zoku勇者 ドラクエⅨ編11 カラコタ編・1
あれから数日が過ぎた。4人はここ数日オリガの家に世話になっている。
村人達は皆もうオリガの力は無くなり、浜に主が現れないと言う事を、
理解してくれた。そして以前の様に主の力に頼らず、自分達の力で仕事をし、
汗を流して働く生活へと誰しもが送る当たり前の毎日を取り戻していた。
ある村人は、ジャミルにこう言ってくれた。
「この村も完全に元に戻るにはまだ時間が掛かるかも知れねえ、けど、
俺達は昔から海と共に生きてきたんだ、心配要らねえさ、なあ……」
「……う~ん、う~ん、……主様……ど、どうかお許しを……」
傲慢村長はショックの為か、寝込んでしまったのである。息子のトトは
パパはバチが当たったんだよ、オリガを虐めたから……、しょうがないよと
言葉を漏らしていた。
「よし、今日も浜は晴天なり、良い事であるぞよ!」
「な~にかっこつけてんのさ、ジャミルってば!プ……」
「モン!」
「うるせーなっ!バカダウドっ!あ、モンまでっ!俺に内緒で
何食ってやがる!」
「これ?おばちゃんに貰ったの、鮎の串焼き、取れたての焼きたてだよお!」
「モン、だよお!」
……最近は、モンまでたまにダウド口調を真似する様になり、その都度
モンちゃん止めなさいとアイシャに注意をされているのだが。
「たくっ!そういや朝起きたらアイシャの奴、もういなかったな、
……相変わらず落ち着きがねえなあ、あいつも……」
「浜にいたみたいだよお、オリガと一緒に網を片付けるのお手伝い
してたみたい、行ってみれば?じゃあ、オイラ達もう少しお散歩
してきま~す!」
「モンモン~!食べ終わったらこの串でまたダウドの頭ちんぽこぽこ
叩くんだモン!」
「モン……、それはしなくていいから……」
「そうか、オリガ……、頑張ってるんだなあ……」
父親との本当の別れから数日。オリガは自ら村のおばちゃん達に頼み、
網漁業を教えて貰おうと現在は懸命に仕事を熟そうと頑張っている。
まだ見習いらしく、網を収納するだけの仕事だがそれでも働くオリガは
活き活きとしていた。
「ね、ジャミ公!そろそろこの村ともお別れして出発しなきゃ
なんネでしょ?……次の果実も探さなきゃネ!アタシも人捜し
終わんないし!」
「ああ、それは俺も考えてんだよ、ってか、ジャミ公言うなっ!」
「お~い、旅人さ~ん!」
「おう、トト!」
ジャミルの姿を見つけ、ちょこちょこ走って来たおかっぱ頭の少年トト。
初めて会った時よりも、この数日でトトは見違える様に逞しくなっていた
様にジャミルには見えた。
「えへへ!お早うー!でも、旅人さん達って本当に凄いんだねえ!僕も
もっともっと強くならなきゃ!僕、頑張って大人になる!そして旅人さん
みたいになるんだ!オリガの事、守るんだ!絶対にもう一人ぼっちになんか
させないよ!オリガは女の子だもん、心細い時だってあるよ!だから……」
「トト……」
トトはジャミルの目を見つめて真剣に言う。でも、ジャミルはこれだけは
トトに伝えたかった。幼い日の時間はあっという間に過ぎ去る。だから、
無理をせず、自由に伸び伸び過ごして欲しいと言う事。……誰しも嫌でも
いつかは大人になってしまうのだから。
「でも、オリガも言ってたろ?お前はお前らしくでいいんだって、
な……?それを忘れないでいて欲しいんだよ……」
「……うん、旅人さん、ありがとう!ジャミルお兄ちゃん!」
「よしよし、それでいい!さ、オリガの仕事が終わるまで遊んで来い、
ほれ行ってきな!」
「はーい!あ、あのね、そろそろこの村も船を出すのを再開する
みたいだよ、この村から東の大陸付近まで船を出すみたいなんだ、
浜で聞いてみたらどうかな?」
「東の大陸か……、新しい場所みたいだな……」
トトは村の同じ歳の子供を見つけると肩を並べ一緒に走って行く。
ジャミルは暫くの間、その光景をずっと見守りながら見つめていた。
「ジャミル、それ、いいいいっ!ね、新しい場所だヨ!早く船借りよう!」
再びサンディがしゃしゃり出て来る。ジャミルは分かったよとサンディに
返事をしておく。
「取りあえず奴らとも相談しとかねえと、まずはアルか……」
ジャミルはオリガの家に戻る。今日はアルベルトはオリガの家の掃除を
している傍ら、合間に本を読んで寛いでいる……。
「よう、アル……」
「あ、ジャミルか……、もううるさいのが戻って来たね……、
はあ……、今凄く最高潮で面白い処なんだけどなあ……」
「んだよっ!本ばっか読んでるとその内頭からコケがニョキニョキ
生えるぞっ!このアホベルトっ!!オメー戦士だろっ、たまには
運動しろっ!!」
「……生えないよっ!バカジャミルっ!全くっ!」
アルベルトはぶつくさ言いながら読んでいた文学本にしおりを挟むと
