狭い世界の連中に世間の常識を
【世間の常識】
1人の少年が自室でスマホでSNSに書き込みをしていた...少年の名前は『諌山賢』。坂下門学園に通う男子高校生である。彼はクラスメイトである男子高校生『前田ハチベエ』を助ける為、ネット民に協力を求める書き込みをしていた。
《という感じで件の女子高生の情報が欲しいんです》
《マジで!そんな教師がいんのか!?》
《昔...教え子と交際して...自分可愛さに別れて自殺未遂に追い遣ったのか...》
《それで...今も教師を続けているって事か?なんてぇ...面の皮だよ!?》
《しかも...好きな相手が自分の元恋人に似ているから教え子に八つ当たりしている?どういう理屈だよ!?》
《名前は鎖島光正...以前にいた学校は小倉橋高校か...其処なら知り合いが通ってたな》
《取り敢えずは拡散しようぜ...10年前の情報が入手出来るかも》
《あっ!顔はこれでいいか!?》
《はい、その人です》
《30半ばって処か...それなりにイケメンだな》
《でもよぉ...保身の為に女を捨てる様な奴だぜ?碌な奴じゃねぇよ!!》
《しかも...教師を辞めて償おうともしないで教え子に八つ当たりをする様な人間だぜ!!赦せねぇよ!!》
《そうですよ......アイツはあんな奴に同類扱いされる様な人間じゃないです》
《どういう意味だ?》
《アイツは普段は大人しい奴だけど......好きな女の子が危ない目に遭っていたらどんなに怖い不良だろうが...その身を挺して護ろうとする奴なんです》
《そういう場面を見た事があるのか?》
《はい...暴走族『紅璃無斗』の5代目総長に彼女が暴力を受けた時......喧嘩を挑んで叩きのめしていました》
《!?あの『紅璃無斗』の総長をか!?》
《はい...信じようが信じまいが勝手ですが......とにかく、俺達の知っているアイツはあんな人間に同類扱いされる様な人間じゃないんです!!》
《そうか...解った!俺は信じるぜ!!》
《俺もだ!》
《あっ...私...この人を知ってるわ!担任になった事は無いけど...高校の時にいたわ!!》
《マジ!自殺未遂になった女子高生は!?》
《えぇ...自殺未遂なのかは知らないけど...隣のクラスで転校した子はいるわ》
《その人...眼鏡を掛けていて...瞳が青くありませんでしたか?ハーフって感じで...》
《外見は知らないかな...部活が同じだった子が隣のクラスにいたから聞いてみるわ》
《すみません》
《いいわよ!本当の事なら...同じ女として赦せないわ!》
少しして...スマホに通知があった。
《分かったわよ...転校した女の子...多分、言っていた通りの容姿だったわ...それと...鎖島が教え子と交際しているって噂も聞いた事があるって》
《そうですか...ありがとうございます》
《しかし...赦せないわねぇ!罪悪感を覚えるのは仕方無いけど...それを罪も無い...立場が弱い相手に向けるなんて!!》
《あぁ!赦せねえよ!自分が赦せねぇなら自分に向けろよ!!》
《おい!徹底的に拡散してやろうぜ!こんな奴に教壇に立つ資格なんてねぇよ!!》
「っという感じなんだ」
「「「「「......」」」」」
賢はクラスメイト達に担任代行である男性教師『鎖島光正』が彼らの友人でクラスメイトであるハチベエを目の敵にする理由をネット民から提供された証拠付きで話していた。賢の前には他クラスの人間であるお嬢様『八ッ橋あやめ』や中等部の巨乳美少女『月野弓雁』と忍者美少女『鳳桐乃』、女子寮の責任者でもある女性教師『雨柳つばめ』もいる。そして、ハチベエの想い人であるツンデレ美少女『天幕桜子』が怒りに顔を真っ赤にして叫んだ。
「ふざけんじゃないわよ!保身の為に恋人を切り捨てた自分をハチベエに重ねて八つ当たりをしている!?ハチベエはそんな卑怯者じゃないわよ!!」
「そうですよ!!ハチベエさんはそんな人に同類扱いされる様な人じゃないです!!」
「己の弱さで恋人を自殺に追い遣った自分への怒りをハチベエにぶつけておるのか!?最低だな!卑怯者が!!」
「そうですわ!ハチベエ様はそんな男ではありませんわ!」
「まったくや!卑怯モンが!!教師としても女として赦せへん!!」
いきり立つ女性陣に男子生徒『菊乃盃二』が賢に尋ねる。彼は比較的に冷静だが...険しい顔をしている。普段は穏やかな性格をしたイケメンである彼も流石に腹が立っているみたいだ。
「でも、どうして...ハチベエくんはあの人が押し付けている仕事を一生懸命に頑張っているの?」
「それは奴への仲間意識から証明したい事があるからだよ」
「証明?」
賢は目を指差しながら言葉を続ける。ハチベエの好きな桜子の瞳を指し示す。
「野郎が切り捨てた恋人は...天幕さんに似ているんだよ」
「えっ!?」
「それで......奴の話を聞いたハチベエは自分も同じ事をしてしまうかも?と思っちゃったんだ」
「そんな事......心配する必要は無いよ!」
「俺もそう思う......ハチベエが野郎...自分自身に証明したいのは...」
「......」
桜子は黙って聞いていた...鎖島という教師がハチベエを目の敵にするきっかけが自分だという事を聞いて彼が証明したい事に勘付いていたのである。他の仲間達も黙って見ている。
「天幕さんへの愛だ!」
「!?あの馬鹿ぁ!!」
桜子は涙目になりながら教室を飛び出して行った......他のクラスメイト達も後を続いて行った。その頃...体育館ではハチベエに過去の事を咎められて逆上した鎖島が彼の事を殴っていたのを通りかかった生徒達が制止している最中であった。顔が腫れ上がっているハチベエの許に桜子が現れた。
「ハチベエ!」
「天幕?」
「馬鹿ぁ!!」
「へっ!?なっ、何だよ?」
桜子は涙目で鎖島を指差しながら叫んだ!力の限りに叫んだのだ!!
