zoku勇者 ドラクエⅨ編6 ……いつもあなたと・1
アルベルトの知恵もあって遺跡内の仕掛けをどうにか解いた4人。
左上のフロアと右上のフロアにある石像をごちゃごちゃいじった後、
塞がれている扉の前に戻った処、扉が開いて先に進める様になっていた。
「それにしても眠いよお、もうオイラ限界……」
「ダウド、頑張って……、もう少しよ……」
アイシャに励まされながらもダウドは立ったまま居眠りをこきながら
歩いて行った……。
「遅いですよ、やっと来ましたね……」
「おい……」
すでに中には傲慢考古学者がいた。何処かに隠れていて、タイミングを
見計らい扉が開いた瞬間、さっさと中に入ったのだろうか。
「見て下さい、古文書で見たとおりです、彼所に転がっているのは
病魔を封じていた封印の壺ですよ……」
「ひいいーーっ!?き、危険物だぁぁっ!?」
居眠りをこいていたダウドはその一言を聞いてすぐに目を覚ました。
「やはり地震で壊れているな……、封印の紋章が描かれた部分は
壊れていない、これなら何とか楽勝だな、後はこの僕が発明した
接着剤でさっさと壺を直して再び病魔を封印してしまえば……、
まずは散らばっている破片を集めて……、と、なあに、一流の
考古学者ならこれぐらい朝飯前ですよ!」
……随分なげえ独り言だなあと、ジャミルは思った。しかし今は
この男に全てを任せ見守るしかなかった……。
「ジャミル、皆!何か来るよっ!!」
アルベルトの叫びにジャミルは身構える。壺を直そうとした
ルーフィンの前にピンク色の悍ましい姿のどろどろした不気味な
姿の病原体モンスターがたちはだかる。恐らくこいつがベクセリアの
人々を苦しめている全ての元凶の病魔である。間違いは無い。
……病魔は4人とルーフィンに向かってイミフ口調で喋り掛けて来た。
「オろかナる しんニュウ者ヨ ワれヲ ふたタビ 封印せンと
やッテキたか…… ソうハさセヌ…… さセヌぞォォ! なんジに
病魔の ワザワイあレ!あレ!あレ! ワれのジャマをスる者 すベテ
ひトシク 死あルのミ!のミ!のミ!のミ!」
「出やがったな!この騒動野郎っ!!てか、ちゃんと喋れっ!!」
……だから、騒動野郎……、それはアンタもだよ……、と、
アルベルトは思う……。
「モンちゃん、何処か安全な場所に隠れて!すぐに終わらせるからね!」
「分かったモン、アイシャもみんなも気をつけてモン!」
「あっ、じゃあオイラも一緒に……」
「「だーめえええーー!!」」
ダウド以外の3人。……ダウドに顔を近づけ一斉に声を揃えた……。
「……分かってますよお、皆してハモらなくたっていいじゃん、
ぶつぶつ……」
「まだ壺を直してないのにっ!あなた達っ、僕が壺を直している間に
時間稼ぎをしておいて下さいね!さっさと早くこいつを倒しちゃって下さい!
……決してそいつを僕に近づけさせない様にっ!!頼みましたよっ!!」
「やれやれ、今回最大級級のパシリ仕事だよな……、ま、仕方ねえけどよ……」
ジャミルは壺を抱えてその場から何処かへと逃走する傲慢考古学者を見送る。
ルーフィンが此処でやられてしまっては元も子もない。壺が直るまで此処で
病魔モンスターを食い止めなければならない。4人はバトルモードへと入った。
「……全く、冗談じゃない!しかし奴らちゃんと役に立つんだろうか、
しっかり戦って食い止めておいて貰わないと!でも、もしもあいつらが
倒れたら終わりだなあ~……」
……ルーフィンの暴言にも負けず、ジャミル達は必死で身体を張って
病魔を食い止める。毒を食らい、甘い息で眠らされ……、散々な目に
遭いながらも真夜中の死闘を繰り広げていた。そんな中、傲慢考古学者は
等々壺の修復に成功した……。
「はあ、もうMPもないねえ……、オイラもう駄目だよお~……、絶望……」
「毒消しも薬草も……、もうないわよ……」
「くそっ、まだかよ、おっさんはっ!俺らだって限界だぞ!」
「みんな、もうあと少し、もう少し頑張ろう……、……ルーフィンさん……?」
「!!」
「やっと直りましたよ!おお、丁度いいタイミングだった様ですね!」
ズタボロの4人の前に、逃走していた傲慢考古学者が走って来た。
修復した壺を脇に抱えて。しかし、病魔も大分追い詰められており、
病魔の身体は既に頭部のみと化していた。だが、最後の力を振り絞り、
病魔も4人に止めを刺そうとしていた。雅に、やるかやられるかの
その時であった……。
「おのレのレ わが呪イよ…… コのオろかナる者どもに 死の病ヲ……」
「お、おっさん!……早くしてくれーーっ!!」
「ふふ、やはり最後はこの僕の出番ですね!さあ封印の壺よ!
悪しき魔を封印せよ!」
ルーフィンが壺を掲げた途端、病魔は一瞬にして壺に吸い込まれた。
……最後までイミフの不気味な声を発しながら……。
「ぎゅバばバばバば……」
こうして、小さな英雄達と一人の男の奮闘により、等々病魔は
再び封印された……。
「はあ~、や、やっと……」
「今回も……終わったね……」
「もう嫌ら……、勘弁してえええ~……」
「……」
「見てましたか、ジャミルさん!僕が病魔を封印したんですよ!
この僕が!……ふっ、ふふふふ……、これでお義父さんも僕の事を
認めざるを得ないでしょうね!」
……その場に疲れてしゃがみ込むジャミル達に対して何の心配も
しようともせず、ルーフィンは病魔を封印した事による自らの
才能にただ只管酔いしれていた。
「ジャミル、みんな、……大丈夫モン?お疲れ様モン……」
「モンか……、どうにか無事に終わったよ、ま、これで町の方も
落ち着いたんじゃねえかな……」
「モン……、でもみんな……傷だらけモン……」
「さーて、やる事はやったし、これで安心して遺跡の調査にも
手がつけられますよ、あ、あなた方はもう戻って結構ですよ、
いても気が散りますし、邪魔になるだけですから、それじゃ、
僕はこの奥を調べて来ますんで!報告の方は頼みますよ!」
「……」
……傲慢考古学者は遺跡の奥へと走って行った。余りにも自分勝手で
冷たいその態度に呆れてジャミル達はもう怒る気さえも起きなかった……。
疲れていた所為でもあるが……。
「シャアーーー!!」
「モン、いいよ、それより早く戻ろうぜ、MPも尽きたし、
もう完全に夜明けだ……」
「急いで出て来たから、キメラの翼も買っておくの忘れちゃったし……、
ストック分がないわ……」
「帰りも徒歩になってしまうけど、仕方ないよ、もう少し我慢しよう……」
「……徒歩ほのほお~……、だよお……」
すっかり夜が明けてしまった帰り道を……、4人は重い足取りで
町へと帰って行った……。
4人が再びベクセリアに戻って来た頃には更に日は昇っており、
町の人も皆新しい一日を迎え、動き出す頃。しかし、今まで家に
引き籠もっていた人々が動き出していたと言う事は、もうこの町から
病魔の脅威が完全に去り、平和を取り戻したと言う証拠でも
あったのである。
「おおっ、あんた達!お帰り!昨夜町長さんから聞いたんだよ、
ルーフィン先生と一緒に遺跡へ病魔を封印しに行ってくれたん
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編6 ……いつもあなたと・1 作家名:流れ者