一旦閉じる。……こうなるのが分かっているからアルベルトにとって
ジャミ公は本を読むのを妨害してくる雅に本に生えるカビの様な男だった……。
「で、何……?」
「うん、今後の事だよ、トトが言ってたんだけど、この村でもそろそろ
漁業が本格的に再開するだろ?まだ俺らが行った事の無い大陸まで船を
出すみたいだし、一緒に世話になって今日辺りそろそろ出発しねえ?」
「そうだね、そろそろその辺も考えなくちゃなんだね、……暫く寛ぎすぎて
すっかり頭から離れていたよ……」
「俺、アイシャの処まで行ってくるわ、オリガの仕事の手伝いに行った
みたいだし、オリガの仕事っぷりも見学したいしな!」
「うん、行ってらっしゃい……」
再びのそのそと外に出掛けて行くジャミルを見送りながら、アルベルトも
再び本に手を付けるのだった。
「えーと、アイシャ、アイシャ……、と、いた……、いいいいっ!?」
「ア、 アイシャさん、大丈夫ですか!?」
「……キャーいやーっ!何なのようーーっ!もうーー!!あ~ん誰か
助けてーーっ!!」
浜に行ってみると、ジャミルは凄まじい光景を目の辺りにする。
網収納を手伝うつもりが、恐らくドジを踏んだのか、逆にアイシャ
本人が網に絡まってキャーキャー暴れて困っていた。それこそまるで
捕まった魚の様に……。浜は爆笑の渦に包まれていた。
「嬢ちゃん大丈夫かあ!?無理すんなよ、ほれほれ!今網外してやるから!」
「ふえぇ~、何でこうなるのようーっ!!もうーっ!!信じらんなーいっ!!」
「プ……、ぎゃははははっ!!」
「あ、ジャミルっ!こんな時にっ!何で来るのようーっ!バカバカ
バカーーっ!!」
「いや、その……、話があってだな、来てみたんだけど……、すげーもん
見れたな……、スクープだ……」
「何がよっ!」
「こらこら、暴れるんじゃないよ、もう少しで網が外れるからな……」
「ごめんなさ~い、お手伝いのつもりが……、ご迷惑お掛けしまして……、
ぐす……、恥ずかしいよう……」
「ははは、いいんだよ、ほらほら!じっとしてな……」
網に絡まってきゃあきゃあ暴れるアイシャの姿は何だかマグロの様に
ジャミルには見えてしまったのである。……それを言うと後で殴られる
ので黙っていた。今は取りあえずまたオリガの家に戻ることにした。
のだが。
村人達は皆もうオリガの力は無くなり、浜に主が現れないと言う事を、
理解してくれた。そして以前の様に主の力に頼らず、自分達の力で仕事をし、
汗を流して働く生活へと誰しもが送る当たり前の毎日を取り戻していた。
ある村人は、ジャミルにこう言ってくれた。
「この村も完全に元に戻るにはまだ時間が掛かるかも知れねえ、けど、
俺達は昔から海と共に生きてきたんだ、心配要らねえさ、なあ……」
「……う~ん、う~ん、……主様……ど、どうかお許しを……」
傲慢村長はショックの為か、寝込んでしまったのである。息子のトトは
パパはバチが当たったんだよ、オリガを虐めたから……、しょうがないよと
言葉を漏らしていた。
「よし、今日も浜は晴天なり、良い事であるぞよ!」
「な~にかっこつけてんのさ、ジャミルってば!プ……」
「モン!」
「うるせーなっ!バカダウドっ!あ、モンまでっ!俺に内緒で
何食ってやがる!」
「これ?おばちゃんに貰ったの、鮎の串焼き、取れたての焼きたてだよお!」
「モン、だよお!」
……最近は、モンまでたまにダウド口調を真似する様になり、その都度
モンちゃん止めなさいとアイシャに注意をされているのだが。
「たくっ!そういや朝起きたらアイシャの奴、もういなかったな、
……相変わらず落ち着きがねえなあ、あいつも……」
「浜にいたみたいだよお、オリガと一緒に網を片付けるのお手伝い
してたみたい、行ってみれば?じゃあ、オイラ達もう少しお散歩
してきま~す!」
「モンモン~!食べ終わったらこの串でまたダウドの頭ちんぽこぽこ
叩くんだモン!」
「モン……、それはしなくていいから……」
「そうか、オリガ……、頑張ってるんだなあ……」
父親との本当の別れから数日。オリガは自ら村のおばちゃん達に頼み、
網漁業を教えて貰おうと現在は懸命に仕事を熟そうと頑張っている。
まだ見習いらしく、網を収納するだけの仕事だがそれでも働くオリガは
活き活きとしていた。
「ね、ジャミ公!そろそろこの村ともお別れして出発しなきゃ
なんネでしょ?……次の果実も探さなきゃネ!アタシも人捜し
終わんないし!」
「ああ、それは俺も考えてんだよ、ってか、ジャミ公言うなっ!」
「お~い、旅人さ~ん!」
「おう、トト!」
ジャミルの姿を見つけ、ちょこちょこ走って来たおかっぱ頭の少年トト。
初めて会った時よりも、この数日でトトは見違える様に逞しくなっていた
