zoku勇者 ドラクエⅨ編17 悲しきリブドール・4
「……マキナ……さん……」
「アイシャ……」
聞こえて来た声に振り向くと、漸く意識をはっきりさせたアイシャが
立っていた。マウリヤは悲しそうに彼女から目を反らす。だが、アイシャは
ふらつく身体でマウリヤに駆け寄ると彼女の身体を抱擁した。
「分かったでしょ、私、……化物なのよ、死ねない身体なの、ねえ、
これであなたも嫌いになったでしょ?もういいのよ、アイシャ、
今まで仲良くしてくれて、本当にありが……」
「……バカっ!……マキナさんのバカバカっ!何でそんな事言うのっ!
バカバカバカっ!!」
「あなた……」
「なんでよっ!マキナさん、化物なんかじゃないよっ、こうやって命懸けで
私達の事、助けに来てくれたんじゃないのっ!バカぁーーっ!!あなたは私の
大切なお友だちだよ……」
「ああ、アイシャ……、あなたって本当に……、変な子……」
「ふぇ、マキナさんのバカ……」
マウリヤも強くアイシャを抱擁する。モンの言った事は本当だった。
けれど、覚悟はしていた。もしも嫌われてしまっても、それでも後悔は
しないと。でも、アイシャは本当に自分の事を友達だと言ってくれた。
それだけで只嬉しかった。
「そうだよ、別に俺らあんたを嫌ったりしないよ、そりゃ最初は
とんでもねえ我儘な奴だと思ってカチンときた時も相当あったけどさ、
でも、あんたの本当の心も分かったしさ」
「ジャミル……、やっぱりあなた達って相当変よ、おかしいわ……」
「お互い様だっつーのっ!」
「ふふ……、本当に変、でも温かい、不思議な気持ち……」
互いに言い合いをする2人だが、顔は両者とも笑っていた。
マウリヤが本当に一人ぼっちではなくなった瞬間だった。だが……。
「あ、あ……」
「アイシャ!……大丈夫!?」
マウリヤに抱擁されていたアイシャが意識を失い
再び崩れ落ちた。
「……忘れてたよ、俺ら毒を食らってたんだった……、
うう、段々俺も目眩がまた……」
「私、モンさん達から予備の分の薬草を預かって来たの、
届けに来たの……、酷いわ、本当に傷だらけ……」
「ありがてえ、助かるよ、……い、いちち……」
「暴れちゃ駄目、えーと、これでいいの……?テレビで
見た事があるわ?ツッパリ頭?こんな様な頭の人達が皆で
お歌を歌っていたわ、……つっぱりパリパリパ~リパリ……」
「……」
天然マウリヤは薬草の使い方を良く分かっておらず、ジャミルの
頭の上に乗せた。彼女も意を決して助けに来てくれたのだから、
まあいいかと思いつつ……。
「ありがとな、後は大丈夫だ、俺らで……、い、いいっ!?」
「……また来たのね、邪魔よっ!」
マウリヤはしつこく起き上がって来たズオーに再び蹴りを入れた。
マウリヤのお陰でズオーも大分体力を消耗してきている様に
見受けられた。だが、彼女自身も……。
「はあ、はあ……」
「マキナっ、あんただって疲れてんじゃねえか、もういいよ、
頼むよ、休んでてくれや!」
「……お願い、もう少しだけ……此処にいさせて、お願い……、
此処にいたいの……」
マウリヤは息を切らしながら意識が朦朧としているアイシャの方を
見つめた。……どうしてもアイシャにもう一つ自分の口から
伝えなければならない事があった。
「分かったよ……、傷の方よりも、その、持って来てくれた袋の中に
毒消し草も確か少しある筈なんだ、……まずは回復魔法が使える
ダウドから……、治療、頼めるかい?」
「ええ、これが薬草、そして……、こっちの色が違う方が
そうかしら、任せて……」
「お、おい、使い方大丈夫か?また頭の上に乗せちゃ駄目だぞ……」
「……教えて……」
「……」
マウリヤは毒消し草を使い、まずは回復担当のダウドを復帰させる。
その後、アルベルト、アイシャ、ジャミルへと続き、何とか全員を
完全に復活させる事が出来たのだった。ダウド、アルベルトも
マウリヤに心から感謝した。
「マキナさん、本当に有り難うございます!」
「助かりましたあー!」
「……いいえ、でも、やっぱりあなた達って変……、
みんな揃って変……」
「それはもういいのっ!さあ、後はズオーを倒すだけよっ、
頑張ろうーっ!」
「あいつ、又調子に乗る……、さ、マキナ、もう本当に
大丈夫だから、モン達の処へ……」
ジャミルはすっかり調子が戻り、はしゃぐアイシャを見て呆れる。
して、今度こそマウリヤにも休んでいて貰う様に促すが、
マウリヤはまた首を振った。
「……いいえ……」
「な、何でっ!なあ、頼むよ、これ以上あんたに無理は……、っ!
