早乙女さん家のラスボス系お姉ちゃんVS主将!!地院家若美
「いえ…多分、奥義自体がダメージを与えるというよりも相手の動きを止めるという感じの技でした」
まどかは近くにいたコロンも体が動けなくなっていた事から“闘気を電気に変化させ、広範囲の相手を同時に金縛り状態にする技”だと述べている。露出行為で相手を驚かせるのは…乱馬も女になった状態で八宝齋に似たような事をしているし、相手の隙を突く為に有効な手段だったかも知れないが…
「乱馬やおじ様も似たような手を使うけど…変態なのは確かですね……その人…」
「まったくですね…今度こそはリベンジと行きたい処です」
「ニャン!」
「ちょっ!?あかねっ!俺は流石に女相手に痴漢みてぇな真似はしねぇぞ!!」
《わしもだ!確かに…有効な手だと少し思っちゃったが…》
「早乙女くん……道場の中で真似したら流石に縁を切らせて貰うからね?」
「ふぅ~!ふん!」
「若美の奴……気合が入っているな?どうしたんだ?」
此処は大内裏高校の柔道部が使用している道場。道場の中で主将『地院家若美』が養護教諭で天院家の戦士『蛇神狩谷』と稽古に勤しんでいた。それを副主将『雨宮業秋』が部員『三平白人』に尋ねた。三平は若美の幼馴染で相棒的存在なのである。
「あぁ、今度、流派同士の交流会があって他流試合をするんだ」
「他流試合?珍しいな…若美がそういう事で熱くなるなんて」
「実は…前に若美が立ち会いでボコボコにされかけた相手が向こうの選手として出るんだよ」
「なっ!?若美がか!?」
「あぁ…何とか隙を作って…其処に奥義を放ったんだが…ダメージが大き過ぎて…そのまま帰って来たと言っていた」
「そうか…世界は広いな」
三平から話を聞いた雨宮は若美に苦戦させた事で彼にやる気を出させる程の実力者がいる事を感慨深げに呟いていた。そして、“出来れば…公式戦が全て潰れる前に出会って欲しかった”とも内心で思っていた。
「そうなんですか!?あの主将が!?」
「えっ…地院家先輩が!?」
雨宮と三平の話を近くで聞いていた部員『若鳥飛翔』と女性部員『桃戸美柑』が二人に声を掛けて来た。若鳥は真面目そうな美少年であり、美柑は小柄でグラマラスな肢体をした美少女である。若鳥も美柑も若美に助けて貰ったがきっかけで柔道部に入ったという経歴の持ち主である。
「あの…どんな人なんですか?」
「あぁ……女の子だったよ」
「なっ!?」
「おっ…女の子!?」
「どっ…どんな子でした!?」
三平は少し言い難そうに口を開いた。
「外見は普通に綺麗な子だったよ…腰辺りまで伸ばした黒髪と平均程度の背丈でスタイルも良かった…でも」
「「「?」」」
三平は美柑を見ながら言葉を続けた…彼女も一般家庭から生まれた突然変異の天才だが…多分、若美を倒し掛けた相手の方が上だろう。
「今まで見て来た女性の武術家の中で断トツで一番だったよ……冗談抜きでさ…俺じゃ勝てる自信が全く無い」
「それは…狩谷先生やセリア先生にもか?」
「あぁ…素質だけならあの二人とは比べ物にならないと思う…先生達には経験ってのがあるけど(血の臭いはしなかったから…殺し合いじゃ分からないけど)」
三平は真剣な表情で断言していた…興味本位で尾行をしていた時、何度も気付かれそうになってしまった。
「突然変異で生まれた超天才って奴だろうな…才能って本当に理不尽だよ」
「「「……」」」
おまけに妙な色気…容姿だけでない…人を惹き付ける“力”自体が具現化した様な美少女だった…もしかしたら
「恋愛とかじゃないと思うんだけど…もしかしたら…惚れたのかも知れないな?」
「えぇっ!?」
「ぶっ、部長が女性にですか!?」
「強者同士の“絆”という奴か!?」
美柑と若鳥が驚きの声を上げる隣で雨宮は興奮気味で声を上げる。
「雨宮が一番近いと思う…若美も強い女性には敬意を払うからな…彼女の場合は圧倒的な実力者への憧れって奴かな?」
三平はそう言うと“実際に本人を見てみないと理解出来ないかも知れないが…凄い“華”のある子なんだよ”と付け加える。
「……」
「えっと…アイドルみたいな感じですか?」
「そんな感じかな?静かにしていても“空気”が有るっていうか…」
複雑そうな顔をした美柑は沈黙している隣で若鳥の質問が三平が答えている。
「まぁっ!上には上がいるって感じだな!!」
雨宮が場を締める為の言葉を遮る形で美柑が大声を上げた!!
「三平先輩!!」
「「「!?」」」
「どっ…どうしたの?美柑ちゃん!?」
「その交流会って何処でやるんですか!?」
「えっ!?」
「私も見たいです!地院家先輩とその人の試合!!」
若美を異性として愛している美柑の気持ちも知っている三平先輩はつい先日の天地合の儀式で彼女が乱入した時の事を思い出してから口を開いた。
「……じゃあ、美柑ちゃんも出る?地院家合気柔術の弟子として…」
「いいんですか!?」
「あぁ…今回の交流会の相手は中国の女性武術家の集まりだからね(今回は後ろ暗い集まりじゃないし…大丈夫だよな?)」
「よろしくお願いします!!」
三平と美柑のやり取りを聞いていた雨宮と若鳥も三平に声を掛けて来た。
「俺もいいか!?若美をボコボコに出来る程の実力者というのを拝んで見たい!!」
「僕もです!!見学してみたいです!!」
「老醜…校長先生の家で行われるから部外者の見学は俺よりも先に校長先生の承諾が必要だな」
そう言って三平は道場内でセリア先生と話している『天院家老醜』を指差した。
「そうか!校長先生!!」
「うん…何だね?」
老醜から交流会の参加を認められた二人を他所に若美はカーリヤ先生と組み手をしながら試合相手の事を考えていた。
「今度は負けないわよ!」
「いいぞ!若美!!」