zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1
「ナムジンさあ~ん……、や、やっと……、うう~、にへえ~……」
(……ヘタレキモーっ!)
「アイシャ、ダウドが怖いモン……」
「あ、あはは、やっとナムジンさんとお話出来るのが嬉しいのかしらね……」
「……ちょ、ダウドっ!え、えーと、じゃあ、話をさせて貰おうか、
ね、ジャミル……」
「ああ……、……オメーはっっ!!」
ジャミルはアルベルトにそう返事をしながら、ぴえん顔からノロケ顔に
なったダウドの頭を一発小突いた。
「……何だよおーーっ!!」
「皆さん、来てくれたのですね、有り難う、……あの、先にボクの方から
少し話をさせて貰っても宜しいでしょうか……」
ナムジンは4人に向け、静かに喋り出す。だが、明らかに彼は様子が
これまでと違う事にジャミルは益々感づき始めていたのだった……。
「はあ、ナムジン様はどうしてああなんだべか……」
「んだんだ、……母上様のパル様が生きておられた時にはまだ
マシだっただ……、魔物退治に行きたがらねえなんてどうか
してるだよ……」
外の方から先程場を外した親父達の話声が聞こえる。だが、ナムジンは
構わず4人に話を始めた。やはり顔つきが全く違うなあと、ジャミルは
今のナムジンから不思議な感覚を益々感じ始めたんである。
「さて、ジャミルさん、あなたは父上に頼まれてボクの魔物退治の
サポートに来たと言いましたね?……お聞きしても宜しいでしょうか、
あなたは本当にあのモンスターが集落を襲いに来たとお思いでしょうか、
して、皆は魔物が父上を狙っていると言っていますが、あなたの目にも
そう見えたのでしょうか……」
ナムジンの問い。ジャミルは一瞬はっとするが、直ぐに冷静になり
ナムジンに返事を返す。
「……あのサル、俺にも何となく……、敵意は感じなかったなあ、
……と、思うけど」
「そうですか……、やはりあなたは話の分かる方らしい、ですが、
どっちみちボクは魔物退治になど行く気はありませんので手伝いは
必要ありません、他にもやる事がボクにはありますのでこれにて失礼……」
「え?あ、ちょ、待てよっ、おーいっ!」
4人は慌ててパオの外に飛び出す。だが、もうナムジンの姿は何処にも
見当たらなかった。
「は、はええ~……」
「もういなくなってるわ……」
(ちょ、困るじゃん!アイツがいないと果実探し手伝って貰えないヨ!
早く捕まえよーよ!)
「やっぱりすごいや、ナムジンさん……、逃走コンクールに出たら問答無用で
一着だよね……」
「そんな場合じゃないだろっ!あの、すみません、今、ナムジンさんが
パオの外に出て行ってしまったと思うんですが……」
アルベルトは目を輝かせているダウドの頭を抑え付け、ナムジンが
パオから出て来るのを目撃していたであろう、外で待っていた
おっさん連中に急いで話を聞いてみる。
「それがだなあ~……」
「……何ですと?」
4人はおっさん達に話を聞き、騒然。どうやらナムジンは此処から
更に北にある端に向かって凄い速さで一人で行ってしまったと
言う事。其処に集落に現れたモンスターが潜んでいるかも
知れないとの事……。だが、あれ程怯えていたナムジンが突然
動き出した事に、おっさん達も信じられない様子でいる……。
「あの臆病な若様が……、まさか、まさかなあ~……、魔物退治に……、
いや、んな事がある訳ねえだべ……」
「だんだん!」
「おじちゃん、言葉が逆さまなんだモン、んだんだモン!」
「モンちゃん、いいのよっ、ね、ねえ、もしも本当に一人で
行っちゃったのなら、大変よ、私達も急いで追い掛けましょ!」
「ああ、けど、マジでどうしたんだよ、あのヘタレ……、まさか……」
其処まで呟いてジャミルは考えてみる。先程のパオ内でのあの
ナムジンの落ち着いた態度。……もしかしたら、ナムジンは本当は……。
「ジャミルううーっ!アイシャの言う通りだよお、は、早くナムジンさんを
追い掛けようよおー!ナムジンさん、き、きっと、皆が追い詰めるから……、
切れて暴走しちゃったんだよおおーー!!」
「……分かったから鼻水飛ばすなってんだよっ!ま、とにかく今は俺らも
ナムジンの後を追う事が先決だ、行こうぜ!」
ジャミルの言葉に頷く仲間達。結局、ダウドに邪魔された為、それ以上
考えを纏める事は出来なかったが、とにかく自分で言った通り、今は
ナムジンを追い掛けて確かめる事が先である。4人も再び草原へ出て、
北の端、ダダマルダ山と言う場所へナムジンの後を追う。そして、
端近くまで訪れた際、信じられない光景を目撃する事に……。
「あ、あれって、……マジ?」
「!!うっそ、あれ、ナムジンのボーヤじゃネ!?あいつ、魔物を
見ただけで怯えるって言ってたよネ?なのに、一人で本当にこんな
とこまで来るとかマジアヤシー!みんな、急いでアイツをおいかけ
よーよっ!」
サンディも思わずジャミルの中から飛び出す。間違いない、洞窟なのか、
洞穴なのか、良く分からない場所の中に入っていった人物。ヘタレの
ナムジンだった……。
「ナ、ナムジンさああ~んっ!うう、リミットブレイクしちゃったんだねっ、
い、今お手伝いに行くよおーー!!」
「……アホっ!そうじゃねえんだよっ!とにかく俺らも行くぞっ!」
「何がそうじゃないのさあーーっ!」
「ダウドっ、いいからっ!」
アルベルトは興奮しているダウドの手を急いで引っ張り連れて行く。
その後をアイシャとモンが追い掛けて付いて行った。そして、
ナムジンの後を追った4人は更に衝撃の光景を目撃する事に……。
「……何だか、奥の方から話し声が聞こえるわ……」
「キャー!ナムジンさあーーんっ!」
「だから静かにしてろってのっ!ヘタレっ!!」
「何だよおおーーっ!……うっ!?」
「秘技、ぽんちん突きモン!眠りのツボを押したモン、これで暫く
ダウドは寝てるモン!」
モンはいつもの如く、ダウドの頭に飛び乗ったかと思いきや、
キャンディーの棒で頭をちんぽこちんぽこリズミカルに叩いた。
すると、ダウドは眠ってしまったのである。それはそれでいいが、
ジャミルはモンが益々分からなくなって来た。
「……ジャミル、とにかくこの間に……、急ごう……」
「あ、ああ……」
アルベルトの言葉にジャミルは頷き、ダウドを負ぶうと更に奥へと進む。
お墓の様な石碑が建っており、其処の前にナムジンがいた。ナムジンは何と、
あのマンドリルのモンスターと話をしているんである。ジャミル達はこっそり
物陰に隠れ、暫く様子を覗う事に……。
「あの様なやり方では逆にお前がシャルマナに殺されてしまうぞ……、
お前が死んでは母上もあの世で悲しむ、……命を粗末にしては駄目だ、
いいな……?今は此処で大人しく母上の墓を守っていてくれ……、
分かったかい?」
「……グギギギ……」
「えっ?えっ?ええっ!?な、何がどうなってるのっ!?」
「あのお猿さん、やっぱり悪いモンスターじゃないんだモン……、
モンとおんなじ、ナムジンは人間のお友だちだったんだモン?」
「アイシャ、モンも……、もう少し静かに……」
ブビッ、ブーーッ!!
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1 作家名:流れ者



