zokuダチ。セッション22 冒険編終
良く分かっていない。
「ふ~ん、これはまた面白くなりそうだね、坊や、ジャミルなんかに
絶対負けるんじゃないよ!負けたらまた修行時間倍にするからな!」
「……シ、シフ~……」
そして、受付を済ませたジャミルとアルベルトはスイカ割り
コンテストのイベント会場へと移動する。
「ジャミルもアルもどっちも頑張ってねー!」
「負けたらどうなるか分かってんだろうな、坊や!
真面目にやれよー!!」
(……負けねえ、……絶対負けねえぞ……)
(な~んか、さっきからジャミルの視線が僕をギラギラと睨んでる
様な気がするんだけど、気の所為かなあ~……、う~ん……)
会場で、マイクを持った司会者の親父が2人に近づいてきた。
「はいっ、ちょっと聞いていいかな!?君は高校生?←(アルベルト)
君は中学生かな?←(ジャミル)いやあ、参加してくれてありがとうねー、
夏休みは楽しんでるかなー?残りのお休みのこれからの思い出づくりに、
沢山スイカを割って、更に思い出を増やしていってねー!」
「は、はあ……」
インタビューされ、アルベルトは冷汗を掻いただけであったが、
完全に厨房扱いされたジャミルはブチブチ、キレ始めていた。
「……プ、プププ……」
そして、いつもの様にアルベルトが横を向いて吹き出す。
(……ますます負けねえ、絶対負けねえぞ、何がなんでも……)
しかし、普段はトロイものの、アルベルトは異世界で、
ごついエリート兵と強敵ルーゼを竹刀でバシバシ叩きまくり
追い詰めた、加えてスリッパ乱舞も使い熟せる、敵に回すと
厄介な強敵である。果たして、ジャミルはアイシャの前で
ええかっこしー出来るのか?
海へ行こうよ 3
スイカ割り大会 予選
「……はあああっ!」
「このっ!」
予選 ステージレベル1、まずはスイカ10玉、アルジャミ
コンビも余裕で突破。
「凄いねっ、2人とも気合入ってるね!」
「アイシャ、坊やは段々本気出すからね、見てな、ふふふ」
「う~ん……」
シフが腕組みをして頷く横で、どっちも応援したいものの、
何となくアイシャは気分が複雑になる……。
レベル1、2、3、と、ステージが上がり、制限時間内に叩く
スイカの数が段々増えて行くのである。しかし、この変な2人は
躊躇せず、与えられたスイカの数を余裕で熟し次々と叩き捲る。
レベル7ぐらいで、そろそろ脱落者が増え始めた。
「はあ……」
少し腕が疲れてきたのか、アルベルトが汗を拭い始めた。
「何だよ、そろそろ体力が無くなって来たか、ハン!
おぼっちゃま!」
「う、うるさいな!まだまだだよ!バカジャミル!」
あまり体力がそんなに持たないのがアルベルトの欠点でもあった。
(……よし、アホベルトはそろそろ疲れが来てるな、
ここらで差を見せつけねえとな……)
「うーん、凄い坊や達だねえ、あんなに小さいのに!おじさん
感心しちゃうなあ!レベル10で決勝だからね、頑張ってよ!」
……司会者の小さい……、が、イチイチジャミルを腹立たせ、
苛々させる。そして、レベル8で……。
「……たあああっ!!」
「なろおーーっ!あ……」
ジャミルが1玉、スイカを叩きスカした……。
「何やってるのよーっ!ジャミルったらーっ!もうっ!」
「う、うるせーな、あわわ!」
「ハイ、ステージ8、終了ーっ!いやあ、こっちの坊や、
ちょっとミスしちゃったね、焦っちゃったかな?でも、
目標圏内の数には達してるから、次も進めるよ!」
(……オメーが余計な事言わなきゃ、……しょおおお~……)
目隠しのタオルを取って、ジャミルが地団太を踏む。
レベル8の数は全部で80玉、そのウチの1玉をジャミルは
失敗したのであった。
「はあ、何だか、見るとぐちゃぐちゃのスイカさんだらけ、
スイカさん可哀想……」
傍から見ると、何とも見るも無残な光景と化している。特に
ジャミルとアルベルトは思い切り力を入れてスイカを
叩いているので余計である。
そして、レベル9、90玉ステージも終り、次が最後の
決戦ステージ、レベル10の無間地獄に突入する。最後に
用意されていたスイカの数は100玉以上……。これだけの
数のスイカを用意するイベントスタッフさんも実に
ご苦労様であった。
「中々、ジャミルもしつこいじゃないか、そろそろ脱落すると
思ったんだけど……」
「本当に凄ーい!ジャミルもアルも最後までファイトだよー!」
アイシャが応援場所から2人に手を振ると気づいたアルベルトは
アイシャに笑顔を返す。
(……勝つのは俺じゃ、テメエにいい恰好はさせねえ……)
鼻から湯気を出して、ジャミルが噴気し始めた。
「はい、いやあ~、残ったのが小さい坊や達だけとは!
本当に凄いよ!2人とも、最後まで頑張ってくれよ!
さて、最後のステージなので、時間は5分とさせて
頂きます、制限時間内に、とにかく叩いて、叩きまくれ!
数多くのスイカを叩いた方が勝ちとします!」
「こうなったら僕も最後まで気を抜かないから……」
「いい根性してんじゃねえか、根性だけはな……」
ジャミルとアルベルト、互いに睨み合い、火花を散らす。
そんな2人の遥か上空をふよふよと飛び回る、変な生き物が一匹。
……毎度おなじみの、小悪魔、ベビーサタンのリトルである。
「何だあいつら、暫く姿が見えんと思ったら、
久々りゅね~、こんなとこに来てたのりゅね、ふ~ん、
何やらまた面白そうなバカな事やってりゅ……、
けけけけのけー!リトル様の悪戯タイム、りゅ!」
小悪魔が上空からスイカに魔法を掛け始めた……。
「さあ、最終ステージ開始……、お、おや……?」
司会者がレディゴーを口にしようとした途端、転がっていた
スイカが急に勝手に集まりはじめ……。
「ん?どうしたんだい……?」
「分らないけど……、何だかスイカが変よ、シフ……」
な なんと スイカたちが……!スイカたちが
どんどん がったいしていく! なんと キング
大玉スイカに なってしまった!
「……ああああああーーーっ!!」
「うっそだろーーーーっ!!」
キング大玉スイカはまずはトロいアルベルトを潰そうと、
ターゲットに転がってくるが、咄嗟にジャミルがアルベルトを
抱えて庇い、横へと避けさせた。
「おい、気を付けろよ、オメー、トロいんだからよ!」
「ジャ、ジャミル……、ありがとう……」
「坊やーっ!大丈夫かい!?」
「……ジャミル、アル……!」
客席にいたシフとアイシャも慌てて2人の元に走って来る。
他の観客も司会者も、もう、慌てて皆逃走していた……。
「……な、何なんだい、このスイカのバケモンはっ!?」
「俺に聞くなよ、急にスイカが合体しやがったんだよ!」
そう呟いてみて……、ジャミルは何となく、上空を
見上げてみた。
「けけけのけええーーっ!!」
「……なろ、またあの野郎……、クソ小悪魔かよ……!
まーた何かつまんねー細工しやがったな!?」
「どうしよう、このままじゃ私達潰されちゃう……、
……シフ?」
オロオロするアイシャの肩に手を置き、シフが率先して前に出た。
作品名:zokuダチ。セッション22 冒険編終 作家名:流れ者