「諌山君から全部聞いたわ!こんな卑怯者の言う事を真に受けてんじゃないわよ!!」
「!?」
「えっ......なっ、何を!?」
「あんたが我が身可愛さにあたしを傷付けるですって!?あたしの知っているあんたはそんな男じゃないわよ!!」
「ちょっ!」
桜子の言葉に驚いているハチベエに桜子の背後から仲間達が現れて続々と声を発した。
「そうですよ!ハチベエさんは他人の為に身体を張れる熱い人です!!」
「こんな卑怯者の言う事なんぞ!気にするな!!」
「そうですわ!相手にする価値もありませんわ!!こんな人!!」
「そうだよ!ハチベエ君!!」
「「「「「そうだ!そうだ!!」」」」」
「みっ...みんな!」
愛する桜子を始めとした仲間達とクラスメイト達の言葉に呆然としているハチベエにつばめ先生が話しかける。
「ハチベエ!何で相談してくれなかったんや!!」
「雨柳先生......」
「何で......お前がこんな男に同類意識を持っておるのかは知らんが...ウチは...お前を知っている皆はこんな男と前田ハチベエが同類やなんて思っておらん!!」
「......ごめんなさい」
1人の少年が自室でスマホでSNSに書き込みをしていた...少年の名前は『諌山賢』。坂下門学園に通う男子高校生である。彼はクラスメイトである男子高校生『前田ハチベエ』を助ける為、ネット民に協力を求める書き込みをしていた。
《という感じで件の女子高生の情報が欲しいんです》
《マジで!そんな教師がいんのか!?》
《昔...教え子と交際して...自分可愛さに別れて自殺未遂に追い遣ったのか...》
《それで...今も教師を続けているって事か?なんてぇ...面の皮だよ!?》
《しかも...好きな相手が自分の元恋人に似ているから教え子に八つ当たりしている?どういう理屈だよ!?》
《名前は鎖島光正...以前にいた学校は小倉橋高校か...其処なら知り合いが通ってたな》
《取り敢えずは拡散しようぜ...10年前の情報が入手出来るかも》
《あっ!顔はこれでいいか!?》
《はい、その人です》
《30半ばって処か...それなりにイケメンだな》
《でもよぉ...保身の為に女を捨てる様な奴だぜ?碌な奴じゃねぇよ!!》
《しかも...教師を辞めて償おうともしないで教え子に八つ当たりをする様な人間だぜ!!赦せねぇよ!!》
《そうですよ......アイツはあんな奴に同類扱いされる様な人間じゃないです》
《どういう意味だ?》
《アイツは普段は大人しい奴だけど......好きな女の子が危ない目に遭っていたらどんなに怖い不良だろうが...その身を挺して護ろうとする奴なんです》
《そういう場面を見た事があるのか?》
《はい...暴走族『紅璃無斗』の5代目総長に彼女が暴力を受けた時......喧嘩を挑んで叩きのめしていました》
《!?あの『紅璃無斗』の総長をか!?》
《はい...信じようが信じまいが勝手ですが......とにかく、俺達の知っているアイツはあんな人間に同類扱いされる様な人間じゃないんです!!》
《そうか...解った!俺は信じるぜ!!》
《俺もだ!》
《あっ...私...この人を知ってるわ!担任になった事は無いけど...高校の時にいたわ!!》
《マジ!自殺未遂になった女子高生は!?》
《えぇ...自殺未遂なのかは知らないけど...隣のクラスで転校した子はいるわ》
《その人...眼鏡を掛けていて...瞳が青くありませんでしたか?ハーフって感じで...》
《外見は知らないかな...部活が同じだった子が隣のクラスにいたから聞いてみるわ》
《すみません》
《いいわよ!本当の事なら...同じ女として赦せないわ!》
少しして...スマホに通知があった。
《分かったわよ...転校した女の子...多分、言っていた通りの容姿だったわ...それと...鎖島が教え子と交際しているって噂も聞いた事があるって》
《そうですか...ありがとうございます》
《しかし...赦せないわねぇ!罪悪感を覚えるのは仕方無いけど...それを罪も無い...立場が弱い相手に向けるなんて!!》
