二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅨ編17 悲しきリブドール・4

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

マキナ、みんながいてくれるってとっても素敵で楽しい事ね!」

あれから……。誘拐犯、そして、妖毒虫ズオーとの死闘も終わり、
4人はサンマロウに戻って来ていた。……人形に戻ったマウリヤを
連れて……。

「アイシャ、大丈夫かなあ……」

「疲れてるんだから……、ちゃんと身体を休めないと……、でも……」

「もう暫く……そっとしておいてやろうや……」

「……」

ジャミル達男衆はそのまま沈黙になる……。4人、サンディとモンは
サンマロウに戻り、マキナの屋敷へ訪れていた。今日はこのまま屋敷を
借りて一晩屋敷に泊めて貰い身体を休まさせて貰う事にした。
……もう屋敷の主はいないが、だが……。

「おお、ジャミルさん達!ご無事で何よりでしたぜ!」

「……お帰りなさい!皆さん!!」

「ああ、皆様、そのお姿から察するに……相当大変だったのですね……、
汗汗……」

屋敷には元使用人達が皆で4人の帰りと吉報を待ち侘びていた。使用人達は
宿屋を皆で辞めて来たらしい。クズ親子の外道ぷりと横暴にもう我慢の
限界が来ていたのだった。まさかこんな反乱分子が起きると思わず、
クズ親子は揃って宿を出て行く使用人達の姿に相当焦っていたらしい。
タンスに閉じ込めっぱなしの盗賊共も、話を聞いた使用人達が直ぐに
警察へと連絡。悪者も無事お縄頂戴されて行った。普通ならこれで
何もかもがハッピーエンドを迎える筈であった……。

「何て事だ、マキナお嬢さんが……」

「……町中の皆を騒がせた罪を償いたいと、お一人で長い旅に……」

「あ、汗汗汗……、……」

「俺らも止めたんだけど……、どうしても気持ちの整理が付かない
からってさ……、戻るのも何時になるか分からないって、皆にも
申し訳なかったって……、謝ってたよ、このままじゃ自分の気持ちも
修まらないって……」

皆に説明をするジャミルだが、嘘をついているのは分かっていた。
マキナ、そして、マウリヤが旅に出たのは本当である、だが、本人達は
永遠に終わる事のない、……長い長い旅立ちへと……。

「分かりました……、では俺らはこのお屋敷でマキナお嬢さんのお帰りを
待ちます!」

「ええ、いつお嬢様がお戻りになられてもいい様に……、私達皆で
このお屋敷を守り、そしてお嬢様を待ちましょう……」

「そうですね、で、でも……、また此処に戻って来れるなんて……、
私は本当に幸せです……、涙涙涙……」

「皆……」

「さあさあさあ、皆さんもお疲れでしょう!今日は俺が腕によりを掛けて
美味い夕飯をご馳走しますぜ!ああ、このお屋敷の台所に又立てるなんて、
俺は本当に夢を見てるんじゃねえだろうか……」

……使用人達は何も知らず、これからもこの屋敷で二度と帰らぬ主を
待つ事になるのであろう。真実を知っており、それを決して伝える事は
出来ない4人の胸中は複雑であった。

「ねえ、そろそろ様子……、見に行った方がいいんじゃないの……?」

「……」

ダウドはジャミルの方を見る。アイシャはマウリヤを連れて屋敷の
ある場所を訪れていた。……モンも一緒について行ってくれているの
だが……。

「あーもうっ!何モタモタしてんのっ!アンタが動かなきゃ駄目っしょ!
今頃一人で泣いてるかもだよっ!そりゃデブ座布団だっているケドさあ!」

「ジャミル、僕もそう思うよ……、君が行ってあげた方がいい……」

サンディに突かれ、アルベルトにもそう言われたジャミルは溜息をつく。
そして、アイシャがいる場所まで向かった。……マキナの部屋から通じる
場所。マキナの両親、そして、マキナ本人が眠る墓の場所へと……。

「……」

「アイシャ……」

「モン~?」

「……あ、ジャミル、来てくれたんだ、……ごめんね、心配掛けて……」

アイシャが見つめている墓標の側には人形のマウリヤが座っていた。彼女が
大好きな友達の為に建てたお墓。……大好きなおともだち、此処に眠ると
刻まれたお墓の側に……。

「私、もう泣かないよ、泣いたらマウリヤに絶交されちゃうもん、
……マウリヤったら、本当に意地悪で口が悪いんだから……、
本当にもう……」

アイシャはそう言いながら、今はもう動かなくなってしまった彼女を
優しく撫でた。

「……マウリヤ、今あなたはどんな夢を見ているのかな?楽しい夢で
あります様に……」

「お前、本当に大丈夫なんだな?……嘘ついて無理したらデコピンするぞ、
明日にはもうサンマロウを出るんだからよ……、マウリヤとも本当に
さよならなんだぞ、分かってんのか?」

「な、何よ、大丈夫だったら大丈夫なのっ!私は元気っ!ほお~ら、
元気元気っ!アイシャちゃんはとっても元気でーすっ!……ふぇ……」

「全然大丈夫じゃないモン……」

「バカだなっ、オメーはっ!何がアイシャちゃんか!自分で言うなっての、
……ほらっ!!」

ジャミルはアイシャを抱き締める。どうせ無理をしているのは分かっていた。
だから落ち着くまでこうしていてやろうと思った。……涙と鼻水で
べちょべちょにされるのは覚悟の上で……。

「ごめんなさい……、ジャミル……」

「たくっ!素直になれってのに……、どうしようもねえなあ~……」

「……ふぇっ、ひっく……」

「モン~……」

「おや、あなた達、此処にいらしたんですか……」

「……オウっ!!」

「きゃ!?」

突如何者かが裏墓地へと乱入して来た。タマネギヘアの老婆、マキナの
元乳母であった。二人は慌てて抱き合っていた身体を離す。……モンは
大口を開けたまま固まり、カオス変顔に……。

「使用人さん達からお話を聞きましてね、私も生きていられる間に、
又此処のお屋敷に通ってお嬢様を待とうと思ったんですよ、……おや……?」

乳母は何かに目を付ける。お墓の側に座っていた人形。……マウリヤに……。

「ああ、あなたもこんな処にいたのね、沢山探したのよ、でも見つかって
良かったわ、ふふ……」

「……婆さん……」

「このお人形さんはね、名前をマウリヤと言うんですよ、マキナお嬢様が
とても大切にしていらしたの、最近何処かに突然消えてしまったらしくて、
お人形を作ったからくり職人のお爺さんもとても心配していらしたんです、
さあ、マウリヤちゃん、お部屋でお婆ちゃんと一緒にお嬢様の帰りを
待ちましょうね……」

乳母はマウリヤを連れて行く。その光景をジャミル達はじっと見つめていた……。

「さあ、俺らも行こう、……お前も身体休めろって事だよ、いいか……?」

「うん、もう本当に大丈夫、モンちゃんも有り難う……」

「モンっ!」

ジャミル達も屋敷内へと戻る。墓地から直ぐに通じているマキナの部屋。
……ベッドの上にはマウリヤが寝かされていた。

「ジャミル、私も直ぐに行くわ、先に皆の処に行ってて……」

「ああ、……早く来いよ、アル達も心配してるからよ……」

「うん……」

ジャミルとモンはマキナの部屋を通り、応接間から廊下へ出て行く。
2人が部屋からいなくなった後、アイシャはベッドの上のマウリヤに
そっと話し掛けた。

「……色々ありがとう、私達、明日あなたがプレゼントしてくれた船で