又来たなっ!!」
「ズォォォォーーーっ!!」
「……あっち行ってっ!」
だが、又もマウリヤにズオーは蹴られ吹っ飛んでいき、
壁に衝突。……ウザいボス敵とは言え、ジャミルは何だか
ズオーが段々気の毒になってきていた。
「私も、みんなと一緒に戦いたいの、最後まで……、大好きな皆と、
お友達と一緒にいたい……、本当に大好きなお友だちといるって
こんなに楽しいんだもの、私、心からそれが分かったから……」
「マキナ……」
マウリヤはジャミル達4人の顔を1人1人じっと見つめる。
其処に、モンとサンディもやって来る。
「モンもいるモン!」
「ま、しょーがないよネ、アタシ達とダチになっちゃった以上、
クサレ縁てヤツー!?」
「ジャミル、大丈夫だよ、私もついてる!それに、マキナさんと
一緒に戦えるなんてとっても嬉しいよ!」
「……アイシャ……」
「……いや、だから心配なんだが……」
「……何よっ!」
「何……?」
暴走女子コンビに詰め寄られ、たじたじ、立場の弱いジャミ公に、
ダウドは腹を抱えてゲラゲラ笑うのだった。
「……ヘタレーーっ!うるせーーっ!!」
「全くもう……、では、マキナさん、お願いします、僕らも
サポートします、一緒に戦いましょう!」
「アルベルト、あなたも有り難う、皆さん、私とお友だちに
なってくれて本当に有り難う……」
マウリヤが差し出した手を4人は握り返す。モンもサンディも
皆をそっと見守る。だが、芽生えた友情の行方は……。
マウリヤがこの時既に決意していた事、本来は人形である筈の
彼女の運命、……悲しい結末へと。
「行くぞおーっ!再度突撃――っ!!」
「おーーっ!!」
ジャミルの合図と同時に皆はズオーに向かって突っ込んで行く。
ズオーは又も蜘蛛糸を放出してきたが大分動きが鈍くなって
きており、アルベルトの剣攻撃に蜘蛛糸をばっさり斬られる。
しかし、ズオーも負けじとばかりに猛反撃。
「……きゃああっ!!」
「マキナっ!!」
「マキナさんっ!!」
ズオーは魔法の力などを持たず、肉弾戦だけで突っ込んで来る
マウリヤを狙い拘束。カマイタチで弾き飛ばす。マウリヤは
動けなくなってしまい、アイシャは慌ててマウリヤに駆け寄る。
「大丈夫、私の事は心配要らないわ、……私ではどうしても
あの蜘蛛に止めを刺す事は出来ない、……倒せるのはあなた達
だけなのよ、さあ、行って……、お願い……」
「でも……」
「大丈夫だよ、ヘンテコオジョーさんにはアタシが付いてる!」
「モンもいるモン!」
「アイシャ……」
聞こえて来た声に振り向くと、漸く意識をはっきりさせたアイシャが
立っていた。マウリヤは悲しそうに彼女から目を反らす。だが、アイシャは
ふらつく身体でマウリヤに駆け寄ると彼女の身体を抱擁した。
「分かったでしょ、私、……化物なのよ、死ねない身体なの、ねえ、
これであなたも嫌いになったでしょ?もういいのよ、アイシャ、
今まで仲良くしてくれて、本当にありが……」
「……バカっ!……マキナさんのバカバカっ!何でそんな事言うのっ!
