甲斐性と雨宿りしたら・続
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猗窩座は、煉獄の胎内に精を放ってから、呼吸を整えて改めて己の上に跨った男を見遣った。
普段きっちり着こなした黒の隊服ではない、金と赤の髪が映える清廉な白いシャツ。その襟元はボタンをふたつ外されたことで鎖骨が見え隠れする絶妙な塩梅で。
適当に捲られた袖は前腕の半ばくらいから折り返されていて、腕の筋や血管が晒されている。
また生地が薄いため、肘を曲げると肩や二の腕の形が服越しでもわかるのだ。鍛え抜かれた胸板によりむちむちと突っ張った様子も非常に情欲をそそる。
加えて生地の色が白であることで、肌の色がうっすら透けているであろうことも想像できる。…これは暗がりの中なので想像に留まるのみだが。
そしてベルトを緩め、大腿部に引っ掛けたままの隊服。これはかなり点数が高い。なんなら任務中に犯しているかのようなやましさを味わえる上に、蹴りが飛んでこない。
脚半を履いたままであることで、足元だけでも杏寿郎を抱いていることが実感できるという点も大きい。
…控えめに言って最高だ。
俺という身体を形成しているすべての細胞が喜びを叫んでいる。
露出が高ければ良いというものではないのだ。この際どさと、穢してはいけないものを好きにしているという背徳感が刺さる。
そしてそんな杏寿郎を抱いてしまった。それも、あろうことか中出しだ。
今こうして眺めているだけでもドキドキする。
……いやドキドキってなんだ。乙女か俺は。
自らにそう突っ込んではみたが、達したあとの上気した顔と、印象的な赤い瞳が劣情を称えてとろんとしている様は、どうしようもなく興奮を煽ってくる。言い換えれば、ムラムラしてくる。
「…杏寿郎、」
「……ああ」
「もう一回、良いか?」
断られることを前提で訊ねるが、煉獄は二度瞬きをしてから口角を上げた。
「…良いだろう。受けて立とう」
「え……い、良いのかっ?」
まさかそんな挑戦的な微笑をもって了承してもらえるなどと思ってもみなくて、勢いよく訊き返してしまう。
我ながら滑稽なほどの食いつきだったと思う。杏寿郎にも宥めるように頭を撫でられた。幸せだ。
「あまりしつこくされると身がもたないがな」
「しつこくなどしないっ。というか出来ない!お前のそのあられもない姿を前にして、俺に焦らす余裕などあるわけがない!」
「あ、あられもないだろうか…」
こちらの言葉に、煉獄は己の格好を見下ろして顔を赤らめる。
ああ…そんな…そんな恥じらうような仕草を見せつけられたら止まらなくなりそうだ。
猗窩座は暴走しそうな自身を懸命に律して、がしりと煉獄の肩を掴んで真剣な眼差しで見つめた。
「頼みがある」
「…な、なんだ」
「横向きで抱きたい」
「……、」
拒絶や引いているというより、何を言われたのか理解できないとばかりの沈黙。
本当は立ってしたい。杏寿郎には壁に手をついてもらって、背後からその身を貫きたい。
しかしそれはやはり屋外がいい。だから今は…!
こちらの切実な懇願に、煉獄は困惑しつつも曖昧に頷いた。
「…横向きに、寝ればいいのか?」
「ッそうだ!やってくれるか!」
信じられない。あの杏寿郎が、俺が望んだ体位を自らとってくれる日が来ようとは。
目を輝かせる猗窩座にたじろぎながらも一度上から降りると、煉獄は右を下にするようにして横になる。その背後にぴったりくっつくように横になった猗窩座は、煉獄の左足を持ち上げて再び硬度を取り戻した逸物を柔らかくなった相手の後腔に潜らせていく。
いわゆる片上げ後側位。
煉獄のうなじの匂いを胸いっぱいに吸い込んで、逸物で奥を突いた。
先程自らが注ぎ込んだ子種たちが押し出され、とちゅ、と小さな水音を立てると同時に、煉獄の引き締まった腰がぴくりと跳ねる。最高すぎる。
「く…っ、」
「…杏寿郎、苦しくないか?」
相手の足や背中、尻の形や体温を、全身で密着して感じながら声をかけると、煉獄は首を竦めて小さく頷いた。
「苦しくは、ない…。なんだか…、っん、いつもより……安心っ、する…」
抽挿の度に言葉を切りながら、甘い吐息混じりに伝えてくれる。
作品名:甲斐性と雨宿りしたら・続 作家名:緋鴉



