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zoku勇者 ドラクエⅨ編5 姫君と黒騎士・2

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「ええ、アイシャさん、有り難う……、モンさんもお元気で、またお化粧
したくなったらいつでもいらっしゃって」

「モ~ン」

……頼むからそれだけは勘弁して下さいとジャミルは思うのであった。
そして、姫とも別れを告げ、宝物庫から宝を頂戴し城を後にすると
4人は町の方へと戻った。

「グッジョブ、ジャミルっ!この町の人間、みんなアンタに
感謝してるっぽいネ、その証拠にホラ、この国の周り、こんなに
沢山の星のオーラが出てんのヨ!」

「……そうなん?」

「ああ、こりゃまた、アンタ星のオーラ見えなかったんだよネ!
マジうける!まあ、流石にここまでやれば神サマもアタシ達の
こと見つけて天界に帰さないワケにいかないっしょ、ささ、
天の箱船がある峠の道まで戻るヨっ!」

「……ちょ、ちょい待てよ!」

「何サ!ああ、アンタ、国王が言ってた北東の関所の向こうが
気になるワケ?でも、そんなのあとあとだよっ!アタシらの
目的は天界に帰る事なんだから!」

ルディアノでは隠れていてほぼ何もしなかったサンディ。事が
終われば自分の目的を達成しようとし、我儘傲慢である。しかし、
疲れていたヘタレがブチ切れ立ち上がる。

「だめだよお!今日はみんな疲れてんだから!オイラもう、今日は
絶対町から出ないからね!」

「サンディ、休む事も必要だから、疲れている中、無理をして
またみんな怪我でもしたらそれこそ大変な事になってしまうよ」

「ち!わっかりましたよ~だ!バーカアホアホ能無し集団!」

「……」

アルベルトの言葉にサンディは再び発光体になり姿を消す。
しかし、自分は散々休んでおいてそれはねえだろう状態である。
下手をすると、これもそのウチにアルベルトのスリッパ乱舞の
候補だった。しかし、一応はレディなので、まあそれはないと
思うが、何か別の形で軽いお仕置きをして一度懲らしめて
やりたいもんである。

「オウ、雅にブラック企業ガングロ……」

ぼやくジャミル。とりあえず、今日はどうにか休めそうだった。
4人は久々にリッカの宿屋へ。宿屋ではリッカが早速皆を
お出迎えしてくれたのである。

「ジャミル、お帰りなさーい!もう、町中もう噂で持ちきりだよ!
旅芸人ジャミルご一行様がこの国を危機から救ったんだって!
ふふ、私も友達として鼻が高いよ!」

「い、いや……、別にそんな大した事はしてねえよ……」

「おや?いつもふてぶてしい態度の君が嫌に消極的だね、リッカの前で
遠慮してるのかな?もっと胸を張りなよ」

「……うるせー!腹黒っ!オメーは俺に気イ遣ってんのか馬鹿にしてんのか
どっちなんだっ!」

多分、どっちもである。アルベルトは只管笑いを堪えている。
3の時の様に、勇者がこの国を救ったという表現ならまだしも
カッコがつくが、今回はお笑い旅芸人にされてしまっている為、
ジャミルも複雑なんである。

