zoku勇者 ドラクエⅨ編21 我侭女王と恋したトカゲ・2
あれ程女王に酷い目に遭わされたと言うに、仲間達は女王を助けに
行こうとジャミルの背中を押してくれている。……女王の事を心から
心配し、泣いているジーラの為にも……。
「分かったよっ、行くぞっ!出動っ!……節介部隊っ!!」
「ま、まああ……」
4人は侍女集団達の目の前で井戸の中に身を投じる。一体何処に通じて
いるのかさえ、分からない……、深い深い井戸の底へと……。その場で
只一人、ジーラは4人と女王の無事の帰省を強く強く願う……。
「皆さん……、女王様の事をどうか宜しくお願いします、ご無事でっ……」
そして、井戸に飛び込み、辿り着いた先。其処は……。
「古い昔の地下通路だな……」
彼方此方にもう腐敗した水路が流れている。アノンは女王をこの奥へと
連れて行ったのだろうか。とにかく4人は先に進む事にした……。
「もしかしたら……、も、もう間に合わないかも……、スライスされちゃった
果実みたいに……」
またダウドの悪い方向へと悲観が始まる。それでも、アノンが女王にまだ
手を出さないでいてくれる事を念じるしかなかった。
(女王さんよ、もしもまだ無事でいてくれるなら感謝しろよ、
ジーラさんがいてくれなかったら、俺も気持ちが動かなかった
かもしんね……)
「此処のお水、くさいんだモン……」
「そうね、もう腐ってるもの、モンちゃん、余り臭いを嗅いじゃ
駄目よ……」
「モォ~ン……」
モンは鼻を押さえながらふよふよアイシャの後を付いて行く。けど、
何処に鼻があるんだと言う事はジャミルは黙っていた。いつもなら
ダウドの頭にくっついて遊んで移動するモンだが、今日は流石に
そんな気分ではないらしい。彼方此方から漂う異臭にジャミルも
目眩がしてくるのだった……。
「……旅の者よ……」
「……誰だっ!?」
「ひえーっ!?な、何だよおーっ!!」
突如、聞こえて来た声にジャミルは後ろを振り返った。後ろには、
ジャミルが突如大声を出した所為で混乱しているダウド、アルベルト、
アイシャ、モン、……そして、青白い顔の見知らぬ初老の男が……。
「あんた……、もしかして……」
「だから何だよおーっ!オイラはダウドだよおーーっ!!」
「ダウド、……しっ!」
アルベルトは慌ててダウドに静かにしている様に注意を入れる。
又見えない誰かとジャミルが喋り出したのが分かったからである。
「アタシにも見えてるから、何か見た事無いおっさんみたいだよ……、
すっゲー、悲しそうな……、暗そうな顔してんのよ……、写真に
ちゃっかり写り込んでてもおかしくない様なさあ……、ぬ~っと……」
「ひえええーーっ!!やーだやーだっ!……いーやーだああーー……」
サンディはジャミルの中から飛び出すと、仲間達に説明する。
アルベルトは唯一錯乱し、混乱しているダウドを静かに
させようと……、余りうるさいといつもジャミルを黙らせる手で、
今日はガムテープをダウドの口に貼った。
「ダウド、ごめんよ、暫くそのままでいて……」
「……えううう~……」
「旅人よ、すまんな……、この哀れな父の話をどうか聞いてくれまいか……」
「父……、って、事は、あんたやっぱり……」
「そうだ、私はこのグビアナの先の国王……、ガレイウスである……」
「ユリシス女王の親父さんだな……」
仲間達にはジャミルと喋っている相手は見えないが、今此処に先代の
国王が現れている事実に騒然……。サンディの話す様子から察するに、
愛する娘が心配で相当成仏出来ておらず、この地下水道を彷徨っている
様子も覗えた……。
「……如何にも……、娘がああなってしまったのは全て私の
所為だ……、私は王としての名声を求める余り、娘のユリシスに
愛情を注いでやれなかった……、娘が人の心も分からぬあんな
我儘な女王に育ってしまったのは全てこの愚かな父の所為だ、
だが人としての心を失い、優しさも、それらを知らぬまま孤独に
生き続ける娘をこのまま見守るのは余りにも親として悲しく、
辛いのだ……、……旅の者よ、勝手なお願いをして済まぬ、
どうか娘を頼む、ユリシスを救ってやって欲しい……」
「……おっさん、……分かったよ……」
「済ま……ぬ……、どうか、愛する娘、……ユリシス……を……」
ガレイウスはジャミルにそれだけ伝えると、静かに姿を消した。
だが、国王が本当に心から安心して眠れる時……、それはユリシスを
孤独と心の闇から救う事である……。
「ジャミル、モンにもあのおじさん見えてるモン、女王様も女王様の
お父さんもちゃんと助けてあげようねモン!」
「ああ、絶対にな!」
地下水道を進んでいく4人。扉が有る場所まで辿り着く。開いて
奥へ進むと、其処は墓石が錯乱している……。この地下水道で
墓地にあたる場所だった……。
「……ーーーっ!!」
「皆、モンスターよっ!」
アイシャの声に男衆は身構える。やはりモンスターも出る。そう簡単に
通してくれそうにない。
「ダ、ダウドっ!……ごめんっ!」
「あだだだだっ!アル、酷いよおーっ!」
アルベルトは戦闘準備の為、さっき貼り付けたダウドの口から今度は
ガムテープを思い切り引っ剥がした。急いで剥がした所為で、ダウドの
口回りにはテープの跡が付き、変なおじさん状態になってしまった。
「……もうーっ!なんのさあーっ!オイラプンプンですよおーっ!」
現れたのは蛇の様な外観のモンスター、ヘルバイパー。毒以上の
厄介な特殊攻撃、猛毒の霧を吐いてくる。それ程強くはないが、
なるべく短期間で済ませないと厄介な相手である。
「シャアーーっ!」
「それはモンの特許だモンっ!……シャアーーーっ!!」
モン、率先し毒を吐かれる前に毒を吐く。露天で食べた餃子攻撃の
息である。ヘルバイパーは倒れたが、当然の事ながら味方にも
ダメージを喰らった……。
「今だモンっ!みんなーっ!ゲップ……」
「お、おえっ、……くっせ……、ア、アイシャ……、頼む……」
「分かったわあ~……、モンちゃんたら、又歯磨きするの忘れたわね……」
アイシャは鼻を摘まみながら詠唱準備を始め、ヒャダルコを連発。
ヘルバイパーをどうにか始末したのだった。そして更に、お次は
ネコの様な外観の魔道士、ベンガルクーン。だが、ベンガルクーンは
身嗜みの為、ごしごし、顔を洗っていた……。
「わあ、かわいいーっ!にゃ~ん!」
「……コラっ、アイシャっ!不用意に近づくんじゃねえよっ!
今度は俺らがやるっ!少し休んでろっての!」
「ぶー!分かりましたよーだっ!……あ、あっ!?」
「ぶーぶーモン!ぷっぷモーン!」
アイシャはモンを連れ後ろに引っ込もうと。だが、後ろから
マミーが出現。自身の包帯を伸ばすとアイシャを拘束、地面に
叩き付け、引きずって何処かへと連れて行こうとする。
「……きゃあああーーっ!?た、助けてええーーっ!!」
「モンーーっ!アイシャを放すモンーーっ!!」
「アイシャっ!ジャミル、アイシャは僕が!君はネコの魔道士の方を!」
「頼むっ!アルっ!」
アルベルトは急いでアイシャの方の援護に回りマミーを追い掛けて行く。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編21 我侭女王と恋したトカゲ・2 作家名:流れ者



