zoku勇者 ドラクエⅨ編24 ヘタレとヘタレ若様・2
テンツクから全ての事情を聞く事に……。実はテンツクにも
こうなってしまった悲しい訳があったのだった……。
「……わらわはいつも独りぼっちじゃった、たった1匹、広い草原で
いつも……、遊牧民共に怯えて暮らす自分が惨めで嫌だったのじゃ、
そんな時、空から降ってきた黄金の果実を食べ、願ったのじゃ、誰にも
負けない強い力が欲しいと!壮大な魔力を手に入れたわらわは自分を
抑える事が出来なくなってしまったのじゃ、じゃが、もうこれで
終わりじゃ……、本当にもう戦う気などない、どうか許しておくれ……、
……?」
「もう、よい……」
「ふぇ……?」
ナムジンの声に俯いていたテンツクは静かに顔を上げた。
「お前のした事は決して許される事ではない、だが、お前にこれ以上
悪意がないと分かった以上、ボクも何も手出しはしない、何処へでも行け、
好きにするが良い……」
「ナムジン、お前……」
ナムジンはジャミル達の方を向いて静かに頷く。これ以上何の抵抗も
出来ない者に決して手を下したりはしない。……ナムジンは本当に
未来の長として心も立派に成長を遂げていたのだった。
「ゆ、許してくれるのかえ?……わらわを……」
「ああ、その代わり、条件がある、ボクの一番の友達、このポギーと
友達になってやってくれないか?そうすれば、もうお前も草原で
独りぼっちではないだろう?これからは、もう怯えなくていいんだ、
ポギー、それでいいかい?」
「グギー!」
「ああ、さあ、ポギー、行ってやってくれ……」
ポギーは喜んでテンツクの傍に寄ると尻尾を振り振り、テンツクの頭に
ちょこんと片手を添えるのだった。友達になろう、の印である。
「グギっ!」
「おお、おお、何とお優しい……、心の広いお方じゃ……、勿論じゃとも、
こ、こんなわらわで良かったら……」
「よう、俺らも良ければダチになるぜ?」
「ええ、お友達になりましょっ!」
「うん、悲しい戦は終わったんだ、もう君は独りじゃないんだよ……」
「えへへ~!宜しくう~……」
「モンもお友達になるモン!」
「仕方ないなあ~、ま、アタシもダチになってあげていいよっ!」
「おお、おお、な、何と……、今まで醜いモンスターとして生きてきて……、
わらわはこんなに嬉しかった事はないぞえ、わらわはそなたらにあんな
酷い事をしたと言うに……、ありがとう、ありがとう……」
テンツクはジャミル達が差し出した手を握り返す。これまで怯えていた
人間達に、初めてテンツクが心を開いた瞬間であった。
「さ、まずは親睦式だ、モン、お前も行ってこい、モンスター同士な……、
サンディもな……」
「モンーっ!一緒に遊ぶモン!」
モンはまた自分と同じモンスターの友達が出来た事が嬉しくて、
宙をくるくる飛び回るのだった。
「ちょっとっ!何でアタシもモンスター扱いなのよっ!ジャミ公、
覚えてなさいよネっ!」
「知りませ~ん!」
夕日の中、4匹のモンスター?は仲良く並んで2匹は空を飛び、
2匹は歩いて行った。テンツクは、何度も何度も4人の方を
振り返りながら……。
「……だからっ、アタシはモンスターじゃねえってのっ!」
「はあ、うるせーのもいなくなったし、これで漸く少しは休ませて
貰えそうかなあ~、ふわあ~……」
此処でのお役目も無事に終わり、気が抜けてしまったジャミルは
大欠伸をする。他の3人もつい、ジャミルに釣られ、大きな口を
開けるのだった……。
「よしっ、今夜は宴だあーっ!準備するだよーーっ!!」
「でも、その前に……、若様達を胴上げだあーーっ!!」
