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zoku勇者 ドラクエⅨ編9 新たな旅立ち

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……ラフェットは石碑に刻まれている文字を読み上げてくれた。石碑には
こう文字が書かれている。

偉大なる天使エルギオス その気高き魂と人間を愛する心 我ら
忘るることなしそして誓おう 神の国に帰れるその日まで 
この世界を見守って行く事を……

「エルギオスと言うのはかつて、何百年も前にイザヤールの師で
あった天使、ある村の守護天使だった、エルギオスは人間達を守る為、
地上に降り立ち、ある時消息不明になったの、何が起きたのかは
知るよしもないまま、……私達はこうして祈るしかないの、
……イザヤールは心配だったんじゃないかしら、あなたまで
エルギオスみたいにもしかしたら戻ってこないんじゃないかって……」

「……」

「多分今も……、イザヤールは人間界の何処かであなたを探して
いるんじゃないかな……」

「そうだな、奴の頭は光ってるから……、案外何処にいても
分かりやす……、いて!」

「……また!お師匠様に対して駄目でしょっ!」

ラフェットは毒舌を吐いたジャミルの頭を軽く小突く。ジャミルは
ちょろっと舌を出して誤魔化す。しかし、相変わらず明るいジャミルの
姿を見て、ラフェットも少し癒やされた様であった。何せもうこの
天使界は緊迫した状況に追い込まれ、本当にいつ滅んでもおかしくない
状況なのだから……。天使達は皆、不安の荒波の中を毎日生きている……。

「んじゃあ、今度は俺の話聞いてくれる?モンの事だよ、……おーい、モン!
……あ、あれ?いねえ……」

「ぷう、ぷう……、モン……」

「あら、此処にいるわ……」

ラフェットは立ち上がると石碑の後ろに回る。……確かに石碑の
後ろから鼾が聞こえた。モンはいつの間にか石碑にもたれ掛かり、
眠ってしまっていたのだった。

「たく、モンの奴……」

「疲れちゃったのかな、いいわ、私が少し抱いていてあげる、
さあどうぞ、ジャミルのお話も聞かせて」

「うん、じゃあ……」

ラフェットはモンを抱くと石碑の前に座る。ジャミルも真似をし、
ラフェットの隣に座った。

「……え~っと、世界樹になってた女神の果実……、だっけか?
凄い効力の果実らしいみたいだけど、悪ィ奴の手に渡ったら
それこそ大変な事になるぐらいの……」

「ええ、とてつもない力を秘めていると……、でも、具体的な事は
私にも、まだ……、少しだけ話は聞いているけど……、オムイ様も
ちゃんと話してくれないわ」

「モンは空から落ちて来た光る欠片が口に入ってから喋れる様に
なったって言ってた、……もしもこいつが喋れる様になった原因が、
その……、地上に落下した女神の果実の欠片ならあり得ねえ事も
ねえかな……、と、まあ、俺の推測だけどさ……」

「そうね、でもこの子は本当に凄い子よ……、何せ天使界に来てしまう
モンスターなんて初めてだもの……、悪い目的以外でね……、きっと元々
純粋な心を持っていたのね、だから……」

「ブーブー、……モン……」

ラフェットはくすくす笑いながら再びモンのお腹に触れる。モンは
気持ち良さそうに鼾をかき、鼻提灯を宙へとシャボン玉の様に
ぷうぷう飛ばした。

「……まあ、確信は出来ねえけど、とにかくこの事は爺さんと、
他の天使達にはまだ内緒でな?……頼むよ……」

「ええ、分ってるわ、さ、もうあなたも行かないとよ、……ねぼすけさん、
起きなさい」

「モン……?」

ラフェットはモンの喉元をコチョコチョ。すると、モンは不思議そうな
顔をし、漸く目を覚ました。

「色々話聞いてくれてありがとな、じゃあ、俺らこれで……」

「ええ、あなたも無事だったのが分って本当に安心したわ、
ジャミル、もしもまた地上に戻るのなら気をつけて、
イザヤールの事をどうか宜しく頼みます……」

「分ってる……、絶対探してみせるよ……」

「おねえさん、ばいばいモン」

「モンちゃんも有り難う、またいつでも天使界に遊びに
いらっしゃい、と、言いたい処だけれど……、……天使界に
一刻も早く平穏が訪れると良いのだけれど……」

「……」

「モン~……」

ジャミルとモンが石碑の間を去り、ラフェットはまた一人になると、
石碑の前でジャミル、……イザヤールの無事を祈り、再び静かに
祈りを捧げた。

「偉大なる天使、エルギオス……、イザヤールの師よ、イザヤールを
お守り下さい……、あなたの弟子イザヤールが天使界にどうか無事で
帰れます様……」

……そして、ジャミルとモンは再び世界樹の元へ。……ジャミルは
騒いでいた姿の見えない仲間達が心配だったが、今は一刻も早く事を
終わらせすっきりしたかった。ちなみに。アルベルト達はあのまま
どうする事も出来ず、ジャミルに言われた通り、世界樹のすぐ近くで
ジャミルを待ちながら、疲れて3人共静かに眠っていた。世界樹の元に
戻って来る間に、多くの天使達と出会ったが、皆悲観に暮れていた。
神の力で作られた天使界。永遠に滅びる事は無い。……誰しもそう
思っていた。だが……。

「ふう、此処で祈ればいいってか、やれやれ……、お祈りとか、
どうもガラじゃねえよ、やれやれ……、ああ腹が減ってきたぞ、
畜生……、フライドチキン食いてえなあ……」

「モ、モン……」

モンは一瞬冷や汗を掻いた。ジャミルが自分の方を向いて涎を
垂らした……、様に見えたのである……。モンもとてつもなく
食い意地が張っているが。やはり、飼い主と連れ、……どんどん
似てきてしまう悲しいお約束。

「っと、いけね!集中集中……、……ん……」

ジャミルは世界樹の前にしゃがみ込み、両手を胸の前で組んで、
静かに祈りを捧げた。モンも一体何が起こるのかとわくわくしながら
ジャミルを見守る。……しかし。

「……何だこれ……、頭がくらくらする……、う……、モ、
モン……、俺……」

「ジャミルっ!どうしたモン!……しっかりするモン!……だ、誰か……、
おねがいっ!ジャミルを助けてモンーーっ!!……嫌モンーーっ!!」

突然の眠気がジャミルを襲う……。そしてジャミルは倒れてしまい、
そのまま眠りについた。

「……ん、ジャミル、戻って来たのかしら……、!!す、すぐ近くで
モンちゃんの悲鳴が聞こえる!……何かあったのよ、どうしよう……」

眠っていたアイシャがモンの声に気づき、一番最初に目を覚ますが、
しかし、例え目を覚ましても……。続いてアルベルトとダウドも
目を覚ましたらしき。

「アイシャ、落ち着こう、とにかく此処じゃ僕ら動けないし、
何も出来ないよ……、でも……、くそっ!今はジャミルを
信じるしかない、側で何が起きているのかも確認も出来や
しない……、ジャミル、どうか無事で……」

「あうう~、もうこんなの本当にやだよお~……、ジャミルう~……」

仲間達は天使界では動く事も出来ず、一切が何も見えない空間の中に
いる状態。モンの悲痛な声だけが耳に届き、互いの姿さえも見えない中、
ただジャミルの無事を信じて待つ事しか出来ない歯がゆさ、苦しみを
感じていた……。

「……頭……、痛え……、俺、このまま死ぬのかな……、って、元天使は
死んだら何処に行くんだ……、消えんのか……?」