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ブロンズ・ハーミット
ブロンズ・ハーミット
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ヒロアカ世界でありそうな事~人気調査3~

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【悪魔の母親】




「あの人...まだかしら?」

その日...1人の女性が●●駅の改札口近くで立っていた。携帯電話で時間を確認しており、どうやら、待ち合わせの様子である。20代半ばといった感じの黒髪ショートヘアをした女性であり、何処にもいそうな人物である。駅のアナウンスで待ち合わせの相手が乗っているだろう電車が到着した事が告げられた時だった。1人の少年が女性に話しかけて来た。

「すみません...ちょっといいですか?」
「えっ?」

声を掛けられた女性が目線を向けると何処かの制服を着た高校生程度の少年が立っていた。眼鏡を掛けた大人しそうな容貌だが...女性を見る目が何処か怒りを孕んでおり、声音も冷たかった。まるで罪人でも見ているかのような表情である。

「なっ...何ですか!えっと...あなたは?」
「僕は通りすがりの者です......“個性”であなたの未来を見たので少し時間を下さい」
「みっ...未来!?」

女性の言葉を聞いた少年は右手を差し出したのだった。

「僕の“個性”は自分の視たモノを人に伝える事が出来ます...手首を掴んで下さい」
「......」
「早く!あなただけじゃない!!色々な人達の危険と尊厳が掛かっているんですよ!!」
「わっ...分かりました!!」

女性は少年の剣幕に促される形で彼の手首を掴んでいた。周囲では通行人達が訝しげな表情で彼らを眺めているも大半はそのまま通り過ぎている。女性が男子高校生?の手首を掴んだ瞬間...女性の脳裏にとある物語が流れて来た......それは1人の悪辣な少年の物語であった。女性は少年を女手一つで育てている母親であり、少年『斎藤悠介』は成績優秀な優等生で母親想いの優しい少年であった......彼女の前では
悠介の正体は通っている中学で凄惨な虐めを行っている『悪魔』であった。相手に後遺症の残る様な傷害、兄の前で妹を強姦、殺人以外の様々な悪事を行っていた。母親である女性は気付いていたが...現実を受け入れる事が出来ずに見て見ぬ振りをしていた。そして、息子は記憶喪失になるも...行った悪事は消えた事にはならず......被害者達の怨恨は母親である女性にも向かったのだった。息子は結果的に20代で死亡、女性は息子への復讐として家に放火されて後遺症で介護無しで生活出来ない身体となってしまう。

「......あぁぁぁあああ!!あああぁぁぁあああ!!」

女性は何時の間にか...男子高校生の手首を離して叫んでいたのだった。自分の腹を痛めて産む息子が行う凄惨な犯罪行為を見た事で泣きながら叫んでいたのである。

「●●?君っ!何をしているんだ!?」

1人の背広姿の男性が険しい表情で男子高校生に話しかけて来た。どうやら、女性の交際相手みたいであり、男子高校生は背広姿の男性の顔を見て気付いた......“コイツが悪魔の父親だな”と

「この人に僕の“個性”で未来を教えてあげたんですよ」
「みっ、未来!?」
「はい...あなたも見て下さい」

少年は女性と同様の自分の右手を差し出して手首を掴む様に促した。背広姿の男性は訝し気に見ている。

「あなたと彼女が結ばれたら...どんな人生になるかが解ると思います」
「......」

男性は恐る恐るという感じで男子高校生の手首を掴んだのだった。その瞬間...彼の脳裏に恋人が主人公の母親として登場する物語が流れて来たのである。背広姿の男性は主人公の顔立ちと名前から『悪魔』が自分の息子である事に気付いてしまった。物語が終わった後...背広姿の男性は呆然とした顔をしており、膝からガックリと崩れ落ちた。

「......今のが...俺達の未来?あんな...人の皮を被った悪魔が......俺達の息子...?」

男子高校生は主人公『斎藤悠介』に対する怒りと嫌悪を籠めながら奴にそっくりな父親の胸倉を掴むと彼の身体を持ち上げて目線を合しながら言った。

「世の中には...様々事情で悪魔の様な決断や行為を強いられてしまった人間はいます」
「......」
「だけど!アイツのやった事は己の楽しみしか無い!やらなくても良い事なのは明白でしょう!!」
「......」
「そんな...自分の快楽の為だけに人を傷付けた人間が“改心”しようが!最初から真面目で人に優しく生きている人間に優る訳が無い!!」
「......そうだな」
「人には色々な一面がある!?ふざけるな!限度があるだろう!!」
「......」
「記憶を失おうが!その後で誰かを助けようが!!『斎藤悠介』という男は僕が今まで見た中で最低最悪の“主人公(おとこ)”だ!!!!!!」
「......あぁ...その通りだ...」

斎藤悠介の父親(予定)の返事を聞いた男子高校生『四世調』は彼の胸倉を離すと床に倒れ伏して泣いている女性と呆然としている背広姿の男性を一瞥して駅員さんを呼んだのだった。そして、近くの派出所にいる警察官に自分が視たモノを伝えたのだった。まだ生まれてすらいない人間であるが...ブラックリストには掲載されるだろう...最低でも母親の名前が

「やっぱり、別れるのか?」
「えぇ...私はあんな悪魔を如何にか出来る自信は無いわ」
「これから、どうするんだ?」
「私...子供を作る気はもう無いわ...あなたは?」
「俺もだ...自分の血の中にあんな悪魔が眠っているのかと思うと怖くて子供なんて作れないよ......」
「私もよ......子供を産む気なら...あんな人間に育ったら殺す覚悟が無いと無理よ...」
「さようなら......俺達は会うべきじゃなかったのかもな...」
「さよなら」

お互いに別れを告げ合った後...一組の男女は二度と会う事は無かった。そして、この世界の片隅に生まれるかも知れなかった1人の『悪魔』は生れる前に消え去ったのだった。




【悪魔となる男達】



明智学園高等部2年A組に所属している男子生徒『荒井翔太』の人生が変わったのは彼が進級してクラス替えで新しいクラスに配属された初日の事だった。荒井翔太という少年は成績が優秀なのを除いたらごく普通の男子高校生である。理系科目が得意で全国模試での成績も良く...このままの成績を維持出来たら都内の有名大学も夢ではないと教師に言われている。性格は大人しかったが、コミュ障というレベルではなく、普通に友達も“いた”。

「錠助君、今年も同じクラスだね!」
「あぁ、宜しくな」

そんな彼のクラスに校内で有名な男子生徒『四世調』がいたのである。荒井も四世の事は知っていた...人の顔を見ると平行世界で出版とかされている“創作物の登場人物”としての役割や評判が分かるという“個性”を持っており、その能力で小学6年生の時、担任が高校時代にクラスメイトを虐めで自殺に追い遣ったという過去を周囲に暴露して退職に追い込み、中等部二年時は未来に強姦幇助の罪を犯す予定の少年を学校から追い出したと聞いている。学校の皆は問題を起こす彼を厄介者と思うと同時に...彼の“個性”といざという時に並外れた行動力を発揮する人柄を頼りとしている面もある。