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ブロンズ・ハーミット
ブロンズ・ハーミット
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早乙女さん家のラスボス系お姉ちゃん

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【無差別格闘流史上最強の女】




中国の山奥で暮らしている女傑族の村で二人の女性が対峙している。一人は艶やかな黒髪を腰の辺りまで伸ばし、端整な顔立ちと小柄で細身の体躯をした美少女である。肌艶から10代半ばと思われるが…立ち振る舞いと雰囲気は年齢不相応な物である。Tシャツと短パンというラフな格好に胴衣の上だけを羽織っている。

「これで貴女達の技は全て覚えました」

もう一方の女性は100歳は越えているだろう…小柄な老婆である。彼女は冷や汗を流しながら美少女を畏敬を籠めた眼差しを向けている。

「まさか……我々の奥義を見ただけで覚えられた上に!より上の段階へと昇華させられるとは!」
「私はこれでお暇させて貰いますが…どうします?私の事も狙いますか?」
「いや…おぬし…否、貴女様なら女傑族を壊滅出来るでしょう…どんなに刺客を送っても彼女らを無傷で無力化させられ、それが貴女様がわしの年齢になるまで続くのでしょうな…」
「で?」
「貴女様の才能は……“天”の域に達する…人間が相手が出来る存在じゃない」
「大袈裟ですね」
「いえ……この年齢(とし)でこれだけのモノを見せて貰った事に感動さえしてますじゃ」

どうやら、女傑族の長老『コロン』は日本からやって来た武術家『早乙女まどか』の才能に魅せられた様子である。『早乙女まどか』は無差別格闘早乙女流の伝承者『早乙女玄馬』の娘であり、父親と弟の修行に着いて行く形で中国に渡り、二人が日本に帰った後も腕試しとして修行をしていた。

「中国で他にも強い方々はいますか?教えて下さいます?」
「はい…わしの知っている範囲なら」

コロンは興味本位とまどかが他の武術家達を圧倒すれば…女傑族として面子が立つと打算から彼女の質問を答えるとした。そして、中国本土中の武闘民族が日本からやって来た一人の美少女によって蹂躙されたのだった。




「おじ様!中国からお手紙が来ていますよ!」
「あっ!ありがとう!かすみちゃん」
「親父、誰からだ?」
「えっと~……!?」

此処は天道家の居間…夕食を終えた頃に天道家の長女『天道かすみ』が居候である中年男性『早乙女玄馬』に彼宛の手紙を渡している。それを何となくという感じで宛名を確認していると彼の体が停止した。

「親父?」
「どうしたんだね?早乙女くん?」
「乱馬……まどかが中国から帰って来るらしい…」
「えっ…!」
「まどか…?」

固まっている父親に声を掛けていた彼の息子『早乙女乱馬』に玄馬は呆然とした感じで答える。対する乱馬も父親の言葉に固まっていた。近くで聞いていた黒髪ショートヘアの美少女は怪訝そうな顔をしている。

「親父!姉ちゃんがどうしたんだ?」
「姉ちゃん?乱馬くん、お姉さんがいたんだ?」
「あっ…あぁ、双子の姉ちゃんがいるんだ!それよりも!姉ちゃん、何だって!?」
「乱馬……あんた、顔が真っ青よ?」

黒髪ショートヘアの美少女=天道家の三女で彼の許嫁『天道あかね』が少し心配そうに乱馬に言うも二人は会話を続ける。

「……あぁ、向こうでの腕試しが一段落したから、日本に帰国して母さんの処に帰る途中に天道家へ挨拶しに来ると書いてある」
「そっ…そうか!」
「それと……」
「まだ…何かあるのか?」
「わしとお前が修行をサボっていないか…早雲くんに迷惑をかけていないか…母さんの顔に恥じない事をしていないかを確認しに来ると書いてある」
「そうか!親父!覚悟を決めるんだな!!」
「おぉい!?わしだけか!?」
「俺は親父と違って!お袋の顔に泥を塗る様な生き方はしてねぇ!!」

