよお、それに牢屋も後残り
二つみたいだ……」
ダウドが正面を向いて立ち止まり、アルベルトも立ち止まって
息を飲み込み、呼吸を落ち着け整えた……。
「落ち着こう、ダウド……、大丈夫だよ、行こう……、
庭師さん、どうかご無事で……」
「うん……」
2人は残った二つの牢屋を覗き込む。すると……。
「おや?お前さん達は……」
「お爺さんっ……!!庭師のお爺さんですね!?」
「うむ、そうじゃが……」
左側の牢屋の中に、両手に鎖を繋がれたままの状態の庭師が
閉じ込められていたのである。
「……無事だった……、良かったよお~……」
「僕達はジャミルの仲間です、あなたを助けに参りました、
安心して下さい!まずは此処から逃げないと……!!」
庭師は最初、おっかなびっくりな表情をしていたが、ジャミル……、
の、言葉を聞くと安心した様に笑みを浮かべた。
「こんな処まで来てくれるとはのう、流石あの坊やの仲間じゃ、
感謝するよ……」
「……でも、アル、牢屋の鍵が……」
「大丈夫、お爺さん、ちょっと下がっていて下さい、ダウド、
スリッパを……」
「うん…、はい…」
ダウドがアルベルトにスリッパを手渡すと、アルベルトはスリッパで
鍵を思い切り叩き始めるのであった……。
……パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!!
「あ、鍵が壊れた!」
「ふう~、これで大丈夫だ……」
「しかし、器用な人だねえ~、まあいいけど……」
「お爺さん、大丈夫でしたか、お怪我はありませんか!?」
「ああ、儂は大丈夫だよ、本当に有難うよ、坊や達……」
「いえ、でも……、この手の鎖はどうしたら……」
「本当だよお、全く酷い事するよお!」
アルベルトとダウドはとにかく一旦庭師を連れ、地下を出る事にした。
漸く、長い階段を登り終え元の通路へと戻って来る。
「はあ~、階段嫌い……、て、アルどうしたのさ、その顔……」
「いや、何かおかしいかなあ……、と……」
「ええええ~……?」
アルベルトがこういう表情をする時は、決まって何か考えて
もやもやしている状態である。
「上手く行き過ぎかなあ、何だか嫌な予感がするんだよ」
「そんな事言ったってえ~……」
「アルベルトさ~ん、ダウドさ~ん、いましたーっ!」
「やっとまた会えたねえ~!」
「ほほーい!」
いろはとこむぎが子供達を連れ、此方に向かって走って来る。
「よかったあー!みんな無事だったんだっ!」
ダウドがいろは達に手を振ると、アルベルトも険しい表情をいったん止め、
彼女達達の方を見る。
「……大丈夫だったかい?怪我はしてないかい!?」
「ええ、大変だっだけど、みんなで力を併せて危機を乗り越えられました、
そっちもお爺さんを無事に救出出来たみたいですね……、良かった……」
「……おお~、お嬢さん達もジャミルさんのお友達ですか、
本当に有難う……」
庭師も手に鎖を繋がれたままの状態でいろは達にぺこりと頭を下げた。
「……でもっ!おじいさん、おててにクサリがっ!早く外さないとっ!
ひどいよっ、今外してあげるからねっ!う、うう~ん!」
「……こむぎ、ちょっと無理だよ、簡単には外れない様になってる、
本当に酷い事をするんだね……」
こむぎが無理に鎖を引っ張って外そうとするが、無理である……。
「今はお爺さんを安全な場所に護衛しないと……、ダウド、
君の役目だ、お爺さんを街の安全な場所まで送り届けて
護ってくれるかい?」
「ええ?オイラ一人で……、う~、分ったよ……」
「確かに、街には儂の長年の友人の家が在る、何とか其処まで行ければ……」
「わ、分りました……、気弱なオイラですがどうにか何とか
護衛しますので、お爺さん、お知り合いのお家の場所を教えて下さい……」
「分った、坊や、宜しく頼むな……」
作品名:zokuダチ。セッション20 冒険編4 作家名:流れ者