zoku勇者 ドラクエⅨ編6 ……いつもあなたと・1
だって!?だからもう何も心配しなくていいんですよって、
町長さんの言ったとおりだったんだな!」
「はあ……、どうも……」
町民達は4人組の姿を見かけた途端、集まって来る。……昨日までとは
まるで打って変わって町の中を漂う風も雰囲気も本当に流れが変わり、
穏やかな感じになりつつあった。
「して、ルーフィン先生……、いや、大先生は一緒じゃないのかい?」
「いや、まだ調べ物があるから残るって、俺ら先に戻って来たんだよ」
「そうか、いやあ~、あんたらが町を出てってから暫くして、
苦しんでいた病人達がみんな元気になったんだ、いやあ、本当に
あのルーフィン先生って凄い大先生だったんだな!」
「……」
「いや、先生の事ばっかり褒めてる様に見えるけど、わしら
あんたらにも本当に感謝してるんですよ、あんた達がいなきゃ、
そもそも先生は封印のほこらに行けなかったって話ですから……、
先生は元々あのほこらを調べる為、この町にやって来たんですよ、
けれど、町長さんが町の掟に反するからと、ずっと拒んでいた
様ですね……」
「なるほど……、な、どうりで仲があまり良くなかったワケは
その辺にもあったのか……」
「後は……、先生にも、もう少し人を思いやる気持ちがあれば、
エリザちゃんも苦労しないだろうにねえ……」
「まったくだよお、……威張ってばっかで冗談じゃないよお!」
「あはは……、それでは僕らは町長さんの所へ遺跡の報告に
行きますので、皆さんもどうかゆっくり身体を休めて下さいね……」
「兄ちゃん達もなあ、事が終わったらしっかり休んでくれよ!」
愚痴るダウドの背中を突いて笑いながらアルベルトが先に歩き出す。
その後をジャミル、アイシャが歩いて行き、モンも宙をふよふよ
飛んでいった。再び町長の家を訪れたジャミル達を町長は喜んで
出迎えてくれた。
「おお、待ちかねましたぞ、ジャミルさん達!本当にご苦労様でした!
どうやら病魔とやらの封印は上手くいったようですな……、まさか
あの男が本当にやってくれるとは!……して、奴は何処に……?
姿が見えない様ですが……」
「うん、実はさ……」
「そうでしたか、あの学者バカめ、少し見直してやったかと思ったら
これか、まあそれもよかろう、今夜は祝いの宴だ、ジャミルさん達も
是非、顔を出して下さい、エリザにも伝えておいてくれませんか?奴の
活躍を聞けばさぞかしエリザも喜ぶ事でしょうて……」
「ああ、そうさせて貰うよ、みんな、俺らも一旦宿屋に戻って休もうや、
……まるでドラキュラ状態だよ、あふう~……」
ジャミルが欠伸をすると、釣られてアルベルト達も欠伸する。
……モンも一緒に大口を開け、グロテスクな凄まじい欠伸をした……。
「ジャミル、休む前に先にエリザさんの所へ寄った方がいいと
思うの、きっとルーフィンさんの事、心配してる筈だわ……」
「そうだね、町長さんにも頼まれてるしね……」
「うん、そうだよお、ぐう……」
またダウドは突っ立ったままくうくう居眠りしながら喋っている。
しかし器用である……。くっちゃべっていると、町長の奥さんが
皆の所にやって来る。
「お疲れの処、お手数お掛けしてしまいますが、御願いします、
エリザったら、近くに住んでいるのにお嫁に行ったらあまり
こっちには顔を出してくれないんですもの……、親としては
寂しいわ……」
「分かりました、じゃあ、俺らこれで一旦失礼します……」
ジャミル達は外に出て、エリザの住居へと向かう。玄関のドアを叩いて
エリザを呼ぶのだが……。
「ちわ、エリザさん……、俺らだよ、帰って来たよ、報告があるんだ、
……入ってもいいかな?」
しかし、返事はなく、エリザが一向に出てくる気配もない……。
「ありゃ、出掛けちまってるのかな……」
ジャミルは試しにドアノブを回してみるが、鍵は掛かっていない。
「エリザさん……?」
ジャミルの胸に、何となくチクリと痛みが走り、昨夜エリザが
家から出て行った時のあの悲しい予感が込み上げてきたのである……。
「一応……、確認してみるか、申し訳ねえ、泥棒じゃねえんだけどさ……」
「よく言うよお、……元世界じゃシーフじゃん、オイラ達!」
「るせー!バカダウっ!……おーい、エリザさーん!」
ジャミルはダウドに罵声を飛ばした後、急いで中へ。……確かに寝室に
エリザはいた。彼女は静かにベッドに横たわって休んでいた。だが。
「エリザさん、具合でも悪……」
彼女の顔は血の気がなく、生気もなくなっていた。ジャミルはそっと
彼女の手に触れる。……だが既に脈もなく、冷たく身体も冷えきっていた。
「嘘だろ……?冗談……だよな?」
「ジャミル、どうしたのっ!?」
後に続いて寝室にアイシャ達も駆け込んでくる。……ジャミルは
振り向いて、後から来た仲間達の顔を見て悲痛な表情を見せた……。
「エリザさんが……死んでる……息……してねえよ……」
「!!う、うそうそ……!嘘よっ!!」
「!!」
「……な、なんでえええ~……?」
「モン~……」
仲間達も何が起きたのか分からず、目の前で起きている事態を
認識出来ず受けいられずパニック状態に……。其処に……
ルーフィンが帰宅し寝室へ……。
「ただいま、エリザ、あの遺跡の調査にはしかるべき資料が必要でね、
取りに戻って……、ああ、あんた達ですか、お義父さんにちゃんと
報告はしてくれたんでしょうね?」
「……」
「何ですか、その面白くなさそうな顔は……、僕に何か不満が
あるんですか?いいですよ、言いたい事があるなら承りますが……!?」
しかし、ジャミル達は何も反論せず俯いて只管黙りこくる。
……下を向いて。ルーフィンはそんな4人の態度を見て
不振に思ったのか首を傾げる。そして、漸く気づくのである。
ベッドの上に横たわったままの変わり果てたエリザの姿に……。。
「……エリザ?どうしたんだい……、返事をしてくれよ、ま、
まさか……、死んでいる……のか?……嘘だ……、じょ、冗談は
やめてくれよ、僕は忙しいんだよ、……な?……やめてくれよ、
ふざけるな、怒るぞエリザっ!……!!」
「……」
ルーフィンは半狂乱で必死で彼女に呼びかけ、身体を揺さぶる。
しかし、もうエリザが返事をする事は二度と無かった。……あの
可愛い笑顔で、ルーくん……、と。エリザが昨夜咳き込んでいたのは
ホコリなんかの所為ではなかった。あの時既に危険な死の一歩手前の
状態だったのである……。自分の死を予感しながらも、彼女は只管
堪えて耐えていた。苦しみを誰にも告げずに笑顔で。心配掛けない様。
「まさか君も病魔の呪いに掛かって……、でも、病魔はちゃんと
封印した筈だ、町の連中だってもうとっくに治っている……、
もしかして、僕が病魔を封印した時に君はもう……、遅かった
……のか……?どうして……、どうして……、もっと早く言って
くれなかったんだ……、君が病魔に犯されていると知っていれば……、
もっと早く……急いだのに……、うう、エ、エリザぁぁぁ……」
……傲慢考古学者はジャミル達が側にいるにも関わらず、声を
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編6 ……いつもあなたと・1 作家名:流れ者



