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zoku勇者 ドラクエⅨ編5 姫君と黒騎士・2

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「に、しても何処から見ても変わった形の釜だなあ、よっ!」

ジャミルは試しに釜を指でピンして弾いてみた。すると……。

「……んごごごごご!!」

「わあっ!?こ、こいつ何か動いたけど!!」

釜が突然ブルブル動き出し、鼾を掻き始めたのである。

「あはっ、なんか可愛いね!」

「モン!」

……天然アイシャの感覚は置いておいて。やはりこれは只の
釜ではないらしい。ジャミルはもう一度釜を指で突いてみた。
すると釜はまた震え出す。

「はっ!ね、寝てません!私は寝てなどいませんよっと!」

「……」

釜が今度は喋り出した。しかしジャミル達はもう何が起きても驚かない。
喋る錬金釜は目の前で自分を見ているジャミルの視線に気づく。

「あなたにはどうも私の言葉が分かる様ですが……」

「一応……」

「そうですか、お初にお目に掛かります、私は錬金術を行う魔法の釜、
錬金釜のカマエルと申します、錬金術とは、アイテムとアイテムを
掛け合わせ、選りすぐれたアイテムを生み出す奇跡の見技でございます」

「へえ、アイテム同士でアイテムを生み出すのか……」

ジャミルは脳内でまた余計な事を考えた。……ヘタレとジャジャ馬と
腹黒と、小デブ座布団と、……ガングロを釜に突っ込んだら何が
出来るのかと。

「何っ!また何か変な事考えたわねっ!ジャミルっ!」

「スリッパ出そうか?うふふ~……」

「自分を入れてないじゃないか!ずるいよおー!」

「ブブーモン!」

どうやら、もう皆さん、長年の腐れ縁で、ジャミルが何か変な事を
考えれば大体顔で分かってしまうらしい。サンディに関しては発光体の
まま、つまんネーつまんネー、早く峠に戻ろうヨー!と、ブツブツ
呟いていた為、気がつかなかったらしいが。

「まあまあ、皆さん、そう興奮しないで、また遠出するんでしょ?
出発の前にお茶のお代わりと、クッキーをご飯の後にいかがですか?
種はもう作ってあるの、後はオーブンで焼けばいいだけだから」

「わあ、リッカ、ありがとうー!」

リッカのお持て成しに機嫌が良くなるアイシャ。ジャミルは助かったと
胸をなで下ろす。この4人の暴走ぷりも、リッカも大分分かってきては
いたが、それでもいつも宿屋で場を盛り上げてくれる明るい(お馬鹿)
4人組を心から見守って陰からサポートしてくれていた。

「あの、話を此方にお戻し下さい……、時に、あなたはもしかして、
私の長年の探し求めていた主、私が仕えるべきご主人様では
ございませんか?」

何だか構って欲しそうなカマエル。ジャミルに向かって何やら
ブツブツと……。

「いや、人違……、いてっ!」

「そうかも知れないね、ジャミルは君のご主人様だよ」

アルベルトはスリッパで軽くジャミルの頭を叩き、頭を下に向け
返事をさせた。

「……アルぅ~、てめえ~……」

ジャミルは叩かれた頭を押さえて呻いているが、アルベルトは
横を向いて誤魔化している。

「やはりそうでしたか、ああ、ご主人様に会えて、私、感涙の涙、
涙……、でございます……」

釜は今度はだーっと涙を流し始めた……。

「い、いや、何もそんな泣かなくても……、困ったなあ……」

「そうだよお、そんなに気を遣わなくていいんだよお!」

「るせー!バカダウドっ!!」

今度はまたこっちのコンビが暴れそうになるが、アルベルトが取り出した
スリッパを見てピタッと止まったのだった。

「それでは早速錬金を………、と、言いたい処ですが、まずはこれをお持ち下さい」

「……ほ、本っ!?」

カマエルが釜から出した本を見てジャミルが慌てるが、アルベルトが
代わりにさっと本を取る。

「これは……レシピブック?基本の薬草を使った調合の仕方が載ってる……」

「錬金レシピブックを持ってさえいれば誰にでも簡単に錬金が
出来てしまうスグレモノですぞ、今は登録されているレシピは
僅かですが、世界の本棚には無数のレシピが眠っている筈、それらを
全て集め、是非錬金の奥義を共に極めましょうぞ!」

「……世界の……本棚……」

レシピブックを持ったまま、にへえ~……顔になるアルベルト。
嬉しいのか顔面崩壊してきた。怖いので、他の3人はアルベルトから
少し目線を反らした。

「と、そんな遠大な目的はさておき、何事もまずは基本からです、
試しに簡単な錬金からやってみましょう、お勧めはレシピで錬金ですぞ」

「ふ~ん、んじゃ、まずは此処に載ってる上薬草をやってみるかね」

ジャミルはレシピの作り方通り、薬草と薬草をカマエルの中に
突っ込み錬金する。すると、あっという間に、上薬草が出来上がった。

「おお、結構面白いなあ……」

(ちょっとッ!いつまでこのキタネーカマと戯れてるワケッ!?
いい加減に峠に戻るのッ!もうアタシ、我慢の限界ッ!!)

調子に乗ったジャミルはもっと錬金をしてみようとしたが、
サンディに阻止される。……朝食も食べかけのままだったのも
すっかり忘れていたのだった。結局、サンディに急かされた為、
予定よりも早くセントシュタインを出なければならず、リッカの
折角のクッキーも口にする事が出来なかったのだった。4人は
カマエルの事をリッカに頼み、セントシュタインを後にし、
峠の道へと戻る。