早乙女親子の様子を見ながら天道家の主人で玄馬の親友である長髪の中年男性『天道早雲』は彼らに話しかける。

「要するに…早乙女くんの娘さんがウチに挨拶しに来るという事でいいかな?」
「あぁ…それでいいよ」
「でも…何で?お姉さんの事でそんなに怯えているの?あんたも、おじ様も」
「それに…中国にお姉さんが残っていたのも初耳なんだけど…もしかして、仲が悪いの?」
「そういう訳じゃねぇよ…ただ」
「?」
「姉ちゃんの事を話すと…色々な事が頭を襲って来るっていうか…」

乱馬はかなり複雑そうな表情をしており、彼なりに思い悩んでいる様子である。普段とは違う許婚の様子にあかねは声を発する。

「とにかくさぁ…話すだけ話して見なさいよ?」
「そうだぞ!私はある意味、君のもう一人の父親みたいな者だからな!!」
「まだ…だけどね」
「お父さんも!お姉ちゃんも!もう!!」

天道家の人々の言葉に乱馬は渋々という感じで口を開いた。

「単純に言うとよぉ……姉ちゃんは滅茶苦茶強いんだよ」
「強い?あんたよりも強いって事?」
「洒落なんねぇレベルでな」
「あぁ…親の欲目無しで八宝斎の師匠を既に超えているよ」
「そっ…そうなのかい?」
「乱馬も才能に恵まれていると思うが…あれは天才という域を遥かに超えておるよ」

何時も違って真剣な表情で玄馬はそう言うと親友に尋ね返す。

「天道くん、君は娘さん達に武術を習う様に教育したのか?」
「いや、男の子なら後継ぎにと鍛えたのだろうけど、娘には習わせようとはしなかった。あかねは自分から習ったんだよ」
「そうだったわね」
「うん」
「わしもそうだった…娘には武術を仕込む事はしなかったよ」

玄馬は子供達が幼い頃、息子を武術家として育てる為に妻と娘を残して家を出た事を伝える。

「それで……乱馬が中学生になった頃に娘がわしらの居場所を自分で調べて会いに来たんだよ」
「そうか…行動力のある娘さんだね」
「姉ちゃんはふらっとやって来たと思ったら俺達が修行していたのを黙って見ていたよ」
「そんなある日…ちょっとした思い付きから乱馬と組み手というか…遊びのつもりで手合わせをさせたんだ」

玄馬は脳裏に今でも昨日の事の様に思い出せる光景が浮かんでいた。10年以上も鍛え上げた息子が娘とはいえ…特別鍛えている様子が無い女の子に一方的に叩きのめされる姿を見て…娘の才能を喜んでいいのか…指導者として悲しんで良いのか…流石の玄馬でも全く分からなかった。

「完膚無きまで負けたよ……コテンパンにな」
「あぁ…傍目で見ていたわしでさえ身震いのする強さだった」
「なるほど……後継者に望んでいなかった娘さんの方に才能があったという事か」
「あぁ…あれは血を受け継いだとかじゃない…突然変異としか思えないよ」

玄馬は畏敬を籠めた表情で“鳶が鷹を生んだ”…否!“鳶が不死鳥を生んだ”と表現していた。

「案外…母さんも鍛えていないだけで才能自体はあるかも知れんな…」
「そうなのか?俺達、見た目はお袋似なのは確かみてぇだけど…」
「そうなの?」
「あぁ…姉ちゃん、俺が女になった時とそっくりだからな」
「確かに…おじさんには似ていないわね」
「なびきちゃん…グサッと来るから止めて」

玄馬は少し傷付いた様子であり、冷や汗を流している。なびきは動じずに言葉を続ける。

「つまりさぁ…乱馬くん、お姉さんに嫉妬しているって事?」
「うっ!!」
「おい!なびき!言い過ぎだろ!!」
「そうよ!お姉ちゃん!!」
「いや…その通りだ」
「乱馬…?」