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zokuダチ。セッション21 冒険編5

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「あいつ普段からさぼって運動不足気味だからな、丁度いいんだよ!」
 
アイシャが心配する中、ダウドは大急ぎで屋敷の外へと走って行くのであった。
 
 
そして、夜、しんのすけ兄妹、ボーちゃん、シロも漸く屋敷へと
招かれ、これでメンバーが全員揃い、ジャミル達は屋敷の食堂で
食事をさせて貰える運びとなった。
 
「うわ、すんげえ……、ステーキだ……、これ、マジで食っていいのかな……」
 
「きゅっぴ、きゅっぴ!」
 
チビもきちんと席に着き、尻尾をパタパタ、嬉しそうである。
 
「んー?ジャミルおにいさま、お部屋でステーキ出された時、
食べる気しないって言ってませんでしたか?」
 
「あん時はあん時だよ、今は皆いるからな、へへ……」
 
「そうですか、ですねえ!ユウも何だか嬉しくなっちゃいました!
あはっ!」
 
「さあ、こむぎとシロちゃんも、まずは特製クッキーを頂こうねっ!」
 
「わんわん♪」

「アンっ♪」
 
食事は久々にクッキーが食べたいとの事で、こむぎは子犬に戻り、
シロと一緒にナンダカンダ家専属シェフ特製のSPわんこクッキー
+最高級ドッグフードを食べさせて貰っており、一杯頑張ってお腹の
空いていたこむぎもシロも実に幸せそうであった。
 
「ご飯は皆で食べた方が美味しいですものねーーっ、きゃああーー!」
 
「ふんが、ふんが、ふんががががーーーっ!!」
 
「お~い、ブウ子……、お前さあ、先にフライングして食ってんじゃねえよ、
このブタっ!!」
 
……ブウ子にケイが頭部をラリアットする。久しぶりにユウ達、ガールズも
心からの笑顔を見せた。
 
「怖いゾ……、オラ達も食べられちゃう……」
 
「ボオ」
 
「たいい……」
 
「……ぎゅっぴ……」
 
暴走食いをするブウ子に脅えてしまい、チビとしんのすけ達が
不安な表情をする。
 
「皆さん、お待たせしてしまい、申し訳ない……」
 
車椅子に乗って、庭師に押されながら領主が皆の前に姿を現す。
 
「今夜は色々話しながらゆっくり寛ごう、どうか硬くならないでおくれ……」
 
「……ハア……」
 
痛々しい姿の領主に戸惑いつつも、皆は領主の合図で乾杯を取り、漸く
食事に手を付け始めた。
 
「しかし、ジャミル君は本当に私の亡くなった妻にそっくりだよ……」
 
「う、うえ……」
 
「これは冗談ではないのだよ、儂も奥様と生前お会いしているが、
本当によーく似ておらっしゃるよ、びっくりしたわい、口調も、何でも
ズバズバ物を言い、外見も、キビキビとしたお元気な処ものう……」
 
「じ、じいさあ~ん、外見もなのかよ、今更かよう……」
 
ジャミルが困っていると、アルベルトが領主の方を見て、一言口を開いた。
 
「ジャミルがあなたの奥様に似てるとか、今はそれ処ではないのでは?
僕が聞きたいのは、今まで領主様がやって来た事が今もあなたの頭の片隅に
少しでも残っているのかどうかです……、少しでも謝罪するお気持ちは
あるのですか……?」
 
「アルっ……!」
 
「アルベルトお兄さん、も、もちついて、もちついて!」
 
「アイシャ、しんちゃんも、黙っててくれないか、……大事な事なんだよ……」
 
「……全て……、とまではいかないが、何となく覚えておる……」
 
「だ、旦那様っ……!」
 
「確かに……、ルーゼに操られていたとは言え、儂はとんでもない事を
してしまった、今まで妃にしてきた少女達の大事な時間を奪って
しまったのも儂だ……、正直、どうこれから過ごしていいのか、
儂にも分らぬのだ……」
 
「アルベルト様、お気持ちは分ります、ですが旦那様もお心は
苦しんでおられるのです、儂も何処まで出来るか分かりませんが……、
これからも共に旦那様を支え、一緒に罪を背負っていく覚悟ですじゃ……」
 
庭師が丁寧に、そして申し訳なさそうにアルベルトと皆に頭を下げた。
 
「じい、お前には本当に迷惑を掛けたな、これからもより一層、
共に民の幸せの為に尽くそう、力を貸してくれるか……?」
 
「もちろんですとも、儂と旦那様は長年の親友でもありますからのう……」
 
「……分かりました、其所までのお覚悟があるのなら大丈夫そうですね、
では、僕も気を取り直して折角のお夕食を頂きます……、食事は笑顔で
頂きませんと美味しくないですから……」
 
「お、おい……」
 
庭師と領主の心からの謝罪の言葉を聞き、アルベルトも態度を
ころっと変え、表情を和らげた。
 
「腹黒い上に、なんて単純なヤツなんだ……」
 
「ジャミル、何か言ったかな?ねえ、スリッパで頭叩いていいかな?」

「いてててて!……コラ、め、飯時に止めろよっ!オメーはっ!」
 
「うん、いろはも結構タンジュンなんだよ!だってね、だってね!」
 
「……こむぎ、余計な事言わないのっ!……あの、ユウちゃんのお家の
借金の方は……?」
 
「もちろんだとも、ユウさん、今まで申し訳なかったね……、君はもう、
いつでもお家に帰っていいんだよ、ご両親にも、もう何も心配しない様に
伝えておくれ……」
 
「は、……はいいいっ!!いろはおねえさま、ありがとうございます!」
 
「良かったね、ユウちゃん!」
 
いろはの心遣い、そして領主の心からの本当の優しい笑顔に、
ユウも涙を拭いて笑顔を見せた。
 
「けど、マジでうめえなあ、うめえなあ、この肉……、うう……」
 
「ちょっ、何泣いてるのよっ、ジャミルはっ!!」

骨付き肉を囓りながらオーバーリアクションするジャミ公に
困るアイシャ。
 
「……ホントだよ~、こむぎも、なみだがでぢゃうう~……、だって
わんこだもんっ!わんっ♡」
 
「全く、こむぎってば……、でも、確かに美味しいねえ~……、
ホントに、ん~っ♡」

こむぎに呆れながらも、いろはも特製ステーキの美味しさに思わず
舌鼓を打ってしまうのだった。
 
「はあ、全く、本当に進歩ないなあ、ジャミルは……」
 
「きゅぴきゅぴ!」
 
「今更始まった事じゃないしね、……オイラはどうでもいいや、
それよりもアル、このフライドチキン食べてみなよ、美味しいよお~!」
 
「ダウドも、呑気だね……」
 
「……こんな賑やかで楽しい夜を又過ごせるとは……、本当に
何年ぶりになるのか……、なあ、じい……」
 
「本当ですのう、旦那様……」
 
 
その日の夜、ナンダ・カンダ家では久し振りに明るい笑い声が
響き渡ったのであった。