バカバカバカっ!!」
「あなた……」
「なんでよっ!マキナさん、化物なんかじゃないよっ、こうやって命懸けで
私達の事、助けに来てくれたんじゃないのっ!バカぁーーっ!!あなたは私の
大切なお友だちだよ……」
「ああ、アイシャ……、あなたって本当に……、変な子……」
「ふぇ、マキナさんのバカ……」
マウリヤも強くアイシャを抱擁する。モンの言った事は本当だった。
けれど、覚悟はしていた。もしも嫌われてしまっても、それでも後悔は
しないと。でも、アイシャは本当に自分の事を友達だと言ってくれた。
それだけで只嬉しかった。
「そうだよ、別に俺らあんたを嫌ったりしないよ、そりゃ最初は
とんでもねえ我儘な奴だと思ってカチンときた時も相当あったけどさ、
でも、あんたの本当の心も分かったしさ」
「ジャミル……、やっぱりあなた達って相当変よ、おかしいわ……」
「お互い様だっつーのっ!」
「ふふ……、本当に変、でも温かい、不思議な気持ち……」
互いに言い合いをする2人だが、顔は両者とも笑っていた。
マウリヤが本当に一人ぼっちではなくなった瞬間だった。だが……。
「あ、あ……」
「アイシャ!……大丈夫!?」
マウリヤに抱擁されていたアイシャが意識を失い
再び崩れ落ちた。
「……忘れてたよ、俺ら毒を食らってたんだった……、
うう、段々俺も目眩がまた……」
「私、モンさん達から予備の分の薬草を預かって来たの、
届けに来たの……、酷いわ、本当に傷だらけ……」
「ありがてえ、助かるよ、……い、いちち……」
「暴れちゃ駄目、えーと、これでいいの……?テレビで
見た事があるわ?ツッパリ頭?こんな様な頭の人達が皆で
お歌を歌っていたわ、……つっぱりパリパリパ~リパリ……」
「……」
天然マウリヤは薬草の使い方を良く分かっておらず、ジャミルの
頭の上に乗せた。彼女も意を決して助けに来てくれたのだから、
まあいいかと思いつつ……。
「ありがとな、後は大丈夫だ、俺らで……、い、いいっ!?」
「……また来たのね、邪魔よっ!」
マウリヤはしつこく起き上がって来たズオーに再び蹴りを入れた。
マウリヤのお陰でズオーも大分体力を消耗してきている様に
見受けられた。だが、彼女自身も……。
「はあ、はあ……」
「マキナっ、あんただって疲れてんじゃねえか、もういいよ、
頼むよ、休んでてくれや!」
「……お願い、もう少しだけ……此処にいさせて、お願い……、
此処にいたいの……」
マウリヤは息を切らしながら意識が朦朧としているアイシャの方を
見つめた。……どうしてもアイシャにもう一つ自分の口から
伝えなければならない事があった。
「分かったよ……、傷の方よりも、その、持って来てくれた袋の中に
毒消し草も確か少しある筈なんだ、……まずは回復魔法が使える
ダウドから……、治療、頼めるかい?」
「ええ、これが薬草、そして……、こっちの色が違う方が
そうかしら、任せて……」
「お、おい、使い方大丈夫か?また頭の上に乗せちゃ駄目だぞ……」
「……教えて……」
「……」
マウリヤは毒消し草を使い、まずは回復担当のダウドを復帰させる。
その後、アルベルト、アイシャ、ジャミルへと続き、何とか全員を
完全に復活させる事が出来たのだった。ダウド、アルベルトも
マウリヤに心から感謝した。
「マキナさん、本当に有り難うございます!」
「助かりましたあー!」
「……いいえ、でも、やっぱりあなた達って変……、
みんな揃って変……」
「それはもういいのっ!さあ、後はズオーを倒すだけよっ、
頑張ろうーっ!」
「あいつ、又調子に乗る……、さ、マキナ、もう本当に
大丈夫だから、モン達の処へ……」
ジャミルはすっかり調子が戻り、はしゃぐアイシャを見て呆れる。
して、今度こそマウリヤにも休んでいて貰う様に促すが、
マウリヤはまた首を振った。
「……いいえ……」
「な、何でっ!なあ、頼むよ、これ以上あんたに無理は……、っ!
