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zoku勇者 ドラクエⅨ編2 解雇された天使~束の間の休日

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天使界を襲った悲劇から、数日が立ち……。地上でもあの
大地震による壊滅的被害をあちらこちらで受け、数々の影響や
災害を引き起こしていた。地上に君臨するモンスターの数も
此処最近ではあっという間に増え、その勢力を増していた……。
 
「……おい、其処のお前っ!何ぼーっとしてやがる!誰かと思えば、
この間の大地震で突然村に転がり込んだ得体の知れねえバカな
ジャミ公じゃねえか!」
 
「何だよ、お前のその変なツッパリ前髪、……タワシみてえ」
 
「なっ!?……こ、こいつっ!?」
 
地上へと墜落したジャミルは、此処……、自分の元・護衛担当地区の
ウォルロ村へお世話になっていた。ジャミルはウォルロ村の天使像の
前に突っ立って像を眺めていた処であった。自分の名前が刻まれている
天使の像を。
 
「何か、この像……、いいよな、前はそうは思わなかったけどよ……、
鉾高いわ……」
 
天使の力を失ってしまったジャミルは人間達にも自分の姿が見える様に
なってしまっていた。……頭の光輪も、背中の翼ももう無い。しかし、
幽霊などの姿は相変わらず普通に見えたり、会話したり出来る能力は
残ったままだった。
 
「はあ、何でリッカの奴……、こんな得体の知れない奴の
面倒見てんだよ!どっから来たのかも言わねえし、着てる服も
変だし!どう考えても怪しいんだよ!」
 
「俺知らねーもん!」
 
(……ボソ、きっと、リッカは奴が守護天使様と同じ名前だから
気に入ってるだけですよ……)
 
子分はニードの耳元でボソボソ、小声で話をしていた。
 
「フン、その名前も本当かどうか怪しいモンだな……、大方売れない
旅芸人が天使の名前を象って飯でもありつこうとしてんだろ、いいか、
あんまり調子に乗るなよ、よく覚えとけ、村で一番ど偉いのは……、
このニード様なんだからよ!」
 
……ジャミルは旅芸人の称号を得た……。
 
「へえ~、さいですか、ご立派でヤンスね!はー立派立派!」
 
しかし、ジャミルはニードに対し、余計牙を剥くのである。ニードは
ますますかちんと来る。
 
「いいか!この村で妙な真似しやがったら只じゃおかねえかんな!」
 
「……ニードさんはリッカがアンタを構うのが面白くねえのさ……」
 
「ば、ばかやろうっ!余計な事うなっ!あ!」
 
其処へ、オレンジバンダナの少女がずんずん登場。リッカである……。
リッカは腕を組んでニードの前に仁王立ち。……コラ!めっ!をする。
 
「ちょっと2人とも!……ウチのジャミルに何の用なのっ!?」
 
「別になんにも~?こいつに村でのルールを色々と教えてただけさ、
まるで常識ねえからな、じゃあ!」
 
「あっ、ちょっと待ちなさいよっ!ニードっ!……もう~!」
 
ニードは子分を連れ慌てて引上げて行く。その様子を見ていたリッカは
心底呆れるのであった。
 
「ごめんね、ジャミル……、ニードが失礼な事言って……」
 
「ん?別にいいよ、気にしてねえし、得体の知れねーのは本当だし」
 
「……どうしてニードってあんなに威張ってばっかりいるのかなあ……、
昔はもっと素直だったのに……、処で、ジャミル、もう出歩くなんて、
怪我の方はすっかり大丈夫みたいね……」
 
「ああ、お蔭でな、この通りピンピンさ、アンタの手当のお陰だよ!」
 
ジャミルはリッカの方を向いて笑う。リッカはジャミルの言葉を聞き、
笑顔を見せた。
 
「うん、……でも、あの時は本当にびっくりしたわ、滝の側で
大怪我をして倒れていたあなたを見つけた時は……、あの大地震に
巻き込まれたんだろうけど、……もう少し遅かったら……、本当に
危ない処だったのよ……」
 