「え、ええ?ちょ、ちょ……、うわあーーっ!!」
「草原を救って下さったナムジン様、そして、愉快な英雄さん達を
称えるどーっ!」
「それー、わーっしょい、わーっしょい!!」
「ゆ、愉快な英雄って……、おーいっ!やめえれえーーっ!!おおーいっ!!」
「わ、私、重いですからっ!きゃーっ!?」
「……こ、この手の騒ぎになると……、どうして僕……、そこは、つ、
掴まないで下さいーーっ!!あああーーっ!?」
「ん~、な~んか、オイラ……、今凄い幸せえ~……、このまま
天国まで……って、……飛んで行きたくないーーっ!!」
「あはは、あははははっ!」
ジャミル達4人組はナムジンと共に盛大に宙へと持ち上げられる……。
4人組はパニくっていたが、ナムジンは心から嬉しそうだった。
そんな息子達の姿を見て、ラボルチュも心からの笑みを浮かべた。
「……何年ぶりかな、あいつのあんな嬉しそうな顔を見るのはさ、
なあ、パルよ……」
……その夜。英雄達を称え、村では壮大な宴が行なわれた。村人が
面白がってダウドに酒をどんどん飲ませてしまい、大変な事になっていた。
普段糞真面目なアルベルトもうっかり酒が入ると酒乱モードになるが、
ダウドも癖が悪いんである。どっちもどっちだった。
「も~、らいへんなんれしゅよう~、ジャミルはね、もう~、オイラが
いなけりゃどうにもならへん、ならへんなんれしゅう~、……へ、
へひっへっし!きーひひひ!」
「やだもう、ダウドったら……、恥ずかしいんだから……、あ、私、
お酒注ぎまーす!」
「……お~い、ジャジャ馬っ!オメー、そう言ってウロチョロウロチョロ
すんなよっ!」
「うるさいのっ!ジャミルのバカっ!べえ~だっ!」
アイシャはジャミルにアカンベーをすると、酒瓶を持ってお酌にと
フラフラ移動し始めた。
「ははは、はははは!」
「全くもう、こまりましゅよねえ~……」
「はあ~、全くもう、一番恥ずかしいのは僕だよ……」
「……るせーこの野郎!腹黒もっ!言いてーこと言いやがってからにっ!
さっきからオメーもうるせーんだよっ、このヘタレめっ!後で覚えてろよっ!」
「やらぽ~ん、もう忘れたぴょ~ん!へっひひっひ!……あれえ~?
ナムジンさん、ナムジンさんがいませんよう~?」
「おう、ナムジンなら少し涼んでくるって言ってたぞ、なあ、
兄ちゃん、良かったら少しアイツの話し相手にやってくれねえか?
アンタと話してみてえって言ってたんでよ……」
「……へひっ!?オ、オイラとお!?」
「ああ、村の外には出ねえ筈だから、そこら辺にいるだろう、
見つけてやってくれ……」
ラボルチュの言葉に、暴けていたダウドの酔いが少し覚めた。
急いで宴会場広場を抜けてナムジンの姿を探した。
「あ、いた、ナムジンさん……」
「やあ、ダウドさん、来てくれたんですね?」
ナムジンは宴会場広場から少し離れた場所にある、置き石がある
場所に腰掛けていた。
「此処、凄く眺めが良くてお気に入りの場所なんです、星が凄く良く
見えるんですよ……」
「本当だ……」
隣に座る様に勧められ、ダウドも隣の置き石に腰掛け、星を眺める。
ダウドもナムジンとちゃんと話したい事があった筈なのだが……、
いざこうやって二人きりになってみると言葉が全然出て来ず
ダウドは困る。横目でナムジンの顔をチラチラ見ながら……。
「でも、ずるいよお、ナムジンさんてば……、あんなに凄く
かっこいいなんてさ……」
「えっ?」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編24 ヘタレとヘタレ若様・2 作家名:流れ者