「あう~、オイラもう駄目で~す、お腹がすいて……」

「モ~ン!」

ダウドとモンがその場にしゃがみ込む。それを見たリッカは慌てた。

「だ、大丈夫っ!?2人とも、わあ、本当にみんな凄く
頑張ったんだね!よ~し、今日は腕によりを掛けて
とびっきりの美味しい夕ご飯作るからね!」

「悪いなあ、リッカ、こいつらが卑しくてよ……」

「ジャミルに言われたくないんだよお!」

「モンプーー!」

「やめなさいったら!恥ずかしいんだから!……えへへ、実は
リッカのご飯、私も凄く楽しみなの!期待しちゃうね!」

「うん、任せてっ!」

リッカはアイシャに手を振ると、カウンターの仕事を他の従業員と交代し、
一時、厨房の方へ食事作りへと姿を消した。

「おい、どさくさに紛れて……、さっきオメーの方から何か……、
奇妙な音が聞こえたんだけど」

「!!な、何よう!私、お腹なんかそんなに大きな音で鳴らしてないもん!」

「へえ~、俺、腹が鳴ったとはまだ言ってないぞ、ま、確定か」

「!!……きゃ、きゃああーっ!ジャミルのバカ――っ!!」

いつも通り、ジャミルとアイシャ、天然バカップルのじゃれ合いが始まる。
ロビーにいる他の客はゲラゲラ笑い、アルベルトとダウドは顔を赤くした。

「モーン!お腹なんか鳴らしてないモンーー!」

「モンちゃんもっ!……こらああーーっ!!」

何はともあれ。現場は和気藹々とした雰囲気になった。そして夕食。
リッカ特製、英雄さん達お疲れ様、SPディナーが運ばれて来る。
メニューはあさりのシチュー、オムレツ、スパイスたっぷりの
焼いたお肉、海鮮サラダと盛り沢山。ジャミル達はリッカに感謝
しながら、美味しい夕ご飯に舌鼓をうち、今回の冒険の疲れを癒やす。
また明日から新しい冒険が始まる。今夜はしっかり休んでおこうと
4人はそう思ったのだった。

「ごちそうさん!ふぃ~、もう食えねえ……」

「ご馳走様でした、うん、本当に美味しかったよ、リッカ」

「私も余りにもご飯が美味しすぎて、つい食べ過ぎちゃったわ、
ど、どうしよう……」

アイシャが心配そうに自分のお腹に手を当てる。それを見たダウドが
余計なフォローを入れた。

「いいんだよお、人間素直になんなきゃ、見てごらんよお、
モンを、ありのままに生きようよお、アイシャも立派な
ぽんぽこ仲間じゃないかあ」

「もう駄目モン、お腹破裂するモン……」

アイシャは太鼓腹状態のモンの方を見ると、無言でダウドの足を
思い切り踏んだ。

「……いだあああーーっ!!」

「……いいわよ、今日の分のカロリーはまた明日からのバトルで
消費するんだからっ!」

と、密かな闘志を燃やすのだった。

翌朝。ロビーにて朝食を取っていたジャミル達の処へ何やら
小さな釜の様な物を抱えたリッカがやって来る。

「ねえ、見て見て!これ、地下室で掃除をしてたらこんなの
見つけちゃったんだ!」

「何だい?それ……」

また得体の知れない釜の出現にジャミルは首を傾げた。

「うん、ルイーダさんにも聞いてみたの、これ、錬金釜っていう
らしいの、昔この宿屋に泊まった貧しい錬金術師のお客さんが
宿代代わりに置いていったんだって!どうやって使うのかは
分からないけど、ちょっと曰くのあるお品みたいだし、此処の
カウンターの処に飾っておく事にするね、よいしょと」

リッカはそう言うと釜をいつもの自分の仕事場所、カウンターの
上に置いた。

「うん、こうして見るとなかなか味のある形だよね、きっとこの宿屋に
幸運を運んでくれるわ!」

そうかなあ~、と、ジャミルは思うが。それにしても変わった
形の釜である。ジャミルは試しにと思い、飯の手を一端離れ、
リッカがいるカウンターの方へと近づく。

「ふう~ん、珍しいねえ、ご飯に食いついたら食べ終わるまで
絶対離さないのにさあ」

「バカダウっ!うっせー!」

「僕もちょっと興味があるなあ」

「私にも見せてー!」

「モンー!」

アルベルトもアイシャもカウンターの方へ。終いにはモンまで
行ってしまった。何がそんなに面白そうなんだか分からないよお~、
と、思いながらも、自分だけ仲間はずれは嫌なので、仕方なしに
ダウドもテーブルを離れた。