「ああ、俺、悪運だけは強いからな……、へへ……」
 
「ふふ、じゃあ私、お家に戻るね、折角歩けるようになったんだから、
ジャミルも村の人に挨拶回りに行って来たらどうかな?あ、お夕飯までには
戻るんだよ、でも、あまり無理しちゃ駄目だよ、折角怪我が治ったんだから、
じゃあね!」
 
リッカはジャミルに手を振りジャミルもリッカを見送る。
……大地震の影響により、村を訪れる旅人なども減り、
リッカの宿は客足が遠のき、ますます経営が厳しい状況に陥っていた。
 
「折角助けて貰ったんだから……、何とかしてやりてえなあ……、
いっその事、こうなったら開き直って、マジでお笑い旅芸人として
生きて金を稼ぐか……」
 
ブツブツ言いながら歩いていると、いつの間にか村に有る
滝の近くまで来ていた。天使界から落下した後、どうやら
自分はそのままこの滝に落ちたらしい。そして、気が付いた
時にはリッカに助けられて……。
 
「……」
 
ジャミルはよそ者の自分を必死で助けてくれたリッカに今度は自分が
恩返しをする番だと思い、……本気でお笑い旅芸人としての仕事を
探そうと思った。まずは村の外へと行ってみるかと思い、村の正門の
近くまでやって来たのだが……。
 
「駄目駄目!あんたも知ってるだろう!この間の地震でモンスターの数が
圧倒的に増えてるんだ、現に此処最近では何人も旅人達がやられてる、
危なくて出歩けたモンじゃないよ!さ、帰んな帰んな!」
 
まずはバイトでもいいから仕事を探そうと外に出ようとしたが、
村の守り番に追い返される。日も暮れて来たので、仕方なしに
今日はリッカの実家に戻る事にした。……去り際に守り番の、
……全く守護天使のジャミル様は何してるんだ……、との、小声の
小言がジャミルの耳に聞こえた。
 
「あら、……リッカさんの処の……、確か、ジャミルさんでしたか?
お怪我の方はもう宜しいのですか?」
 
「あ、ども、へへ……、お陰さんで、すっかりこの通り……」
 
リッカの家に戻る最中に、散歩途中の教会のシスターと出くわす。
以前、この村で星のオーラを集めていた際に教会で見掛け、大切な
指輪を無くし、落ち込んでいたお婆さんを慰めていたシスターさんである。
 
「滝に落ちて助かるなんて、あなたはとても運がいいのね、そうね、
守護天使様と同じ名前ですもの、あなたにはきっと守護天使様が
いつも見守っていて下さるのね……」
 
「ハア、そうなのかな……」
 
ジャミルは項垂れながら、更に村の中を歩く。……と、突如、
一軒の家から外まで聞こえてくる程の凄まじい怒鳴り声が
聞こえてくる。リッカの家に戻ろうとしていたジャミルは一旦
足を止め、野次馬根性丸出しで、その家に近寄って行った。
そーっと玄関の前に立ち耳を澄ます……。怒られているのは、
ニード……。此処は村で一番大きな家の部類に当たるであろう、
村長の屋敷である。
 
「全くお前は!いい年こいて遊びほうけてばかりおって!
少しは宿屋のリッカを見習って村の為に真面目に働いたら
どうだ!?」
 
「……リッカは関係ねえだろ!オレはオレのやりたい事を
探してるんだ!やりたい事さえ見つけられれば、オレだって
真面目に働くさ、……多分……」
 
「ニードっ!……待ちなさいっ!」
 
ニードは村長から顔を背け、再び外へと逃げようと勢いよく
玄関のドアを開けた……。開かれた扉は近くにいたジャミルの顔に
思い切りぶつかる。
 
「いってええーーっ!!」