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zoku勇者 ドラクエⅨ編15 悲しきリブドール・2

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「……帰ってよ、私、あなたみたいな図々しいの大嫌い!帰ってっ!!」

「あら、そう言われても私だってそう簡単に帰る訳に行かないの!
さ、まずは一緒にお庭に出て花壇のお手入れしましょ!」

「あなた……、お手伝いに来たんでしょ?屋敷の主の私に仕事を
させる訳!?」

「ささ、いいからいいから!お家の中にばっかり籠もってるから
苛々するの!外に出てお日様の光を浴びたら気持ちいいわよ!」

……アイシャは抵抗するマキナの背中を押す。マキナは訳が分からない。
嫌いって言ってるのに。……帰ってって言ってるのに。これまで屋敷に
訪れた人間でこんなに図々しくふてぶてしい小娘は見た事が無かった。
……昨日マキナに怒った事と言い……。マキナはそのままアイシャに
裏庭にある花壇に連れて行かれた。

「……こんな花壇、誰も手入れなんかしないわ、花だって枯れてるわ……」

「ええ、だからこの枯れちゃったお花さんには有り難うを言って、又
新しいお花の種をまくの、私、花屋さんで買ってきたの、マキナさんも
これを一緒に植えて……」

「……嫌よ!何で私がそんな事しなくちゃいけないの!冗談じゃ
無いわ!もう帰ってって言ってるでしょ!……帰らないとっ!」

「きゃ、きゃ!?」

切れたマキナはホースで水をアイシャにぶっ掛ける。アイシャは
身体中水浸し、びしょ濡れになった……。その惨めな姿を見て
マキナはほくそ笑む。此処まで嫌がらせをすれば流石にもう帰ると
思ったからだった。しかし。

「……やったわねえーーっ!!お返しよっ!!」

「きゃあ!?」

これぐらいでアイシャが怯むはずが無く……、今度は逆にマキナに
ホースで水をぶっ掛けた。当然の如く、マキナも又ブチ切れる。
こうして天然ボケ女子同士の戦いが幕を開けたのだった……。

「……はっくしょんっ!全くもう、冗談じゃ無いわ……、お陰で
大切な洋服がびしょびしょだわ……、……マキナの大切な洋服が……」

「何よ、マキナさんが意地悪するからでしょ!私だって、折角この
メイドさんのお洋服貰ったのに……、って、落ち込んでる場合じゃ
ないわ!こんなのへっちゃらなんだから!あ、着替えますか?
お手伝いしますよ!」

「触らないでっ!着替えくらい一人で出来るわ……」

「そうですね、じゃあ私、ちゃちゃっとお屋敷のお掃除をば、
その後でマキナさんのお昼ご飯作りますね、楽しみにしててね!
また戻って来ますからねー!えっと、まずは螺旋階段のお掃除から
……、ファイトよ、アイシャっ!!」

「……そんなの要らない……、ちょっとっ!」

アイシャは自分に気合いを入れながら部屋を出て行く。残された
マキナは暴走娘にどうしていいか分からず、溜息をついた。いっその事、
掃除の邪魔をしてやれば……、と、思ったが、疲れが出ていた。どうも
あの小娘は何を嫌がらせしてもへこまない。逞しい、そんな図々しさが
あった。マキナは再びベッドへと横になる。そして何時しか眠りに
ついていた……。そして、暫く時間が経過した頃……。

……リヤ……マウ……リ……

「……マキナ……?」

眠ってしまったマキナは夢の中で懐かしい声を聴く。よく知っている声。
懐かしい声。大好きな……。だが声は段々と……悲しそうな……、切なそうな
涙声に変わっていった。

……マウリヤ……、ごめん……ね……

「……」

「……きゃああーーーっ!!」

「な、何……!?」

突如、耳をつんざく凄まじい爆音と悲鳴が屋敷中に響き渡り、マキナは
慌てて目を覚ます。と、目の前にいたのは……。

「えへへー、マキナさん、目が覚めた?」

「……あなた……、まだいたの……」

……顔中真っ黒、髪の毛はぼさぼさに乱れ、凄まじい姿のアイシャで
あった。

「お昼ご飯作ろうとしたらちょっと爆発しちゃった、でも、お料理は
出来たの、ささ、マキナさん、食べて食べて!!」

アイシャの格好は見ればちょっと処では無い、恐らくオーブンの一つ
ぐらい破壊しているであろう。しかも持って来た料理もまっくろくーろ
くろ、一体何を作って来たんだと思われる程の料理だった。

「そ、それはなあに……?」

「チーズグラタンなの!ちょっと見栄えは悪いかもだけど、
美味しいのよー!さあどうぞ!飲み物にミルクも淹れたわ!」

「……」

見栄えが悪いどころでは無い。普通の者が見たらガクブルする
ぐらいのレベル。だが、差し出された料理をマキナは不思議そうに受け取り、
くんくん匂いを嗅ぎ始める。そして……、破壊グラタンに口を付けた。

「……おいしい……」

「わ!ホント!?」

アイシャは嬉しそうにパチンと両手を打った。ジャミルなら恐らく泣いて
怒るであろう破壊料理をマキナは抵抗なく口に入れる。そして等々全部
平らげてしまったのだった……。

「お代わり……ないの?」

「あっ、じゃ、じゃあ、夕ご飯にもう一度作りますね!よーしっ、
その前に残ってるお屋敷のお掃除しちゃいますね、マキナさんは
休んでてね!!」

「はあ……」

マキナは呆れながらもベッドに又横になるが、部屋を出て行こうと
するアイシャにうっすらと、さりげなく声を掛けた。

「……前に屋敷にいたコックが作ってくれたのよりとっても
美味しかった……、変ね……、こんなにご飯が美味しいのって
初めて……」

「マキナさん……、有り難うっ!私、夜も頑張るね!!」

「……」

マキナは天然で恐らく味覚がおかしい所為なのだろうが、アイシャの
破壊料理を美味しいと言ってくれ、アイシャも喜び益々張り切る。
……こうして、少しづつではあるが、マキナは段々アイシャに興味を
持ち始めていた……。

「……変な子……、本当に……」

そして、ジャミル側の方だが……、捜査が難航していた処にモンが
突然の高熱を出し、体調不良になってしまったのである。モンを
このままにして歩き回れない為、男性陣は慌てて一旦宿屋へと
引き返した……。

「まいったなあ~、……風邪かな……、おい、モン……、大丈夫か……?」

「モン~……、ごめんなさいモン~……」

「暫く様子を見ようよ……、どっちみち今日は無理だよ……、
日も暮れてきたし……、アイシャが戻って来たら話そう……」

「モン、ゆっくり休むんだよお~……、気にしなくていいからねえ~……」

「モン……、ダウドの頭叩けなくて……つまんないモン……」

「……それはいいってばあ……」

(へえ~、オモロ!デブ座布団も風邪引くんだねえ~!)

「……サンディっ!モ、モン、何か食べたい物はあるかい?
キャンディーならすぐ買ってくるよ」

「お腹すいてない……、食べたくないモン……」

「……」

アルベルトがそう言うが……、モンは拒否。男衆は顔を見合わせる。
……モンは相当風邪にやられているかも知れなかった……。

「モン……、アイシャに会いたいモン、……こんな時、抱っこして
お腹を優しくなでなでして欲しいモン……」

「モン、お前……」

「モン~……」

モンの高熱は、もしかしたら風邪では無く、アイシャを心配する余り、
寂しさから発した突然の熱かも知れなかった。