アレンジクロノ(デナドロのサイラスからグレン)
森には木こりがいた。木こりは背後から蛇の魔族(バイター)に狙われていて、危険に気付いてなかった。バイターは10mの蛇であり、存在を知らせてやらなければ木こりの身が危ない。だが知らせれば憲兵に見つかる恐れがあった。
カエルはバイターに石を投げつけた。コントロールが合わない。何度か繰り返していると、バイターーカエルの存在に気付いた。
バイターはカエルに向かって跳び、もみくちゃになる。
カエルに武器は無かった。デナドロ山の崖から落ちたとき、崖に置き去りにしていた。
気付くとバイターの胴体が千切れていた。
誰がやったかではなく、カエルが自分でやっていた。
カエルは魔王の呪いの副作用で生物の次元を越えた能力を得ていた。
憲兵は森の中を一斉、捜索をはじめた。
カエルは森の奥へと逃げた。
森に住んでいたヌウも怯えて奥へと逃げていた。
ヌウとばったりと出くわしたカエル。
ヌウはカエルを見るとお腹を鳴らして、口を大きくあげた。カエルを食糧として判断した。
ヌウは強く、カエルは抵抗するものの食べられてしまう。
飲み込まれた後になって、ヌウは吐き出した。
カエルからフィオナの匂いを感じたヌウ。
フィオナは森に来る度にいつもご飯をくれる。フィオナの友達かと思い、食べるのを諦めてくれたが、カエルには何故助かったのかが分からなかった。
この森に住むヌウは人間の言語を理解できなかった。
ヌウは手招きして、自分の住みかにカエルを案内した。
住みかにはフィオナから貰ったベッドやタンスが備え付けられている。
ヌウはベッドで寝る意味が分からず、ベッドを飾り物の様に扱っていた。
ヌウは森でとったキノコをカエルに分け与えた。
毒があるか分からなかったカエルは手をつけなかった。ヌウはカエルの顔色を伺うと自分でキノコを食べた。
ヌウは森の外にいる人間らに警戒していた。一人でいるのが怖くてカエルを側に置いた。
カエルはこの森で1ヶ月の生活をした。
まともに動ける様になるまでのリハビリだった。身体を動かせる様になって自分で食糧を調達できる様になると、森の中で木こりに目撃されたりもした。それが原因で【お化けカエルの森】と呼ばれるようになる。
カエルの体力が回復し、王都に戻る決断をした。魔王の呪いの副作用は予想外な形でカエルの味方になっていた。カエルは時速200kmで動ける様になっていた。
高速で動けば憲兵に捕まる事はないだろうと判断したカエルは、王都に帰る前にフィオナを訪ねようと思った。魔族を匿った事にされたフィオナがどういう扱いを受けているのかが心配だった。
カエルは一目につかない様に屋根づたいをジャンプしていく。
フィオナは普通に自宅で生活していた。しかしフィオナは魔族の仲間と判断され、憲兵らが家の回りを張り込んでいた。
フィオナはカエルを釣るための餌として解放されているに過ぎなかった。
フィオナの家に入ったとたん、カエルは包囲される。
カエルは実戦の練習をかねて、憲兵達の相手になった。
カエルは捕まらず、憲兵の攻撃を避け続けた。
憲兵らの疲労が貯まった頃、兵馬が現れた。
フィオナが捕まった際に憲兵の事情聴取に、カエルの素性について詳しく伝えていた。サンドリノの領主には話は通さず、直接ガルディア首都に話を通した事で、魔王討伐に向かったメンバーの一人である事がようやく理解される。
カエルはサイラスの遺品である勇者バッジとグランドリオン手に王宮へと戻った。
王、大臣、リーネ騎士団長はカエルにされたグレンをたいそう嘆き悲しんだが、カエルは得た力を見せつけて明るく振る舞った。サイラスを助けられなかった無力なグレンの名は捨て、あえてカエルと呼ばせる様に仕向けた。
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作品名:アレンジクロノ(デナドロのサイラスからグレン) 作家名:ヘケラン西中



