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zoku勇者 ドラクエⅨ編10 祈りの少女と主神様

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それでも……、ジャミルは持ち前の粘りと根性で、怯む事なく敵に
突っ込んではぶっ倒れ、その都度仲間を冷や冷やさせた。漸くLVも
10。倒れる回数も徐々に減っていった。

(……ホント、こういう処が……、ジャミルの凄さなんだよね……、
絶対諦めないし……、やっぱりオイラ……、ジャミルには敵わないよお……)

また卑屈になりそうなダウドだったが、お前はお前のままでいいんだよと
言うジャミルの言葉を思い出し、ヘタレは素直にいつも通り開き直る事に
した。……反省の色無し……。

「ジャミル、そろそろ神殿に戻ろう、日も暮れて来たし……」

「ああ、ようやっと俺も皆とLVが追い付いて来たな、明日にはダーマを
出発出来るかな……」

「良かったわね、ジャミル!」

「はあ、アンタってホントバカ!底抜けのしつこい嫌らしさサイコー
チョーじゃネ!?」

「うるせーガングロ!嫌らしいのはオメーもだろうがよっ!」

「シャアーーっ!!」

「あ、ま、またアタシに向かって大口開けたねッ!このデブ座布団っ!!
やる気かっての!!」

サンディを威嚇するモン。もうすっかりいつも通りになっていたが、
再び喧しさも戻り4人は苦笑するのだった……。して、本日の修行?
は終了し、神殿へと戻る。

「う~ん……、何にするか……、戦士も捨てがたいなあ……」

「?」

神殿に戻ると、昼間は見掛けなかった人物が転職の間入り口付近で
ウロチョロしていた。漁師風の容姿の男である。男は4人に気づくと、
すぐに声を掛けて来た。

「よう、あんたらも転職しに来たのかい?オレは南のツォの浜辺に
ある漁村から来たんだ、光る何かが海に落ちたのを目撃してな、
……これは転職しろって神のお告げだとオレは思ったのさ!」

……単純なおっさんだなあとジャミルは思ったし。しかし、海に落ちたと
いう光る何かと言うのが非常に気に掛かっていた。

「ジャミル……、光る何かって……、もしかしたら、女神の果実が海に
落ちたのかも知れないね……」

「ああ、俺もそう思ったさ、よし、明日はその漁村に行ってみようや、
次の場所は決まったな!」

「……海?海って何モン?」

「モンちゃん、海はね、お魚さんが沢山見れるわよ!」

「モンー!」

(……海かあ~、やだなあー、アタシ日焼けしちゃうかも、……美肌クリーム
塗っとこっと!)

他のメンバーが話を纏めている処で……、この男だけは又不安になり、
一人でブツブツと……。

「もしもその……、光る何かって言うのがさ……、本当に女神の
果実なら……、海を探さなきゃいけないって事じゃないかあ……、
勘弁してよお~……」

次の日……。神殿を後にしようとした4人を大神官達が見送ってくれた。

「皆さん、どうかお気を付けて……、本当にお世話になりましたの、
……今思えば儂が魔物になったあの時……、何か人々の心が不安に
満ちているのを感じた……、この世界に何かが起きようとしているのは
定かではありませぬ……、それが何なのか儂には分かりませんが……、
このダーマ神殿にて新たな道を選ぶ者達がおれば案ずる事はないと
儂は信じておりまする、あなた方もどうか自分の信じた道を信じて……、
真っ直ぐに進んで下さい……、何か職業でお困りでしたら、またいつでも
神殿においで下さい……」

「ご武運をお祈りしております……!」

4人は神殿の皆に礼を言い、ダーマを出る。道中、のんびりと散歩を
楽しみつつ足取りは軽く、時にはモンスターに襲われ、また調子に
乗ったジャミルが倒れながらも……、南の浜辺を目指した。

ツォの浜辺……

「くんくん、……お塩の臭いがするんだモン、あの大きなお水さんが
海モン?」

「ああ、海水だよ、海は塩がたっぷりだからな、舐めたらしょっぺーぞ!」

「モン~?」

ジャミルの言葉に不思議そうにモンが宙に浮かんだまま首を傾げる。
此処まで皆と一緒に旅に付いてきたが、まだまだ小さいモンには
この世界での分からない事が沢山あった。

(ハア~、生臭ッ!魚のニオイがプンプンなんですケド!?やだやだ!)

「サンディったら……、我儘なんだから……」

(フンっ!)

発光体のまま相変わらず愚痴を飛ばすサンディにアイシャが呆れる。
ジャミルはサンディが直に出てくるとうるせーからほっとけよと
アイシャに言うが。

「ジャミル、彼所……、浜辺で何かやっているよ、人があんなに沢山……」

「お?ホントだな、行ってみっか!」

「ゲ、も、もしかして……、浜にドザエモンでも打ち上げられたのかしら、
……あ、ああ!」

また怯えるダウドをほっぽっておいて、他のメンバーは浜辺へと駆けて
いってしまう。……ダウドは仕方なしに後を追った。……浜辺へ向かうと、
アルベルトの言った通り、沢山の密集している人々……。皆息を凝らして
何かを見つめている。視線の先には海に向かって無言で祈りを捧げている
ピンクの髪の二つ縛りの少女の姿があった……。

「なあ、……一体何が始まるんだい?」

「……これからオリガが主様に祈りを捧げる処さ、黙ってみてなよ、
兄ちゃん……」

「こらこら、バチあたりめ!オリガの邪魔すんじゃねえだよ!」

「オリガが主様を呼んでくれるお陰で私達、本当に助かっているんです、
それにオリガもまだ小さいのにお父さんを亡くしたばかりで……、
頑張ってくれているんですよ……」

オリガと言うのはやはりさっきから無言で一心不乱に海に向かって
祈りを捧げている少女の事で間違いは無かった。だが、何となく
ジャミルはそのオリガの姿に何となくまた物悲しい雰囲気を
感じ取っていた。

「別に邪魔してるつもりはねえんだけどなあ……」

「ジャミルは其処にいるだけでどうしてもそうなっちゃうからねえ~……」

「……んだと、このやろ!バカダウドっ!!」

村人の視線が一斉にジャミルとダウドの方へ……。アルベルトは
慌てて2人の頭を押さえ付け、村人達に頭を下げ、バカ2人を
黙らせるのだった……。

「……旅の方ですかな、申し訳ありませんが、少し下がって此処は
見て頂けますかな……」

ガタイの良い髭面の男の言葉に4人は渋々後ろへ下がる。暫く見ていると、
無言であったピンクの髪の少女、……オリガが静かに言葉を呟いた。

「……主様……、海の底よりおいで下さい……、あたし達にお力を……、
ツォの浜の為、どうか海の恵みをお分け下さい……、どうか……」

オリガが祈りの言葉を呟いた瞬間、振動が起こり浜辺一体が大きく
揺れ始める。

「……お、おっ!始まったぞ!」

「きゃあ!?」

「これは……、地震か!?」

「……ぎゃあああ!い、嫌だよおお!!」

「……モン、ふよふよしてても何かぐらぐらくるんだモンーっ!」

「ダウドっ!落ち着いて!……だからあの、僕のそこ掴まないで!……、
モンもだよ!!」

「なになにー!?なんなのよっ!?」

ジャミル達は慌て始める。……だが、村人達は待ってました状態で誰一人
慌ててはいない。サンディもいつの間にか出て来ていた。当然村人達には
姿は見えていないが。

「来たぞっ!主様だ!!」

「イヤッホー!魚だあーーっ!!」