《あぁ!赦せねえよ!自分が赦せねぇなら自分に向けろよ!!》
《おい!徹底的に拡散してやろうぜ!こんな奴に教壇に立つ資格なんてねぇよ!!》
「っという感じなんだ」
「「「「「......」」」」」
賢はクラスメイト達に担任代行である男性教師『鎖島光正』が彼らの友人でクラスメイトであるハチベエを目の敵にする理由をネット民から提供された証拠付きで話していた。賢の前には他クラスの人間であるお嬢様『八ッ橋あやめ』や中等部の巨乳美少女『月野弓雁』と忍者美少女『鳳桐乃』、女子寮の責任者でもある女性教師『雨柳つばめ』もいる。そして、ハチベエの想い人であるツンデレ美少女『天幕桜子』が怒りに顔を真っ赤にして叫んだ。
「ふざけんじゃないわよ!保身の為に恋人を切り捨てた自分をハチベエに重ねて八つ当たりをしている!?ハチベエはそんな卑怯者じゃないわよ!!」
「そうですよ!!ハチベエさんはそんな人に同類扱いされる様な人じゃないです!!」
「己の弱さで恋人を自殺に追い遣った自分への怒りをハチベエにぶつけておるのか!?最低だな!卑怯者が!!」
「そうですわ!ハチベエ様はそんな男ではありませんわ!」
「まったくや!卑怯モンが!!教師としても女として赦せへん!!」
いきり立つ女性陣に男子生徒『菊乃盃二』が賢に尋ねる。彼は比較的に冷静だが...険しい顔をしている。普段は穏やかな性格をしたイケメンである彼も流石に腹が立っているみたいだ。
「でも、どうして...ハチベエくんはあの人が押し付けている仕事を一生懸命に頑張っているの?」
「それは奴への仲間意識から証明したい事があるからだよ」
「証明?」
賢は目を指差しながら言葉を続ける。ハチベエの好きな桜子の瞳を指し示す。
「野郎が切り捨てた恋人は...天幕さんに似ているんだよ」
「えっ!?」
「それで......奴の話を聞いたハチベエは自分も同じ事をしてしまうかも?と思っちゃったんだ」
「そんな事......心配する必要は無いよ!」
「俺もそう思う......ハチベエが野郎...自分自身に証明したいのは...」
「......」
桜子は黙って聞いていた...鎖島という教師がハチベエを目の敵にするきっかけが自分だという事を聞いて彼が証明したい事に勘付いていたのである。他の仲間達も黙って見ている。
「天幕さんへの愛だ!」
「!?あの馬鹿ぁ!!」
桜子は涙目になりながら教室を飛び出して行った......他のクラスメイト達も後を続いて行った。その頃...体育館ではハチベエに過去の事を咎められて逆上した鎖島が彼の事を殴っていたのを通りかかった生徒達が制止している最中であった。顔が腫れ上がっているハチベエの許に桜子が現れた。
「ハチベエ!」
「天幕?」
「馬鹿ぁ!!」
「へっ!?なっ、何だよ?」
桜子は涙目で鎖島を指差しながら叫んだ!力の限りに叫んだのだ!!
「諌山君から全部聞いたわ!こんな卑怯者の言う事を真に受けてんじゃないわよ!!」
「!?」
「えっ......なっ、何を!?」
「あんたが我が身可愛さにあたしを傷付けるですって!?あたしの知っているあんたはそんな男じゃないわよ!!」
「ちょっ!」
桜子の言葉に驚いているハチベエに桜子の背後から仲間達が現れて続々と声を発した。
「そうですよ!ハチベエさんは他人の為に身体を張れる熱い人です!!」
「こんな卑怯者の言う事なんぞ!気にするな!!」
「そうですわ!相手にする価値もありませんわ!!こんな人!!」
「そうだよ!ハチベエ君!!」
「「「「「そうだ!そうだ!!」」」」」
「みっ...みんな!」
愛する桜子を始めとした仲間達とクラスメイト達の言葉に呆然としているハチベエにつばめ先生が話しかける。
「ハチベエ!何で相談してくれなかったんや!!」
「雨柳先生......」
「何で......お前がこんな男に同類意識を持っておるのかは知らんが...ウチは...お前を知っている皆はこんな男と前田ハチベエが同類やなんて思っておらん!!」
「......ごめんなさい」
作品名:狭い世界の連中に世間の常識を 作家名:ブロンズ・ハーミット