様にジャミルには見えた。
「えへへ!お早うー!でも、旅人さん達って本当に凄いんだねえ!僕も
もっともっと強くならなきゃ!僕、頑張って大人になる!そして旅人さん
みたいになるんだ!オリガの事、守るんだ!絶対にもう一人ぼっちになんか
させないよ!オリガは女の子だもん、心細い時だってあるよ!だから……」
「トト……」
トトはジャミルの目を見つめて真剣に言う。でも、ジャミルはこれだけは
トトに伝えたかった。幼い日の時間はあっという間に過ぎ去る。だから、
無理をせず、自由に伸び伸び過ごして欲しいと言う事。……誰しも嫌でも
いつかは大人になってしまうのだから。
「でも、オリガも言ってたろ?お前はお前らしくでいいんだって、
な……?それを忘れないでいて欲しいんだよ……」
「……うん、旅人さん、ありがとう!ジャミルお兄ちゃん!」
「よしよし、それでいい!さ、オリガの仕事が終わるまで遊んで来い、
ほれ行ってきな!」
「はーい!あ、あのね、そろそろこの村も船を出すのを再開する
みたいだよ、この村から東の大陸付近まで船を出すみたいなんだ、
浜で聞いてみたらどうかな?」
「東の大陸か……、新しい場所みたいだな……」
トトは村の同じ歳の子供を見つけると肩を並べ一緒に走って行く。
ジャミルは暫くの間、その光景をずっと見守りながら見つめていた。
「ジャミル、それ、いいいいっ!ね、新しい場所だヨ!早く船借りよう!」
再びサンディがしゃしゃり出て来る。ジャミルは分かったよとサンディに
返事をしておく。
「取りあえず奴らとも相談しとかねえと、まずはアルか……」
ジャミルはオリガの家に戻る。今日はアルベルトはオリガの家の掃除を
している傍ら、合間に本を読んで寛いでいる……。
「よう、アル……」
「あ、ジャミルか……、もううるさいのが戻って来たね……、
はあ……、今凄く最高潮で面白い処なんだけどなあ……」
「んだよっ!本ばっか読んでるとその内頭からコケがニョキニョキ
生えるぞっ!このアホベルトっ!!オメー戦士だろっ、たまには
運動しろっ!!」
「……生えないよっ!バカジャミルっ!全くっ!」
アルベルトはぶつくさ言いながら読んでいた文学本にしおりを挟むと
一旦閉じる。……こうなるのが分かっているからアルベルトにとって
ジャミ公は本を読むのを妨害してくる雅に本に生えるカビの様な男だった……。
「で、何……?」
「うん、今後の事だよ、トトが言ってたんだけど、この村でもそろそろ
漁業が本格的に再開するだろ?まだ俺らが行った事の無い大陸まで船を
出すみたいだし、一緒に世話になって今日辺りそろそろ出発しねえ?」
「そうだね、そろそろその辺も考えなくちゃなんだね、……暫く寛ぎすぎて
すっかり頭から離れていたよ……」
「俺、アイシャの処まで行ってくるわ、オリガの仕事の手伝いに行った
みたいだし、オリガの仕事っぷりも見学したいしな!」
「うん、行ってらっしゃい……」
再びのそのそと外に出掛けて行くジャミルを見送りながら、アルベルトも
再び本に手を付けるのだった。
「えーと、アイシャ、アイシャ……、と、いた……、いいいいっ!?」
「ア、 アイシャさん、大丈夫ですか!?」
「……キャーいやーっ!何なのようーーっ!もうーー!!あ~ん誰か
助けてーーっ!!」
浜に行ってみると、ジャミルは凄まじい光景を目の辺りにする。
網収納を手伝うつもりが、恐らくドジを踏んだのか、逆にアイシャ
本人が網に絡まってキャーキャー暴れて困っていた。それこそまるで
捕まった魚の様に……。浜は爆笑の渦に包まれていた。
「嬢ちゃん大丈夫かあ!?無理すんなよ、ほれほれ!今網外してやるから!」
「ふえぇ~、何でこうなるのようーっ!!もうーっ!!信じらんなーいっ!!」
「プ……、ぎゃははははっ!!」
「あ、ジャミルっ!こんな時にっ!何で来るのようーっ!バカバカ
バカーーっ!!」
「いや、その……、話があってだな、来てみたんだけど……、すげーもん
見れたな……、スクープだ……」
「何がよっ!」
「こらこら、暴れるんじゃないよ、もう少しで網が外れるからな……」
「ごめんなさ~い、お手伝いのつもりが……、ご迷惑お掛けしまして……、
ぐす……、恥ずかしいよう……」
「ははは、いいんだよ、ほらほら!じっとしてな……」
網に絡まってきゃあきゃあ暴れるアイシャの姿は何だかマグロの様に
ジャミルには見えてしまったのである。……それを言うと後で殴られる
ので黙っていた。今は取りあえずまたオリガの家に戻ることにした。
のだが。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編11 カラコタ編・1 作家名:流れ者