又来たなっ!!」
「ズォォォォーーーっ!!」
「……あっち行ってっ!」
だが、又もマウリヤにズオーは蹴られ吹っ飛んでいき、
壁に衝突。……ウザいボス敵とは言え、ジャミルは何だか
ズオーが段々気の毒になってきていた。
「私も、みんなと一緒に戦いたいの、最後まで……、大好きな皆と、
お友達と一緒にいたい……、本当に大好きなお友だちといるって
こんなに楽しいんだもの、私、心からそれが分かったから……」
「マキナ……」
マウリヤはジャミル達4人の顔を1人1人じっと見つめる。
其処に、モンとサンディもやって来る。
「モンもいるモン!」
「ま、しょーがないよネ、アタシ達とダチになっちゃった以上、
クサレ縁てヤツー!?」
「ジャミル、大丈夫だよ、私もついてる!それに、マキナさんと
一緒に戦えるなんてとっても嬉しいよ!」
「……アイシャ……」
「……いや、だから心配なんだが……」
「……何よっ!」
「何……?」
暴走女子コンビに詰め寄られ、たじたじ、立場の弱いジャミ公に、
ダウドは腹を抱えてゲラゲラ笑うのだった。
「……ヘタレーーっ!うるせーーっ!!」
「全くもう……、では、マキナさん、お願いします、僕らも
サポートします、一緒に戦いましょう!」
「アルベルト、あなたも有り難う、皆さん、私とお友だちに
なってくれて本当に有り難う……」
マウリヤが差し出した手を4人は握り返す。モンもサンディも
皆をそっと見守る。だが、芽生えた友情の行方は……。
マウリヤがこの時既に決意していた事、本来は人形である筈の
彼女の運命、……悲しい結末へと。
「行くぞおーっ!再度突撃――っ!!」
「おーーっ!!」
ジャミルの合図と同時に皆はズオーに向かって突っ込んで行く。
ズオーは又も蜘蛛糸を放出してきたが大分動きが鈍くなって
きており、アルベルトの剣攻撃に蜘蛛糸をばっさり斬られる。
しかし、ズオーも負けじとばかりに猛反撃。
「……きゃああっ!!」
「マキナっ!!」
「マキナさんっ!!」
ズオーは魔法の力などを持たず、肉弾戦だけで突っ込んで来る
マウリヤを狙い拘束。カマイタチで弾き飛ばす。マウリヤは
動けなくなってしまい、アイシャは慌ててマウリヤに駆け寄る。
「大丈夫、私の事は心配要らないわ、……私ではどうしても
あの蜘蛛に止めを刺す事は出来ない、……倒せるのはあなた達
だけなのよ、さあ、行って……、お願い……」
「でも……」
「大丈夫だよ、ヘンテコオジョーさんにはアタシが付いてる!」
「モンもいるモン!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編17 悲しきリブドール・4 作家名:流れ者



