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ヘケラン西中
ヘケラン西中
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アレンジクロノ(デナドロのサイラスからグレン)

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サイラスは鎧を脱いだ。30kgある鉄製の甲冑では魔王の速度に到底追い付けなかったからだ。

魔王は魔力で身体強化ができた。それにより音速を越えて動く事も可能で、人間では端から勝負にならない。
まるで虫を追っ払うかの様にサイラスを返り討ちにした。

魔王にとってはウザイハエを殺虫剤で殺す程度の感覚だった。

そのウザイハエでもあるグレンだが、圧倒的力差を目の当たりにしながら、逃げもせず立ち向かってくる。魔族であれば決してこの様な情に流される事はしない。

魔王にとってはそこがターニングポイントになったのかもしれない。殺す事を躊躇してしまった。

『醜いカエルとして生かして人間共に魔王様の力を知らしめましょうぞ!』

ビネガーの意見にしては的を射ている。だが、ビネガーの言うとおりにするのも面白くない気がした。言いなりだと思われてしまえば魔界での威厳に関わる。

魔王はカエルの呪いに遊び心を加えた。
細胞レベルでカエルにする事で人知を越えた身体能力を与える事になるかもしれない。が、それはそれでビネガーがあたふたする姿は見物だろうと。



魔王は去り際に言った。
『ビネガーだって緑のぶつぶつの癖に。カエルとさして変わらない癖に…。お前だって醜悪なんだぞ』

ビネガーは思った。いつかこいつをぶっ殺そうと。



カエルにされたグレンはその姿のまま城に戻らないといけなかった。サイラス戦死の報告と王家の秘法グランドリオンが折られた経緯等を説明しなければならない。魔族の様な身なりにされ、グレンであることを信じて貰えるかどうかが不安だった。


カエルにされたばかりのグレンは身体を引きずっていた。カエルにされた呪いの影響なのか身体に細胞がまだ馴染んでいなかった。脳神経と身体が不一致している感が残り、強い頭痛と気持ち悪さで吐いてしまうグレン。

カエル化魔法を受けた際、身体の細胞か変異していく事にパニックしたグレンは足を踏み外し、デナドロ山の崖から落ちた。50mはあろう高さから落ちはずだったのに致命的な怪我を負わなかったのはある意奇跡であった。皮肉なことにカエルとしての身体の軟らかさがクッションの様になって助かったのかもれない。

魔王がデナドロ山にいた理由だが、ビネガー将軍の提案にて魔界の防衛基地を作るべきかの判断をする為、視察に来ていた。

デナドロ山からはガルディア領が見えた。ガルディアからの進軍を確認できるちょうど良い場所として、駐屯基地を建設しようと思っていた。

ガルディア歴600年、西暦1600年頃、ドイツ製の銃が欧州中心に広まりはじめ、各国の魔族が勢力を縮小していく流れがあった。ガルディアもその流れに勢い付くだろう事は予想され、ビネガーは対策を講じようとしていた。

魔王としてはラヴォスを召喚できれば魔界の事はどうでも良かった。魔界はラヴォス召喚までの時間稼ぎとして機能してくれれば良かっただけであったが、人間界の文明スピードは思い他早く、何らかの対策をする必要に迫られた。


魔界には船を使えば上陸する事が可能だった。デナドロ山に戦力を配置すれば砂漠地帯にてガルディア軍を迎え打てるが、海を経由されれば戦力は配置損になる。魔王としては戦争さえ起きなければ問題はなく、その為の対策として人に成り済ませる魔法を魔族らに与え、ガルディアに潜入させる命令を出した。
ビネガーはガルディア言語を理解しているヤクラとその配下にその任務を与えた。

大臣となったヤクラは国事に関わりながら、ガルディアの動向を魔界に伝えると共に、兵器を魔界に横流しをしていた。

リーネ王妃や王族に成り済まして王権を握る計画は本来の職務からは逸脱していて、ヤクラとビネガーの勝手な野望であった。


◇カエルは頭痛と吐き気に悩まされ、砂漠で倒れていたところをフィオナに助けれられる。
フィオナは博愛主義者であり、魔族であろとうとなかろうと、分け隔てなく接する。

フィオナはデナドロ山に向かう途中だった。デナドロにはフリーランサー(カラス魔族)の友達がいた。

フィオナとカラス魔族との出会いは、フィオナが手裏剣を投げていた子供時代にまでさかのぼる。フィオナの父親が日本への出張から帰って来た際のお土産の中に忍者絵巻や手裏剣や日本刀があった。フィオナは父親から忍者やちょんまげ武士の話を聞かされ、友達とごっこ遊びをしていた。カラス魔族の子供はその光景を遠目から眺めていた。魔族と会ったら走って逃げる様に教育されていたフィオナだったが、なんとなく、カラス魔族が忍者に見えて気になった。。子供だったから無邪気に話しかけてしまったフィオナ。言葉は通じないが手裏剣を渡すとカラス魔族は真似る様にして投げた。カラス魔族は投げるのが上手であり、フィオナは喜んだ。忍者に相応しいカラス魔族に手裏剣をプレゼントしようとした。魔族カラスは人間から何かを貰うのは初めてで、お返しに何かをしたくて、デナドロの住みかに案内した。デナドロは魔界との国境にも近く、魔族が出る場所であり、決して一人では行ってはいけないと教育されていたフィオナだった。フィオナのいるサンドリノから50km離れていて、馬を乗らなければ行けないような距離であったが、カラス魔族は身体能力が高く、フィオナをひょいと持ち上げると、あっという間にデナドロに連れて行った。。砂漠地帯の空を飛ぶという感動。それをくれたカラス魔族を一生の友達にすると決めたフィオナは、魔族の言語をカラスから教わる様になった。大人になったフィオナは人間界の物をちょくちょく、お裾分けに、お返しに言葉を学ばせて貰うという事をしていた。そんなある日、フィオナはカエルを拾った。
カエルはしばらく世話なっていたが、近所の住人はカエルを恐れ憲兵を呼んだ。

フィオナは、カエルが魔王に呪いをかけられた人間だと説明するものの、住人らは【魔族が嘘をついていて人間を騙している】と言って聞く耳を持たなかった。

カエルは王家の腕章が刻まれた鎧を所持していたものの、人を殺して盗んだものと思われていた。
人々は、憲兵が来るのすら待てず、カエルを殺しにかかる。

大人達がカエルを殺す計画をたてていた。その会話を聞いていた近所の子供タータ。カエルを殺す話に紛れてフィオナの悪口を言う大人達に腹が立ち、フィオナに告げ口した。
フィオナはこっそりとカエルをサンドリノから逃がした。

カエルの頭痛と吐き気は少しはマシになってはいたが、まだ王都まで帰る体力がなかった。
サンドリノから首都までは200km程の距離があった為、どこかで静養しなければならなかった。

カエルは砂漠の向こう岸にある山にて身を潜めて休もうと思った。だが街を出る前に住人に見つかり追われた。サンドリノの領主は魔族を逃がしたとあっては領主の沽券(こけん)関わると思い、憲兵を砂漠にまで向かわせた。

フィオナは魔族を逃亡させた罪にて捕まった。

カエルは山にまで逃げた。人間の脳とカエル身体のバランスがあわず、走り方はふらふらしていたが、山奥に隠れていれば、やり過ごせると思っていた。
だが、憲兵は山の中にまで捜索してきた。

山の頂上から森が見えた。森の中の方が隠れやすい。