zokuダチ。セッション22 冒険編終
「おい、ジャミル、アル、3人連携で一気に叩いて潰すぞ、
……来い……」
「ま、待てよ!あんな馬鹿でけえの、無理だって!」
「やる前から諦めてどうすんだ、この馬鹿!」
「……いって!」
シフ、拳でジャミルの頭を一発ポカリと殴る。
「……つ~ぶ~し~て~や~るううう~……」
「こ、このバケモンスイカ、喋ったぞっ!」
「……ハア、もう手におえないなあ、シフ、僕も何とか
頑張ってみる……」
「よし、坊や、いい心意気だ!」
アルベルトもシフの隣に並んだ。まだ嫌そうな顔のジャミルを
アイシャが心配そうにじっと見つめている……。
「……分ったよ、俺もやりゃいいんだろ、たくっ!」
「よーし、一気に突っ込むよっ!」
「……はああああーーっ!!」
3人は揃ってジャンプすると、一斉にキング大玉スイカの
後頭部に竹刀ダメージを叩き込んだ。大玉スイカはグチャリと
中身が飛び散り、あっさりと唾されたが、そのグロイ光景と
言ったら……。アイシャが思わず目を伏せ、言葉にならない程、
強烈であった……、が、潰した後、キング大玉スイカの残骸は
跡形もなく消えていたのだった。
「お、おめでとうござーいっ!つよーいお姉さんの
飛び入り参加で巨大お化けスイカをノックアウト!いやー、
凄いっ!よーし、今年は特別っ!スイカ割り優勝者は
この3名だーっ!おめでとうーーっ!拍手ーーっ!!」
「はあ……?」
「あ、あはは……」
「おや?あたしも入っちゃったのかい、まあ、いいけどさ……」
いつの間にか戻って来ていた司会者と観客がジャミル達に向かって
拍手を送り、アイシャも嬉しそうに拍手した。
「……けっ、なーんか知らんけど、あいつらやけに嬉しそうりゅ!
悪戯してやったのに何でよろこんでりゅ!畜生!次こそは
絶対泣かせてやりゅ!けーっけっけっ、ケツの穴~!」
そして、優勝した3人は、景品のスイカ3人分×50玉を
マンションへと持ち帰る羽目になる。数日後、
マンションの外で……。
「うええ、スイカはもう当分ええわ、腹がスイカで
満たされる……、うう~……」
「スイカさん、減らないわね、マンションの皆に
お配りしてもまだこんなにあるわ……」
ジャミルとアイシャは今日もスイカの後処理でせっせと毎日
食べているが、一向に減らない。
「……大体だな、オメーが出ろなんつーから、こんな事に
なるんじゃねーか!」
「何よ!最初出ないって言ってたのに、ジャミルが後で勝手に
出たんじゃないっ!」
と、2人がケンカを又始めそうになった処に、外出から
帰って来たダウドが通り掛かる。
「まだスイカ減らないんだ?大変だねえ……」
「おい、ダウド……、お前の分もまだあるぞ、食って行けよ……」
「うえ、いいよ、オイラこっちの方がいい、図書館の
バイト終了時、司書さんがいつもご苦労様ですって、皆にね、
さっき貰って来たんだ、ほら……」
「わあ、美味しそうね……、バニラのアイス……」
「……レ、レヂィボーデンだと……、この野郎……」
ダウドは2人に保冷剤バッグに入れて持って来た高級品
カップアイスを見せた。このアイスはお高いので、滅多に
口に入る物ではない。
「一旦冷蔵庫にしまって冷やしてからお風呂上りに
食べるんだ、じゃあね……」
ダウドはそそくさとアイスを持ってマンションの中に逃走。
「……はあ、私もう駄目……、お腹がスイカでたぷんたぷんよ……」
「まいったなあ~、そうだ、いるぞ、……スイカの処理して
くれる奴が……」
「え……?」
そして、マンションに、ユウ、マフミ、ケイ、ブウ子の4人娘が
呼ばれたのである。
「こんなに頂いていいんですか?ユウ嬉しいですー!」
「キャー!スイカだわーーっ!きゃあー、きゃあー、
きゃああああーーっ!!」
「中々甘いスイカじゃん、いけるよ!」
「……返せって言っても返さねえぞ……、ふんがああーーっ!!」
「いいよ、いいよ、特にアンタは沢山食べていいからよ……」
「良かったね、ジャミル……、スイカはブウ子ちゃんに
任せておけば取りあえず、安心だね……」
「はあ、……もうスイカ割りはこりごりだ……」
ジャミル達にとって、夏はまだまだ、これからが本番である。
そして、今度はどんな珍事件が待ち構えているのか……。
作品名:zokuダチ。セッション22 冒険編終 作家名:流れ者