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zoku勇者 ドラクエⅨ編16 悲しきリブドール・3

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マウリヤは暫くの間、鉄格子をぐっと握り締め、何か考えていた様だったが、
やがて浮かれている盗賊達に向け、言葉を発した。

「……あなた達、お金が欲しいの?でも、残念ね、家にはもうお金なんか
ないわ……」

「な、何だと……?」

「はあ~?」

賊共の視線が一斉にマウリヤの方を向く……。しかしマウリヤは更に構わず
言葉を続けた。

「……それに、パパとママって誰?私、そんな人達……、会った事も
見た事もないわ……」

「……てめえ、ふざけてんのか……!?」

「!ちょ、アニキ、待って!落ち着いて下さい!」

ジョーカー男は慌てて角カブト男の腕を引っ張り、向こうの方へと連れて行く……。

「何だっ!」

「……嫌ね、俺ら、大変な見落としをしていたんじゃねえかと……」

「何がだっ!!」

「へえ、あのボケ娘の言葉から察しますと……、もう両親は既にいない、
屋敷がもぬけの殻だったちゅーのは……、つまり、もうあの家にはあの娘
以外、誰も住んでいなかったちゅー事ですよ、しかも、もう財産も金も
無いと……、だから……」

「早えー話が……、屋敷の元々の主も死んで、一文無し、……崩壊寸前の
ボロ屋敷……だったちゅー事か……?」

「やす……、ですね……」

漸く真実を知った賊共は顔を見合わせる……。そして、肝心の大事な処を
見落とし、情報不足だった過ちをも知る……。だが、角カブト男は激怒。
怒りでジョーカー男に殴り掛かるのだった。

「この野郎!もっと事前にテメエが真面に情報を調べときゃこんな
めんどクセー事にならなかったんだっ!!……こんな厄介なクソを
掴まされた様なモンだぞっ!……ええーーっ!?」

「いてて!お、俺の所為にするんですかいっ!……大体アニキだって
この数週間の間何してたんですか!……殆ど屋敷の塀に張り付いて
いただけじゃねえですかい!!」

「畜生!……こうなったら……、あのクソ娘ぶっ殺してやる!!
金がねえならもう用はねえや!!」

「……クソ娘って……だあれ?」

「……うわあーーーっ!?」

性悪賊共大絶叫……。牢屋の中にいる筈のお嬢さんが突然目の前に
立っていた。しかも……、小脇には気絶しているアイシャを軽々と
抱えているのである……。

「此処、もうつまらないから本当に帰るわ、じゃあね……」

「……お、おいおいおいおい!ちょっと待てっ!!」

「ア、 アニキーーっ!あれっ!……牢屋が……、鉄格子が壊されて
ますぜーーっ!!」

「……わああーーーっ!?」

賊共再び大絶叫……。マウリヤは自ら鉄格子を壊し、牢屋から出て来て
しまったのだった。マウリヤは抱き合って怯えだした賊共に構わず、
アイシャを抱えたまま、無言で歩き出す。……その後、賊共は
ちびって気絶……。

「はあ、やっちゃった……、でも……、……此処、何処……?」

洞窟を出て帰るつもりが……、天然ボケのマウリヤは更に奥へと進んで
行ってしまったのだった……。賊共からも大分離れ、どうやらかなり
奥の方に歩いて来てしまった模様……。眠さもあって、流石に疲れも
出て来たマウリヤは、抱えていたアイシャを降ろし、その場にゆっくり
しゃがみ込んだ。

「う、ううん……、……!?」

「……おはよう……」

漸くアイシャが目を覚ます。そして、自分の隣に座っているマウリヤに
びっくり。何せ、屋敷から連れて来られた後の記憶がないのだから……。

「マキナさんっ!だ、大丈夫!?私達どうしてこんな処にいるのっ!?
ね、ねえ、怪我はない!?」

「あなた……」

マウリヤは益々混乱する……。普通ならまずパニックであろうに、彼女は
自分の事よりも、マウリヤの事を何よりも第一に心配してくれている……。
それはどうしてなのか……、本当に分からなかった……。

「大丈夫、あの変な人達、帰っちゃったわ、だから大丈夫……、私達は
誘拐されたんですって……、処で、誘拐って何かしら……」

「マキナさんたら……、そ、そっか、誘拐されて此処に、どうりで……」

天然マウリヤは平然と言う。相変わらず何処かズレている彼女に
アイシャは苦笑するのだった……。

「……やっぱりあなたって、変よ、……変だわ……」

マウリヤはアイシャを縛っている縄を解いてやりながら呟く。
それを聞いていたアイシャはふて腐れる……。

「……もう~、ね、ねえ、マキナさん、そろそろ私の事、アイシャって……」

「嫌、あなたは変な子だもの、……変な子」

「……も、もういいですよう~、はあ、解けた、マキナさん、有り難う!」

「いいえ……」

マウリヤに拘束を解除して貰ったアイシャはマウリヤに笑顔を見せた。

「さ、此処から出なくちゃ!帰りましょ、私、脱出魔法が使えますから……」

「……待って……」

「マキナさん……?」

マウリヤはリレミトを唱えようとしたアイシャの手を引っ張る。アイシャの
手を握る彼女のその手は……、微かに震えていた……。

「もう少し……、此処にいて……、2人だけでいて……、お願い……」

(マキナさん、怖かったんだね……、そうだよね……)

「大丈夫、私は此処にいるよ、……ね?怖くないよ……」

「……」

アイシャはマウリヤをそっと抱擁する。彼女は誘拐された事に怯えて
いたのでは無く、自分の所為で彼女が傷つく事に怯え始めていたの
だった。それに……、此処から出たら二度ともうアイシャに会えなく
なってしまう様な……、そんな感情も押し寄せていた……。だから、
今だけはもう少し側に一緒にいて欲しかった……。

(ああ、マキナ……、私、本当にどうしちゃったの……、分からないよ……、
マキナ、教えて……、あの時、マキナが私の前から突然いなくなっちゃった
時みたいなの、……ああ……)

「……ねえ、帰ったら……、船はあなた達にあげる……」

「え、えっ?マキナさん、いいの!?でも、船を譲ってくれるって
事は、それって……」

「勘違いしないで、べ、別にただの気まぐれ、……ちゃんと大事に
使ってね……、お願い……」

「そっかあ~、うん、でも、有り難うっ!うふふ!」

「……」

アイシャはマウリヤに飛び付く。マウリヤの心は更に激しく左右する。
だが、留まった所為で……、又もマウリヤとアイシャは窮地に
追い込まれる事になる。……そして、2人のさよならの時も近づいて
来ていた……。

そして再びジャミル側。……不満を漏らした傲慢親子は客である
ジャミル達の方にまで嫌味を言ってくるのだった……。

「大体さあ、アンタら見た処、そんなに金持って無さそうだけど、
ここ数日、大分宿に滞在してるよな?大丈夫?払える金あんの
かい?……マキナの事よりも、自分達の立場を心配した方が
いいんじゃねえのか?……払って貰えなきゃ当然警察呼ぶけど?」

「……こ、こいつっ!」

「大丈夫です、こう見えても僕らは冒険者ですから……、日頃から
常にそれぐらいの旅に必要なお金は用意してあります……」

「フン、……へえ~?……ほお~っ?」

アルベルトはジャミルを抑えつつ、オーナーの息子と話をするが……、
ボンクラ息子はジャミル達を見下した用にバカにする態度を改めず。