zoku勇者 ドラクエⅨ編11 カラコタ編・1
……落ち着くまでもう少し見守ってやろうやと言う合図である。
「そうね……、ね?落ち着いたらお姉ちゃん達にお話ししてね?力に
なれるかも知れないから……」
「うん……、ひっく……」
やがてエルナの嗚咽も収まり、そろそろ話が聞けそうかなと
ジャミルは思い、エルナに尋ねてみる。
「あのさ、さっき俺の名前……、呼んでたの、嬢ちゃんかい?」
「はい、あの……、お兄さんはモンちゃんのお友達の……、
ジャミルさん……?お間違いないですか?ワチ、エルナって
言うの……」
「ああ、俺は確かにモンの……、って!もしかして、モンの居場所を
知ってるのか!?」
「……えええっ!?」
横で会話を聞いていたアイシャとダウドも騒然。まさかこの少女から
モンの名前を聞けるとは……、夢にも思っていなかった。
「ああ、やっぱり……、良かった、会えたんだ、……モンちゃんの
お友達のジャミルさんに……、神様……、有り難うございます……」
奇跡の出会いにエルナは再び涙を零す。エルナは自分の身の上、そして、
モンに起きた事、……全てをジャミル達に伝えるのだった……。
「そうか……、エルナ達はそのクズ男に……、モンの奴も
捕まっちまったのか、絶対許せねえな、その糞男はよ……」
「そんな悪い人は恒例のお仕置きが必要よ、ジャミルっ!モンちゃんを
助けたら皆で懲らしめに行きましょう!!」
「行こうよ、モンを助けにさあ!……モンに酷い事して……、
許せないよお!!」
「ああ、シメてくれるわっ!……どんな奴か知らねえけどよ、
まずはモンを助けにいかなきゃな、手遅れにならねえウチに……」
(はあ~、ま、しょうがないっしょ、ジャミル、どーしよーもねー、
デブ座布団助けに行こっか!)
「ああ!サンディ!」
「み、みなさん、ありがとう……、おっさん……、親方の取引相手は今夜、
カラコタ橋に来る筈なの、お願い、どうか兄者を止めて……、本当は
兄者だってこんな事したくないんだ、悪い事だって分かってるんだ、
でも、ワチ達を守る為に……」
「任せとけ!絶対に助けてみせるさ、モンもお前の兄さん達もな!」
「あ、あはっ、……うんっ!!」
エルナの目に再び涙が滲む。やはり、モンの言った事は間違っていなかった。
……この日、エルナにとって初めての嬉し泣きをした日になった……。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編11 カラコタ編・1 作家名:流れ者



