zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1
その顔は赤い。……相変わらずのどうしようもないツンデレだった。
だが、そんなジャミルを見て、アルベルトもアイシャもクスクス
笑うのだった。
「な、何だよ、オメーら、何笑ってんだよ……」
「ふふっ、何でもないわよう、ね、ダウド、ジャミルの言う通りよ、
まずは仲良しになりたいって、ちゃんとダウドの素直な気持ちを
伝えるの、アタックよ!」
「アイシャ、……オイラとナムジンさん、本当に友達になれるかなあ?」
「うん、きっとね!私も応援するわ!」
「あ、あはは!そうだよねえ~、オイラね、ナムジンさんがヘタレとか
関係なく、一目見た時から本当に友達になりたかったんだ、えへへ~、
よお~し、早くシャルマナをやっつけちゃおーっ!」
「モンーっ!」
「……たく、単純な奴、嫌、分かってるけどな……」
(んとにっ、あんた達、違う様でさあ~、どっか似てんのよネ~!
マジ呆れるぐらいっ!)
「……ガングロ、うるちゃいっ!……あ……」
「う、うるちゃい……、プッ……」
ジャミルはアイシャに励まされモンと一緒にえいえいおーするヘタレを
見て呆れるが、どうにか安心する。そして錯乱しているジャミ公に
アルベルトも吹いた。
「……良かった、さあ、ダウドも元気を取り戻した処で、僕らも
急がなくちゃね、ナムジンさんは狩人のパオの方に戻ったのかな……」
「だな、よしっ、俺らも戻る……」
……ああ、このままでは……、ナムジンが……ナムジンがシャルマナに
殺されてしまう……
「……!?あ……」
と、後ろから聞こえて来た声にジャミルは振り返る。其処にいたのは
石碑の前に浮かぶ、虚ろな表情をした美しい女性だった。
「ジャミル、どうしたのさ、まさか……、又何か見えてます……?
ねえったらあーーっ!」
「アイシャ、モン、最近体操覚えたんだモン、コマネちんちん体操モン!」
「……モンちゃんっ!いい加減にしなさいっ!!本当に何処で
そーゆーの覚えてくるのっ!!」
「♪ちんちちんのぽんぽんぽ~ん!!」
(……きゃ、きゃーはははっ!デブ座布団、も、もう徳アホのスキルが
ぜってーマックス行くって!も~~っ!!)
「こらーーっ!!モンちゃん!!待ちなさーーいっ!!」
ダウドは再びヘタレモード突入、アイシャは又ふざけだしたモンに
説教をしようと追い掛けて行き、アルベルトは一人、冷や汗を掻く。
しかし、ジャミルは仲間達の方に構わず、突然出現した虚ろな表情の
女性の方に話し掛けた。
「あんた、もしかして死んだナムジンの母ちゃんかい?」
「はい……、不思議な旅人さん、あなたには私の姿が見えるのですね、
ああ、何と言う事……」
「……ひええーーっ!!?」
「ダウドっ!ジャミル、もしかして其処に亡くなったナムジンの
お母様がいるのかい?だったら話を聞いてあげて欲しい、僕らは
此処で待ってるよ!」
「ああ、らしいな……、やっぱりこの石碑はナムジンの母ちゃんの
お墓だったんだな……」
ジャミルはアルベルトに頷くと現れたナムジンの母親の幽霊と話を
聞こうと改めて向き合うのだった。
「……私の名前はパル、生前はナムジンの母親であり、勇敢なる族長
ラボルチュの妻でした……、ナムジン、愛しき我が子、もう一度あなたを
この手で抱き締めてあげられたなら……」
ナムジンの母、パルはまるで生前の頃を思い出すかの様に涙を零す。
そして、又静かにジャミルに向け言葉を伝え始める。
「……旅人様、お願いがあるのです、どうか聞いて貰えますか……?」
「ああ、俺らで出来る事なら何でもするよ……」
「……此処から遥か東にある、カズチィチィ山の麓に、モンスターに
滅ぼされたカズチャ村と言う廃墟があります、その村にあるアバキ草と
言う草をナムジンに渡して頂けないでしょうか、あの子ならきっと
上手く使ってくれる筈……、どうかナムジンを助けてあげて
下さい……」
「アバキ草か、分かった、でもそれは一体何の……、あっ……」
ジャミルがそう尋ねようとするが、だが、ナムジンの母親は姿を
消してしまっていた。とにかく自分達もまた此処から移動して
其処に行って見るしかない。ジャミルは他の仲間達にたった今
ナムジンの母親から聞いた事、託された事を説明した。
「分かった、じゃあその村にすぐ行ってみよう!」
「カズチャ村ねっ!」
「チィチィパッパのカズチャン村モン!」
(きゃーはははっ!チィチィパッパはアンタのアタマでしょっ!)
「シャア~……」
「……どうせそう言うと思った、けど、チィチィパッパは無理が
あんだろ、まあいいや、ダウドもいいな?すぐ東に行くぞ!
ナムジンにアバキ草とやらを届けなくちゃなんねえからな」
「あ、うん、分かったよお、行こう……」
ジャミルはボケのモンに呆れつつもダウドの方にも同意を求める。
ダウドも返事を返し、4人組は直ぐに東の廃墟、カズチャ村へと
移動を開始。処が、廃墟らしき村に漸く辿り着く頃には既に日が
暮れ掛かってしまっていた。おまけに村の入り口は頑なに硬い門で
閉ざされており、盗賊のジャミルが開けようとしても、盗賊の鍵を
使ってもみても門の入り口は開かなかったのである。
「どうしよう、ナムジンさん、まだ狩人のパオにいてくれるかなあ……、
村の方に戻っちゃったら……」
「とにかく間に合う様に信じるしかないよ、ジャミル、やっぱり鍵は
君でも無理かい……?」
「俺でも無理だなあ、……よし、蹴ってみるか……」
「モンのおならで門が開くかもしれないモン!」
「……開かないわよっ!」
「……大丈夫です、此処は私が道を開きます……」
バカ、暴挙行為に出ようとしたジャミ公とモンだが、後ろから又
声を掛けられる。ナムジンの母親、パルの幽霊だった。4人の
手助けをする為、この場にも姿を現したのだった。
「閉ざされしカズチャの扉よ……、さあ開きなさい!」
「おおっ、扉が開いたぞっ!?」
「凄いわ、どうなってるの……?」
「……ま、まさかまた~……」
「ご名答さ、ダウド、ナムジンの母ちゃんがな、又来てくれて力を
貸してくれたのさ……」
「そうモン、ダウドの側に……来てるんだモン~……」
「うひょええーーっ!?」
「……いい加減に慣れなよ、君もさ……」
パルの言葉に扉が反応し重い音を立てて開く。後ろで4人を
見守っているパルは静かに優しく微笑み、頷くと自分の姿が
唯一見えているジャミルのみに言葉を掛けた。
「お願いします、旅の方、アバキ草を手に入れ、どうかナムジンに……、
そうすれば、シャルマナと言う光る果実を食らった者の正体を暴く
事が出来る筈です……」
「そうか、女神の果実はやっぱり……、あんにゃろう……」
黄金の果実は既にシャルマナに食われていた事実もパルの証言により
知る事が出来た。今は一刻も早く、アバキ草を見つけナムジンに
渡す事が大事である。パルは消える直前にジャミルに、ナムジン、
夫、そして草原の民の事をどうか……、と、何度も何度もお願いし、
再び姿を消したのだった。
「女神の果実はシャルマナに……、これは益々急がなくてはならないね、
先に進もう!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1 作家名:流れ者



