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高山 南寿
高山 南寿
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もうひとつの、ぼくは明日……

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エピローグ



再会 二〇二〇年三月 愛美二十歳

愛美は二十歳になった。文学部の大学生で、従姉の友紀と同居しながら図書館でアルバイトをしている。
「愛美、明日ひま?」と友紀が聞く。
「うん、なんも用事ないで。なんで?」
「京都行かへん? 絵画展行きたいねん」
「ええよ、ごはんもおごってや」

三月の初旬、今日は寒いほうだ。愛美と友紀はオーバーコートの襟を立てて歩いている。美術館に向かっている。
「愛美、急につき合わせてごめんね。今日の絵画展来たかってん」
「ええよ、どうせ暇やったから」
「デートとかないもんな」
「ええの、そのうち運命の人と出会うから」
「なぁ愛美、五歳のときに会った男の子が運命の人とか言うの、ぼちぼち止めたら」
「そやけど、なんか前世で付き合ってたみたいなイメージが湧いてくるねん。前世であかんかったから、また巡り会うみたいな感じがして、益々運命の人やと思ってきてんね」
「五歳のときに会った男の子なんか、今会うてもわからんで」
「なんか二十歳になった彼の顔が浮かんでくるねん。間近で見たことがある気がする」
「病気やな。重症やな」
友紀は顔をゆっくり左右に振りながら言った。
「そやね、でも絶対見つけ出すつもりやねん」
「巡り会うんとちゃうんか、見つけるんかい」
友紀は半笑いだった。

美術館に入っていく二人、看板に美大OB・在学生合同展と書いてある。
静かな美術館、フロアをゆっくり歩く二人。
高い天井に二人の靴音が響く。
絵を順に見ていく。
白い壁に、一つ一つ個性がある絵が飾られている。
数々の絵画が並ぶ中、愛美は一枚の肖像画の前で足を止めた。
そこに描かれていたのは、柔らかな光の中で椅子に腰掛け、微笑む、自分と瓜二つの二十歳くらいの女性だった。
「え……なんこれ、愛美やん?」
友紀が肖像画を指さす。
愛美はしばらく見ていたが少し涙ぐんでくる。
通りがかった背の高いスタッフ――上山はその様子を見た。そして、はっとして何かに気づいたようだ。そして足早に去る。
しばらくして上山が青年を連れて帰ってきた。
連れられてきた青年が愛美に近づく。
ぼさぼさの髪の毛、黒縁っぽいメガネ。
振り返る愛美。
お互いに顔を見合わせて少し驚き、ともに真剣な顔になる。
見つめ合う二人。
上山が友紀に声をかける。
「お姉さん、あっちの絵、見にいきませんか?」
友紀は愛美と青年を交互に見ていた。
「ハイ、ハイ」
上山にと促された友紀は、上山の顔を見て、顎に人差し指を当てた。
「えっ、会ったことある?」
友紀は小さくつぶやいたまま、上山に連れて行かれた。
二人はずっと見つめ合う。
そして二人一緒に微笑んだ。
青年は言った。
「きっと会えると思ってた。君に会えて嬉しい。南山高寿、二十歳です」
「私も、きっとまた会えると信じてた。福寿愛美。二十歳です」
二人はまた、沈黙したが、愛美が切り出した。
「あの……、南山さん、私と付き合ってください」
愛美は心の中で呟いた。
彼のもとへ、たどり着いた。


十五年後 二〇三五年三月愛美三十五歳

祭りでにぎわう参道、共に三十五歳の愛美と高ちゃんが手をつないで歩いている。
たこ焼き屋の主人が愛美に声をかける。
「あっ、お姉さんガスのホースありがとう。助かったよ。たこ焼き食べてって」
「ホースもう渡したんだ!」
高ちゃんが愛美に微笑んで言った。
「完璧やで」
愛美がVサインを返す。
そして二人はたこ焼きが焼けるのを待っていた。
愛美の後ろで五歳くらいの男の子が転倒した。愛美は手を貸して、ズボンの裾を手で、はらった。
「ありがとう」
男の子は笑顔になった。
愛美も微笑んだ。
男の子は、一緒に来ていた同い年くらいの女の子と手をつないで、境内の奥へと歩き出した。
少し歩いてから、振り向いて愛美に大きく手を振った。女の子も振り返って手を振った。
愛美も手を振り返した。隣にいた高ちゃんも手を振り返した。
「これが、最後なんだね」
高ちゃんは幼い二人を見たまま言った。
「最後なんや、本当に最後なんや」
愛美もそう言って、もう一度手を振った。
幼い二人は、もう一度手を大きく振ってから、走って行ってしまった。
愛美は思った。
なにが本当の幸せなんやろう……。私は手に届く幸せを選んだよ。高寿、これで良かった? よかったよね。
愛美が高ちゃんを見ると、高ちゃんは幼い二人が駆けて行った方をまだ見ていた。愛美の視線に気がつき、愛美に微笑かけた。愛美は微笑みながら、高ちゃんの肘のあたりを掴んだ。


エンドロール

もうひとつの世界の君へ

君の夢を見たわ
付き合い始める前の頃の
目が合ってワクワクしたよ
君と話して心がはずんだ

見つめてくれた優しい瞳
夢で見た君は変わらない
夢は覚めないでほしい
君への思いはそのままだから

偶然に会えてドキドキしたよ
これが運命かなと思ったの
巡り会う運命だったんだね
でも住む世界が違ったんだ

もう君と逢えないんだね
別れるんなら
出逢いたくなかった
でも本当に
私嬉しかったの
あのとき君と巡り会えて

鴨川の畔を歩いたね
二人で見た海の、夕焼け
そのとき、交わした口づけ
みんな思い出なんだね

君と巡り会えて嬉しかった
君と別れて苦しかった
胸が痛くて息ができなかった
部屋でひとり膝をかかえてた

君への思いを心の引き出しへ
それぞれ別の道を
歩むんだね
ねえ、君はこれで良かった?
私は本当にこれで良かったの?

偶然に会えてワクワクしたよ
あのときは運命だと思ったの
ずっと一緒だと思ったんだよ
あんなにも二人笑ってたから
ずっと一緒だと思ったんだよ
二人愛し合ってたから