zoku勇者 ドラクエⅨ編9 大神官を探せ!
やりたがっていた。……自分だけが先に又、賊に逆戻りしてしまえば、
ダウドに逆恨みされても仕方が無いと思っていたが……。
「オイラ何も言わないよ、ジャミルが決めた事なら……、ま、この世界では
オイラ、回復役に適しちゃったんだから、でも、もしも機会があって、余裕が
出来たらオイラも転職させてくれればそれでいいよ、だからそれまでオイラ
このままで頑張るから……」
「ダウド、お前……」
ダウドはジャミルの方を向いて微笑みながら頷く。どうやらいじけの心配なく、
ジャミルの転職を快く承知してくれた様だった。
「ッシャアーっ!こりゃ頑張るしかねえだろ!いっちょやるかっ!!」
(はあ、アイツ転職すんのネ、転職したらLVも1に戻っちゃうらしいし、
な~んか、またこの先長くなりそうなんですケド……、前途タナ~ン!
……アンタやるからにはちゃんとしっかりやりなさいってのヨ!
……テンチョー、ココでも見つからなかったし、……ブツブツ……)
そう呟いているサンディの言葉は、騒いで奮起しているジャミルには
聞こえなかったらしい。
「モンも転職するモン!モン、太鼓叩き職人さんになるモン!」
「……ま、また……、てか、モン、最初から職業ついてないでしょ……、
そんな職業ないしっ!……人の頭の上に乗るなああーーっ!!」
元気になった途端、再び始まるモンの悪戯。いつもの通り、ダウドの頭を
太鼓代わりにし、ポコポコ叩いて遊び始める。ダウドもモンもすっかり
いつも通りに戻っていた。けど、これでいいんだよな……、と、ジャミルは
安心感を覚えるのだった。
4人は転職の間へ。……其処にはすっかりいつも通り、ケロッと……、
仕事を熟し、神殿に訪れた人々を新たな人生へと導いている大神官の
姿があった。
「爺さん……」
「おお、そなた達か!ダーマの塔では世話になった!一体あの果実は
何だったのじゃろうな、儂は確かに人々をより良い道へと導く為の力を
求めていた、あの果実はその力を与えてくれた物かも知れないが……、
儂はその力に溺れ、世界を破滅させる処であった……、そなた達が
止めてくれなければ儂は世界を滅ぼしていたかも知れん……、心から
礼を言う、黄金の果実は人間が口にしてはいけない禁断の果実だったのだな……」
「でも、果実がお爺ちゃんのお尻からうんちと一緒にぷりぷり
出て来なくて良かったモン……」
「……こ、こらっ!モンちゃんっ!……あっ、待ちなさいっ!!」
「♪モォ~ン!」
モンはその場から逃走。アイシャは慌ててモンを追い掛け
走って行った……。……モンの暴言は大神官には聞こえて
いなかったらしいが。
「全く!……モンは最近毒舌までどんどん凄くなって来てる
気がするよ!ちらっ!」
「……んだよ、腹黒!俺の方見んなってんだよ!!」
「そなた達には本当に礼のしようも無い……、せめて儂のこの転職の
力をこれからの旅に役立てていって欲しい、儂はダーマ大神官、転職に
よって人々をより良い道へと導く事こそが儂の使命……」
「うん、その事で来たんだ……、俺、転職したいんだ、盗賊に……」
ジャミルはちらちらと大神官の方を見る。……テレテレ顔を
赤くしながら……。
「そうか!早速、この儂の力がお役に立てるか!そうかそうか、
では、ジャミル、儂の側に来なさい……」
「へ、へっへへっ!行ってきやーす!」
「ジャミル、嬉しそうだねえ~……」
「うん、これから益々頑張って貰わないとね……」
ジャミルは、らったった状態で転職の儀式を受けに大神官の近くへ。
暫くの間、大神官に祈って貰う。そして、自らも神へと祈りを捧げる。
……少々鳥肌が立っていたが。いよいよ、旅芸人から盗賊へと
変わる時である。
「おお!この世の全ての命を司りし神よ……!ジャミルに新たな人生を
歩ませたまえ!!」
ジャミルの頭上に光が降り注ぎ、装備品で頭に着けていた羽根飾り
バンドが外れる。
「これでお主は新たな道へと進む事が出来るぞ……、装備品は新しい物に
変えたまえよ、さあ、行くが良い……」
「俺……、マジでまた賊になったんだな……、な、なんか……、素早さが
アップした様な気がするっ!ひゃっほー!」
「あまり調子に乗らないんだよ、LVはまた1からなんだからね……」
調子に乗るジャミ公にアルベルトが注意を促そうとするが、本人は
浮かれている為、アルベルトの声も耳に入らず……。
「よしっ、確か地下によろず屋の行商人が来てたよな!お前らも
装備品整えとかなくちゃな、ささ、行こうぜ!!」
……本当はダーマの塔に行く前に、装備品を変えておく予定だったのが……、
ダウドが暴走して行方不明になった為、ジャミル達は新しい装備品を買うのも
忘れ、急いで塔へと向かった状態だった。
「はあはあ、……ジャミル……、転職の儀式は終わったの……?」
其処に漸くモンを捕まえ、息を切らしたアイシャが戻って来る……。
神殿の客にも力を貸して貰い、モンがバナナを頂いている隙に
漸く捕獲したらしい。
「もぐもぐ、バナナ、おいしーモン!」
「うわ、食べ物で捕獲されるとか……、ますます誰かさんそっくりに……」
「……ダウドもうっせーっての!ご、ご苦労だったな、アイシャ……、
これから装備品整えたら、俺、少し近辺でLV上げしてんだけど、
お前らもいいかい?」
「うん、転職したばっかりだからね、もう少しダーマでお世話になろう……」
「私もいいわよ!」
「オイラもいいでーす!」
「ちんちんバナナモン!」
「……モンちゃんっ!!」
(はあ~、今度は修行っスかあ~、どうでもいいけど、こっちは人捜しだって
あるんだから、レベルなんかちゃっちゃと上げちゃいなさいヨネ……!)
4人は地下の行商人からある程度の装備品を買って外出バトルの準備を
整えようとしたが、売っているラインナップは、ほぼベクセリアと同じで、
特にランク上の装備品を取り扱っている訳でもなかった。……ジャミルも
武器を特に変える必要もあらずで、とほほのほ~で、4人は神殿の外に出た……。
「よし、修行だっ!モンスターちゃん、出て来いっ!」
「……あんまり出て来て欲しくないけど……、わ、出たっ!」
ダウドが身を縮こませるが、出たのはスライム一匹……。
「よしっ、これならっ、丁度腕試しにならあ!楽勝っ!」
「……ジャミルっ!油断しちゃ駄目だよっ!こらっ!ジャーミールううう!!」
アルベルトがジャミルに注意するが、聞いていない。ジャミルはそのまま
スライムに突っ込もうとするが、スライムは仲間を呼び、その数は5匹に
なり……、ジャミルはスライムに取り囲まれてしまう……。そして、
スライムは合体し、キングスライムとなる。
「だ、だから僕がっ!……あああーーっ!!?」
「きゃあーーっ!!」
「……ぐえーーっ!!」
ジャミル、キングスライムに潰され、ぺちゃんこ。ちーん、昇天……しかける。
「ダウドっ、すぐにジャミルにザオラルを!……此処は僕とアイシャで
何とかする!」
「……う、うん!」
「モンもいるモン!」
「ダウド、ジャミルをお願い!行こう、アル、モンちゃん!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編9 大神官を探せ! 作家名:流れ者



