二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅨ編11 カラコタ編・1

INDEX|2ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

「……旅人さん、……あの、ジャミルさん……」

「オリガ?どうかしたかい?」

戻ろうとしたジャミルをオリガが走って来て呼び止めた。何か話が
ある様である。

「はい……、本当に有り難うございました、主様をもう呼べないって事、
村の皆にも分かって貰えたし、お父さんが主様だったなんて……、この目で
見た事なのに、何だか今でも夢を見ていた様な気がするんです……」

「オリガ……」

「でも、あの時本当は……、主様でもいいから、一緒にいられるのなら
本音はお父さんともっと一緒にいたかった、……そう考えてしまったの、
でも、いけない事ですよね……、あんなの良くない、お父さんが可哀想
だもの……、あたし、これからお仕事頑張ります、今はまだ見習いだけど、
少しづつ、少しづつ……、コツコツと……、お父さんもお母さんも見守って
いてくれる、それに私にはトトが付いていてくれる、……ジャミルさん、
あたし、本当に頑張りますよ!」

「オリガ、そうだな!お前ならきっとやれるよ!頑張れよ!」

「はい!」

トトの名前を口に出したオリガの顔は赤らんでおり、本当に嬉しそうだった。
だが、これからこの子らが成長し、そして何れは夫婦となり、家族となるで
あろう幸せな未来にあの傲慢糞親父は一体どんな顔をするんだろうかと
想像して吹いた。

「それでな、急で悪いんだけど、俺らも今日、そろそろ出発しようと
思うんだ……」

「ジャミルさん……、ええ、分かっています、皆さんは旅する旅人さん
なんだもの、いつまでも一緒にはいられない事、でも、またきっと……、
いつかこの村に遊びに来て下さいね、皆で歓迎します!」

「ああ、またな!」

オリガとジャミルは硬く約束の握手を交わす。最初はどうしようもない
糞村に思えたこの村もいつの間にか……、何時しか離れがたい大切な
場所に変わっていた。そして、出航の時が訪れ、ジャミル達4人は、
オリガやトト、村の皆に見送られながら船に乗り、村を後にするのだった。

「はー、それにしても、こうして人間の船に乗せて貰える日が来るとわね~、
さあっ、次は新大陸だよっ!とっとと果実もこの調子で回収しちゃおー!
アタシも早くテンチョー見つけなきゃ!」

「なあ、ガングロ、聞きたかったんだけど、その、テンチョーってのが
お前の尋ね人……」

「ジャミル、そろそろ船が着くよ、準備しないと……」

と、サンディに聞く前にアルベルトがやって来る。……まあ、旅の間に
又いつでも聞けるかと今回は諦めた。やがてツォの浜辺から4人を
送ってくれた漁船は船着き場へと着く。いよいよ新しい土地、東の大陸での
冒険の幕開けだった。

「さあ、着いたぜ、ここからが東の大陸だ、この船で送ってやれるのは
此処までだ、これから先、世界を回りたいのなら船が必要だ、まずは
自分達の船を手に入れる事だ、何でも花のサンマロウって町には立派な
船があるらしいな、取りあえず尋ねてみな」

「色々有り難うな、おっさん!」

「此処まで大変お世話になりました!」

「む、村の皆にも宜しくね……」

「おじさんもどうかお気を付けて、本当に有り難う!私達も頑張ります!」

「モンモン、ばいばい!」

「お前らも達者でな!浜にも又来いよ!」

おじさんはジャミル達に手を振ると、再び船を出航させた。皆は船が
見えなくなるまでの間、ずっと見送っていたのだった。

「さてと、此処から……、まずはサンマロウって町を探すか、……場所が
分かんねえ……」

「とにかく歩き出そうよ、立ち止まっていても仕方ないからね……」

「モン、そろそろお腹空いたモン!モギャー!」

「うわ、また始まった……」

アルベルトの言葉に頷き、ジャミルを先頭に先へと進み出す一行。モンはまた
ダウドの背中に張り付く。暫く立つと、頭の方に移動し、また棒か何やらを
バチに、頭を太鼓代わりに、ぽこぽこ演奏して遊び出すのである。

「あ、橋よ!」

「渡ってる途中で崩れないかなあ……」

「……ダウド……、また君はどうしてそう悲観的な……」

「思考になっちゃうんですっ!」

ダウドは無視してジャミルはどんどん橋の方へ一人向かって歩いて行く。
慌ててジャミルの後を追い、走り出す3人。……橋の側には何やら全裸の
おっさんがおり、ガクブル震えていた。

「こんちわ……、ど、どうしたんだい?」

「ああ、あんたら見慣れない顔だな、旅人だな?だったらこの下の
集落には近寄らない方がいい……、俺みたいな目に遭うぞ……、
身ぐるみ全部剥がされちまうぞ!」

「集落?」

ジャミルは橋から身を乗り出し下を覗き込んだ。確かに周囲を河川に
囲まれた場所に小さな家がごちゃごちゃ密集している。身ぐるみを
剥がされたと言うおじさんの言動から察するに、……どうやら余り
感じの良くない場所に見受けられた……。

「はーやだやだ、ひっくし!」

おじさんはくしゃみをしながらそのまま橋の向こうへ行ってしまった。

「ね、ねえ……、早く行こう……、サンマロウに行くんだろ?船を手配して
貰わないと……」

「ん?」

ジャミルを急かしたのは珍しくアルベルトであった。眉間に皺が寄っており、
何だかあまり機嫌が良くない感じである。……異様に下の集落に行くのを
拒んでいる様子。

「でも、アタシら此処の土地に関しては何も分かんないんだもん、
情報収集ってダイジじゃネ?ね、折角だし下の場所まで行って
みよーヨ!」

「サンディ、余計な事言わなくていいから!早く!」

……と、又もアルベルトが慌てだした。その時。

「いない……、この町にも……、まさか!」

「あんた……」

「ジャミル、又あの変な女だよっ!」

峠の道で会った、ローブを羽織ったあの謎の女が突然現れ、橋をスーッと
通過して行く。女は歩行の途中で足を止めると、ジャミルに近づき、顔を
じっと見つめ始めた……。

「違う、違うわ……、どうかしてる……、旅人を天使と間違えるなんて……」

「あ、おいっ!待てよっ!!」

しかし、ジャミルが呼び止めるも謎の女は又も急に姿を消すのだった。
サンディも首を傾げている。

「何なんだろうね、アイツ、どっかで会わなかったっけ?ま、いいや、
さ、果実探しにレッツゴーっ!」

「はあー、ですね……」

「ねえ、ジャミル、急に大声上げたりして、誰と話してたの?」

「ま、また幽霊っ!?」

「いや、俺の勘違いだよ、誰もいねえよ、それよりも……」

「うそうそうそっ!絶対何か見えてたわよ!」

「教えてよおーっ!」

ジャミルは何とか誤魔化すが、アイシャとダウドは納得していない。

「あのさ……、君達、早く行こうよ、そんな事どうでもいいだろ、
……早くっ!!」

遂にアルベルトが大声を上げる。アルベルトの豹変にアイシャとダウドも
きょとん。……目を丸くする……。

「あ、ご、ごめん……、でも……」

「何だよ、オメー今日はおかしいなあ!どっちみち、俺らこの土地に
関しては素人なんだよ!それにもう日も暮れる、……このまま闇雲に
進んでもどうにもならねえだろが!サンディの言う通りだよ、取りあえず
町みてーだし、今日は下まで行くぞっ!!」