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zoku勇者 ドラクエⅨ編16 悲しきリブドール・3

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……表面では冷静だが、やはり腹は黒いアルベルトはブチ切れそう
だった……。

「落ち着いて僕……、おつちいて……、おちちいて、えと、
えと、うう~……」

「……おい、落ち着けよ、アルっ!……腹が立つのは分かるっ!」

ジャミルはスリッパを出そうとしたアルベルトに声を掛ける。
此処で暴れたら又厄介な事に成り兼ねないからだった。
とにかく今は使用人達に自分達がこれからマキナ救出に
向かう事を伝えたかった。……早く皆を安心させたかった。

「ごめん、僕もまだまだだなあ、……ジャミルに言われちゃう
なんて……でも、君は普段おちゃらけてる癖に……、どうして
たまに真面目になるの?」

「……うるせーよっ!」

「とにかく此処数日の宿代を払って貰おうや、早くしろよ……」

ジャミル達は歯がみする。向こうは商売である。此処は金を素直に
払うしか仕方が無かった。

「ダウド、お金を……」

「う、うん……」

ダウドは渋々部屋まで仕舞ってあるゴールドを取りに行った。

「持って来ましたよお、はい、お願いします……、これを
確認して下さい……」

「見せな、ふんふん、……親父、間違いねえな……」

「すみませんねえ、あっしらもこれでおまんま抱いてる訳ですから……」

ボンクラ息子と親父は嫌らしそうに渡した料金の確認をする。
もうテメエらいいから早く引っ込んでろよと、使用人達と
マキナの件で早く続きの話をしたいジャミルは思うのだった。
して、此処の宿の何処が世界宿屋教会の宿屋なんだと段々疑わしくなる。

「じゃあ、俺は引っ込むかね、ごゆっくりどうぞ!マキナなんて
どうでもいいわ、おい、テメエらもさっさとちゃんと仕事しろよ!」

「私も席を外しますかね……、お客様、では、失礼致します、
今後もこの最高級の宿でごゆるりと、……何時までのご滞在か
知りませんが……」

オーナーは姿を消し、客受付カウンターには元執事が汗を
掻きながら慌てて担当に入った。……マキナなんてどうでも
いい、ボンクラ息子の余りに冷たいその言葉にメイドさんと
コックはかなりショックを受けている様であった……。

「ああ、そうそう、いい事教えてやるよ、マキナを誘拐した内の
片割れは、ウチで数週間前から働いてた、得体の知れない
変な男だと思うぜ?ほれ、あのトランプのジョーカーの
コスプレみてーだったさあ……」

「坊ちゃま……?」

「な、何故そんな事が分かるんですかい……?」

「……あ、汗汗……、……」

元使用人達は失望の目でボンクラ息子を見つめる……。それにも
構わずボンクラ息子は笑いながら軽快に話をした。

「4日ぐらい前だったかね、外でよ、話を聞いちまったのさ、
その男とあと1人いたな、角カブト被ったガタイのいい体格の
奴がよ、マキナ誘拐決行まで後数日……、とかな、あいつは元々
この為に宿屋で働くフリしてその片割れと様子を覗ってたらしいぜ!」

「何て事だっ!……わ、分かっていたら、……ああ、俺がとっちめて
やったのにっ!!」

「お嬢様……、ぼ、坊ちゃま……、知っていたならどうして……、もっと
早くこの事を皆にお話にならなかったのですか……?」

コックは更に絶望……、メイドさんは涙目でボンクラ息子に訴える……。

「ああん?おめえ、生意気だな、何だよその顔はよ!俺に向かって
説教すんのかよ!第一賊なんか関わり合いになったら俺が怪我
しちまうじゃねえか!さっきも言ったろ、俺はマキナなんか
どうでもいいんだって、未来のこの輝かしい宿屋のオーナーである
この俺が怪我でもしたらそれこそ大変だろうが!」

「……」

この男は自分の身を守る為……、話を聞いてしまっておきながら、
見て見ぬ振りをしたのである。もしもボンクラ息子が少しでも
きちんと動いて行動に出てくれたなら……、マウリヤ達の誘拐は
防げたかも知れなかった……。先程アルベルトに落ち着けと言った
ジャミルは、……やはり、暴れる君教祖の為、もう駄目であった。

「……っくしょうううっ!!」

「ジャミルっ、さっき僕に言ったじゃないか!……お願いだから
落ち着いてっ!僕らはマキナさん達を助けにいかなくちゃ
ならないんだよ!こ、此処で警察でも呼ばれたら!!」

「……こんなの相手にしてもしょうがないよおっ!!」

「てめーら放せえーーっ!……こ、こいつが黙ってた所為でっ!!」

(あーあ、始まったし、たく、アイシャの事になるとまるで見境無く
なるんだから……、ま、気持ちは分かるんですケド……、アホ……)

「……な、何怒ってんだか、おーこえー、……やだやだっ!」

……その場にいた皆が落胆と失望、怒りの中でボンクラ息子は
さっさとその場から離れようとした。

「……シャアーーーっ!!」

「うわーーっ!?」

「モンっ!!」

其処にホラーカオス顔のモンが出現。モンに威嚇されたボンクラ息子は
しっこを漏らし、その場に気絶した……。使用人達もびっくり唖然……。

「モン、お前……、寝てなきゃ駄目だろがっ!」

「ジャミル、大丈夫モン、モン、もうお熱下がったモン、心配掛けて
ご免なさい、皆のお陰、ありがとモン!」

モンは皆にお礼を言うと、頭を下げ、ぺこり。……デブ座布団復活だった。

「モン、詳しいお話は分からないけど、アイシャが悪い人に
捕まっちゃったのは知ってるモン、……さっき、ダウドがお部屋で、
困った、困ったよおお~って、……アイシャがまたさらわれた~って、
ベソ掻いてお部屋でごそごそしてたモン!」

……さっき、部屋にゴールドを取りに来た時の錯乱した状態である。

「お前なあ~……」

「ごめん、オイラってすぐ態度に出ちゃうから……、ってか、
さっきのさあ、切れたジャミルに言われたくない……、ご馳走様、
勝手にお代わりして下さい……」

「……うるせーこのヘタレっ!!」

必死でダウドに弁明しようとするジャミ公であったが……、そのツラは
もう真っ赤。

どうしても隠しようがなかった。何はともあれ、モンも復活。漸く
マウリヤとアイシャ救出へと乗り込めそうだった。だが、相手が
盗賊だけだったらすぐに2人も助け出せた物の、……彼女達を救う為、
それ以上の死闘がこれから待ち構えている事に今はまだ知る由も
ない男衆であった……。

「そうですか、ジャミルさん達がお嬢様達を、……ど、どうか宜しく
お願いします!でも、くれぐれもご無理はなさらないで下さいね!!」

「頼みましたぜ、俺らも何か力になれれば良かったんですが、今は
あなた方の無事を此処でお祈りするぐらいしか出来ません、俺ら皆で
皆さんのお帰りをお待ちしてます!!」

「……坊ちゃまの事は何とか大丈夫です、汗汗、どうかお嬢様の
事を宜しく……」

「ああ、必ず!よし、行くぞお前ら!」

使用人達に事を伝えたジャミル達。いよいよ誘拐された困った2人組
救出へと出動。皆に見守られながら宿を後にするのだった……。

「ねえ、ジャミル、屋敷の事だけど……」

「うん、此処なら誰もいねえな、行く前にお前らにも話す、
……マキナの事だ……」

「え、ええ?」

「モン~?」

宿屋から離れ、大分人影が薄くなった辺りでジャミルが仲間達を