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zoku勇者 ドラクエⅨ編17 悲しきリブドール・4

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サンマロウを発つわ、大切に使わせて貰うわね、……私達、離れても
ずっとずっとお友だちよ、大好きよ、さようなら、マウリヤ……、
あなたの事、絶対忘れないわ……」

「……」

アイシャは、今はもう動かない、返事をしてくれない大切な友達の
身体に優しく触れた。……そして、色々又思い出したのか、涙を一滴
彼女の頬にポタリと零した。

翌朝……。4人は船着き場から舟守の爺さん、からくり職人の爺さん、
マキナの乳母、使用人達に見送られ船着き場からサンマロウを後にする。
……マキナとマウリヤが託してくれたこの船で……、又新しい旅立ちへと
……。

「う~ん、いよいよ本格的な大海原の旅っ!自分達の船だもんね、
もうこれで自由に何処でも回れるんだね!何かスッゲーんですケドっ!!
船にいる間はアタシも大っぴらにチョーカワイイ素のサンディちゃんの
姿でいれるし!」

「モンーっ!モン、船の旅楽しみなんだモン!!」

「はあ、これから又この話も船生活かあ~、……オエッぷ……」

「お、おい……、ダウド、吐くなよ……?アル、舵はオメーに任せたぜ!」

「ああ、大丈夫だよ!」

「船酔い……、克服したと思ったんだけどなあ~、……久々に乗ると
どうも……、う、グ、ゲッ……」

「えーと、後……、アイシャは……」

ジャミルも皆もやはり旅立つまで余り元気のなかったアイシャを
心配していたが……。アイシャも皆に心配を掛けまいと気分を変え、
元気を出そうとしていた。実はアイシャは洞窟でマウリヤと2人きりで
いた時、マウリヤからある物をプレゼントされていた。

「これ、あなたにあげる……」

「ピンク色のリボン……?」

「ええ、大事にしていた分、もう一つあったの、だからあなたにあげるわ……」

「でも……、大切にしているリボンなんじゃないの?受け取れないわ……」

「いいったらいいのっ!さっさと貰いなさいっ!」

「あ……、もう~、マキナさんたら強引……、でも嬉しいな、有り難う!
大事にするね!」

「……」

マウリヤがアイシャに強引に渡したピンクのリボン。それは本当のマキナが
死の直前に彼女に手渡した物だった。

「……マウリヤ……、これ……、あなたに……、もしもあなたが心からの
お友だちと出会えた時にそのリボンを渡してあげて……、お友だちの印と
して……、マウリヤ、大好きな私のお友だち、マウリヤ……、どうか……
幸せに……」

「マウリヤ、有り難う、私、もう本当にメソメソしないよ、……ね……」

甲板でアイシャは潮風を頬に受けながらマウリヤから託されたリボンを
抱き締めるのだった。風と共に彼女の涙も飛んで行く……。

「アイシャ……、大丈夫か?」

「ジャミル、うん、私もう本当に平気だよ!これからこの船で世界中を
回るんだもん!新しい冒険頑張ろうね!」

「よし、……無理してねえな!」

「!?」

ジャミルは確認の為、アイシャの顔をじっと見る。……ジャミルに
見つめられ、アイシャは顔を赤くして困るのだった……。

「又そうやって子供扱いするっ!ふーんだっ!あ、この船、キッチンも
付いてるのよね!私、早速美味しい夕ご飯作るねっ!!」

「あ……、おい、コラっ!待てってんだよっ!……おおーいっ!!」

甲板の下に降りていってしまったアイシャの後を慌てて追うジャミル。
元気になってくれたは良かったが……、破壊飯を作りたがるのは困るので
ある……。やはりもう少ししょげていてくれた方が良かったかもと
ジャミルは項垂れるのだった……。そして本日も夜が訪れる。一行は
適当な島に船を着け、身体を休め就寝準備に入る事にした。

「ま、初日は船にも、んな大したモンスターも襲ってこなかったし、このまま
こうだといいんだけどな……」

「でも、新しい大陸に向かえば向かう程、モンスターも強くなるからね、
油断は出来ない処だね……」

「……ぐうぐう、オイラもう寝てまーす!……ぐう~……」

「……」

相変わらず変な寝言を言いながら寝ているダウドにジャミルとアルベルトは
苦笑。疲れているのは分かるのだが。モンは寝ているダウドの頭を又ポコポコ
叩き始めた。モンはアイシャのいる船室で一緒に寝ている筈だが……、
又ダウドに悪戯しようとこっちに来てしまったんである。

「モン、ダウドだって疲れているんだから、駄目だよ……」

「モン~……」

アルベルトに注意され、モンは少ししょげる。そんなモンを見てアルベルトは
ある物を引っ張りだしモンに見せた。

「これ、サンマロウの町で買ったんだよ、この人形の頭なら幾らでも叩いて
いいから……」

「オメー、いつの間に……、まあ、良かったな、モン!」

「モン~……」

モンは仕方なしに変な人形の頭を叩き始めた。だが、やはりダウドの頭の方が
良いらしく、その表情はやや不満気味である。やがてモンも悪さしながら
そのまま眠ってしまった。

「……人形……か……」

「……」

ジャミルはモンが悪さしていた人形を見つめる。……マウリヤ……彼女の事を
思い出していた。

「ごめん、……やっぱり今は出さない方が良かったね……」

「いや、いつまでも塞ぎ込んでいられねえからな、あいつも……、
もう大丈夫だよ、今日もスゲー夕飯作ってくれたしな……、あの野郎……」

ジャミルはそう言いながら、腹癒せに変な人形のデコにピンした。ちなみに、
アイシャが本日作った夕飯はマキナの屋敷でアイシャがマウリヤに作った物と
同じ緑色のシチュー。

「……なんで皆して倒れるのようー!失礼ねっ!マウリヤはちゃんと
美味しいって言ってくれたんだからっ!!」

ちなみに、作ったアイシャ本人は食べない。又、最近太ってきたので、
減量中につきとの言い訳で……。だが、他のメンバーが料理当番の
時だけは普通にばくばく食うんである……。

「まだ口ん中がおかしいわ……、ああ~……、シチューかぁ~、リッカの
シチュー食いてえ~……、ジャガイモ、野菜……、盛り沢山のシチュー……」

「ねえ、ジャミル、僕、考えてたんだけど、前に言ったろ?もうルーラも
いつでも使える事だし、このまま新大陸に向かう前に一度セントシュタインに
戻ってみるかい?皆、疲れも出ている事だし、休憩も兼ねて……」

「そうか、休憩か……、だよな……」

ジャミルはそう言いながらベッドに寝転がる。天使界から戻って来て、
セントシュタインからも大分距離が離れてしまっていた。それだけ沢山の
場所をいつの間にか通過していたのである。いつもリッカの事は気に掛けて
いたが……、此処らで一度戻ってみるのもいいかなと思った。

「アイテム合成……、全然してねえしな、実際も書いてる奴が材料集めるの
めんどくさがって全然手エ付けてなかったりするんだよなあ……」

……奴が余計な事を口走り出しましたので今宵は此処までにしておきます。
次回はリッカとの再会に又嵐が巻き起こる……?