zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1
父上とシャルマナが見守っていてくれたから……、シャルマナ、
今までボクを見守ってくれていて本当に有り難う……」
「ホホホ!良くやったぞえ~!ナムジン様、お主は本当に
可愛いのう~!もう魔物に怯えなくてもよいのじゃぞ、ささ、
もっとこっちにちこうよれよれ!わらわがたっぷりそなたを
可愛がってやるぞよ~!もう泣かなくてもよいのじゃぞ~!!」
「グギ……」
「!?こ、これはっ!!」
シャルマナはナムジンに近くに寄る様に手招きをする。だが、
倒した筈のポギーの身体がピクリと動いた。そして……。
「ああっ、父上!申し訳ありません!まだ魔物は生きています!
どうやら急所を外してしまった様です!い、一体どうすれば……」
「……グギーーっ!!」
「!!こ、こいつめっ、まだ生きていたのかっ!!ナムジンっ,
今こそお前の手で完全に魔物に止めを刺すんだっ!そいつは
オレの命を狙った不届き者だからな!!」
ラボルチュは息子に命令する。倒れていたポギーは起き上がり、
くるりと回転ジャンプする。だが、獲物を狙う鋭いその視線の
相手は、ラボルチュ……、ではなく……。
「グギ、グギギ……」
「分りました……、今だっ!ポギーっ!!あいつに飛び掛かれええーーっ!!」
「グギャアーーっ!!」
遂にナムジンの作戦が決行され、シャルマナに反旗を翻したのである。
ナムジンは抱えていた刀を握り直し、ポギーはシャルマナへと飛び掛かり、
油断していたシャルマナを転倒させる。そしてナムジンは倒れている
シャルマナへと刀を思い切り振り下ろす。
「……な、何をするのじゃあーーっ!?うああーーっ!!」
「……ナムジンっ!お前、血迷ったのかああーーっ!!」
ラボルチュが怒鳴り、奇声を上げるがナムジンは構わずそのまま
更に隠していたアバキ汁を躊躇せずシャルマナへとぶっ掛けたので
ある……。
「お前の悪事もこれまでだっ!さあ、シャルマナっ!正体を
見せてみろっ!!」
「……く、な、何をなさるのじゃあ~……、……あああーーーっ!!」
「ホント、スゲえな、ナムジン……、大したモンだよ……」
「うんっ!……ナムジンさん、かっこいいよお~、だって未来の
族長さんだもの、にへえ~……」
(マジであのボーヤ、やるじゃん!)
「モ、モン~……」
ナムジンを見守る4人。だが、側で見守っている村人達は事が
分からず、ナムジンの行為が理解出来ず、アバキ汁を掛けられ
苦しんでいるシャルマナの姿に戸惑いを隠せず騒ぎ出す……。
アイシャもモンの様子がおかしいのに気づく。
「モンちゃん、どうかしたの?……大丈夫よ……」
「アイシャ、何だか……、モン、怖い予感がするんだモン……」
「モンちゃん……」
モンは震えながらアイシャに抱き付く。……いつもお調子者のモンが
これ程怯えている姿を見るのはアイシャも何となく不安になって
くるのだった……。
「……ナ、ナムジン様……、一体どうしちまっただよ……」
「皆さん、落ち着いて下さい、此処はどうかナムジンさんを信じて
見守ってあげて下さい……」
アルベルトも混乱しだした村人達を宥める。その間にもナムジンも……。
「落ち着くのだ、カルバドの民よ!この女は人間ではない!
今こそ見届けよ!お前達が信じていたこの者の正体を!!」
「……く、くそ……、からだが……、わ、わらわのからだ……、
が……、くずれ……、……アアアアーーーっ!!」
シャルマナの身体から、もの凄い勢いで煙が放出される。美しい
女性の容姿だった彼女の姿は溶けて崩れ始め、……醜い巨大な怪物、
呪玄師シャルマナへと変貌を遂げたのだった……。その姿はまるで、
膨張し肥えたテンツクの様であった……。
「父上、こいつは人間に化けて妖しい術で皆を誑かし、洗脳させ、
行く行くはこの草原を乗っ取ろうとしていたのです……、もう少し
遅ければ父上も完全にこの魔物の手に陥る
処でした……」
「う……、嘘だ……、シャルマナ……、オレを騙したのか……?
嘘だろ?嘘と言ってくれ……」
「……父上!あなたももう目を背けないで!……例えもう姿は
見えなくても……、あなたの事を本当にずっと愛していて
くれたのは誰なのか……、今こそ思い出して下さい……」
「ナムジン……、オ、オレは……、パ、パ……、ル……、
うう……」
「おのれ……、ナ、ナムジンィイイーーンっ!……よ、よくも
オオオオーーーっ!!若造があーーっ!!やりおったのうーーっ!!」
「ヘッ、やっと正体を現しやがったなっ!」
ジャミルは鼻を擦り、仲間達も身構える。だが、遂に本性を
現したシャルマナにカルバドの民は怯えて錯乱し、パニックに……。
そんな村人に対し、力強くナムジンは声を張り上げるのだった。
カルバドの未来を継ぐ将来の族長として……。
「民よ、怯えるな!今こそ皆で力を併せカルバドの集落を守る時!
私に力を貸して欲しい、さあ、我に続けーーっ!」
ナムジンは刀を光らせ、勇ましく、天に刀を突き刺す仕草を取る。
だが……。
「うわあーーっ!シャルマナ様が化物になっちまっただあーーっ!!」
「……もうこの集落はオシマイダヨーンーーっ!!」
「ホエホエー!逃げるが勝ちダスーー!!」
「……お、おいっ!お前らーーっ!!」
見ていた4人もこの無様な光景を見て唖然とする……。村人達は皆、
揃って広場から逃げ出す。思わずジャミルも村人に声を張り上げるが、
パニックの住人は皆、自分が一番、自分が大事でまるで聞いていない。
民達だけではない、本来なら族長を守る立場の近衛兵達までもが……。
民は誰1人としてナムジンに続こうとする者はおらず……。
「……何なんだよっ!あいつらはっ!」
「そうよ、こんなのってないわよ……」
「ブブーのブーモン!シャアーーっ!!」
「酷いよ……、皆、あれだけナムジンさんの事、腰抜けだとか
言ってたのに……、……本当に意気地が無いのは誰なのさ……、
ううっ……」
「ダウド、君の気持ちは分かるよ……、こうなったらもう躊躇ってる
暇はないよ、ジャミル、皆!」
ジャミルはいらついた様に地面を蹴り、ダウドは再び落ち込み出す。
その身体は悲しみと怒りで震えていた……。ジャミルもこれで
ナムジンとカルバドの民の心が一つになり、皆で力を併せ、危機を
乗り越えてくれると信じていた。その思いは早くも崩れ去り、醜い
場面となった……。だが、アルベルトの言葉にダウドも漸く前を向き、
ナムジンと共にシャルマナと戦う決意を固めた……。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1 作家名:流れ者



