zoku勇者 ドラクエⅨ編24 ヘタレとヘタレ若様・2
「オイラね、最初は……、ナムジンさんに親近感を持ったんだ、凄く
失礼な言い方してごめんなさいなんだけど、オイラと同じヘタレの
友達が出来るとかさ……、ヨコシマで本当にごめんね、君が凄く
真面目で一生懸命なんだって、分かった時は、オイラなんかと
やっぱり釣り合い取れないなあって、でも、オイラ、本当に
ナムジンさんと友達になりたかったんだ……」
「ダウドさん……」
「……もう、大体分かって貰えたと思うんだけど、オイラこの通り、
底抜けの性悪ヘタレなんだよ……、いざとなると怖くなっていつも
逃げ出したくなっちゃう事も多いんだよお、でも、それが結局
出来ないのは……、ジャミルのお陰なんだ……」
「ジャミルさんの?」
「ジャミルはいつも怯えてるオイラの背中を押してくれてる、
ジャミルはね、例えどんなに、辛くてもオイラ達の前では絶対に
弱音は吐いたりしないからね、それが返って時々心配になっちゃう
事もあるんだけど、……頑固ともいうのかな……、そんなジャミルの
姿を見ていると、絶対に逃げたりなんか出来なくなっちゃうんだ……」
「そうだね、彼は本当に凄いね……、強い人だ……」
「うん……、普段はアホだけどね……、決める時はちゃんと決めるんだから、
嫌らしい性格だよね……」
「ふふっ」
ダウドは膝を抱えたまま、星空を見上げながらナムジンに言葉を告げる。
段々と緊張がほぐれて来た様だった。そんなダウドの顔を見ながら
ナムジンも笑みを浮かべそのまま黙ってダウドの話を聞いていたが……。
「ダウドさん、僕は決して強くなんかない、今だって弱虫なのは本当だよ……、
いつだって不安で怖くなる……」
「ナムジン……さん……」
「何れは長の座を引き継がなきゃならないって、……分かってる事だけど、
凄く重荷だった、虚けのフリをしていたのは本当だけど、このままずっと
虚けのままでいたら……、もしかしたら逃げてしまえるんではないかって……、
そう思っていたのは本当だよ……」
ナムジンは再び暗い夜空を見上げながら言葉を溢す。ダウドにはそんな彼の
気持ちが痛い程分かった。誰にだって嫌な事から逃げ出したい時は山程ある。
真面目な彼は誰にも言えず、いつも堪えていたんだと。……たった1人で……。
いつかは国の立場を背負って立つ重圧に……。
「やっぱり君は強いよお、誰が何と言ったって、オイラには分かるよお、
だってさ、オイラはあのアホのジャミルの本性が充分分かってんだから!
うん、だから……、ナムジンさんは大丈夫!君はこのカルバドの集落の
素晴らしい長になれるよお!人を見抜く目は確かなんだから!」
「ダウドさん、本当に……、そう思ってくれるのかい?」
「勿論っ!えへへ~!」
「有り難う、ダウドさん、何処までやれるか分からないけど、ボク、
頑張ってみるよ、立派に父上の後を引き継げる様に……」
「うん、オイラも頑張るよお……」
ダウドは笑ってナムジンと硬い握手を交わす。そして、2人は約束をする。
いつかまた、必ず会おうと……。星空の下、誓いの約束をした。
「……はあ、星空がこんなに綺麗じゃったとはのう、わらわは今、こんなに
ゆったりと過ごす事が出来て幸せじゃ……」
「グギ~……」
「モンモン!」
「何かアンタラ、お年寄り臭いんですケド……」
モンスターカルテット?達も、大草原で星空の下、まったりと寛いでいた。
特に、テンツクは……、こんなにゆっくりした時間を過ごすのは始めて
だった様である。
「そういえば、お主らは明日、草原を出るんじゃの、世話になったのう、
寂しくなるの……」
「グギギ~……」
「また、絶対遊びに来るモン、えーと、モン直伝の太鼓叩きを教えるモン!
こうやって、キャンディーの棒を持って叩くんだモン!もしも寂しくなったら、
太鼓を叩いて元気を出すんだモン!」
「ほうほう?太鼓かえ?お主は色んな所を旅しているだけあって知識も
豊富じゃのう……」
「♪グギっ!」
「まずは基本、ちんぽこ叩きモン!ちーんちーん、ぽーこぽこ!」
「♪ちーん、ちーん、ぽこ、ぽこ、グーン、ちんぽこグギギっ!」
「では、わらわも、こうかえ?ちーん、ちーん、ぽーこぽこと……、ほほ、
慣れてくると楽しいぞえー!ほほほー!」
「色んな物を太鼓代わりにして楽しく演奏するモン!」
「……もうシラねえわよっ!アタシゃ!てか、ポギー、言葉喋ってるし!」
恐らく、ナムジンが見たら気絶するであろう。初めて覚えた言葉が……。
何はともあれ、ジャミル達も、モンもサンディもカルバドでの最後の
夜を過ごす。そして、翌朝、4人はナムジンやラボルチュ、大勢の
村人達に見送られながらカルバドを後にする。また、必ず遊びに
訪れると約束をして。
「さようならー!元気でのうー!」
「グギギギー!」
テンツクもポギーも、崖の上からジャミル達が乗った船を何時までも
見送っていた……。
「……等々行ってしまいましたね、ジャミルさん達……」
「ああ、急に火が消えた様に静かになっちまいやがったなあ~……、
最初は何だあのやかましい糞ガキの集団はと思ったけどな……」
ジャミル達が旅立った後、ナムジンとラボルチュはある場所に
訪れていた。ナムジンの母、ラボルチュの妻、パルが眠る
ほこらの墓地である。
「悪かったなあ、パル、暫く来てもやれねえで……、でも、墓は
凄く綺麗だな、お前がいつも手入れしていてくれたんだな、有り難うな……」
「いえ……、掃除や細かい事は好きですし……、でも、父上……、
本当にいいんですか?」
「ん?」
「ポギーの事です、それからテンツクも……、これからは自由に村に
出入りしても構わないって……」
「ああ、お前の大事な友達なんだろ、お前は本当に凄い奴だ、
モンスターさえも懐いちまうんだからな、流石未来のカルバドの
長!オレの息子だっ!パル、もう何も心配要らねえよ、この
カルバドは未来永劫安泰だっ!な、だから……、安心して今度こそ
ゆっくり眠ってくれよ……」
「母上……、ボク、まずは出来る事から父に教わって精一杯頑張ろうと
思います、カルバドの未来の為、皆が幸せに暮らせる様に……、どうか
見守っていて下さい……」
親子はパルが眠る墓の前に花を手向け、静かに手を合せ祈りを捧げた。
「さあ、戻るか、そうだ、久しぶりにこれから一緒に狩りにでも行くか?」
「はい!是非!」
「よし!いい返事だ、じゃあな、パル、又来るからな……」
ラボルチュは息子の肩を叩きながら、ナムジンと共にほこらを後にする。
そんな親子を優しく後ろからそっと静かに見つめている者が……。
……良かった、本当に……、これで私も安心して眠りにつく事が出来ます、
短い間でしたけれど、あなた達と家族になれた事は本当に私の誇り……、
幸せをありがとう……
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編24 ヘタレとヘタレ若様・2 作家名:流れ者



