①五条悟が苦悩しながらも青春を謳歌し大団円を迎える話:黎明前
●13
「りこちゃん! またあとでね!」
「悟の近くにいるのが一番安全よ」
理子さんを悟に預けて私たちは走り出す。
「おい! お前らも一緒に──」
「敵がどこにいるかもわからない状態なのだから、なるべく目立たないように高専まで移動して……理子さんのお友達たちも心配だし、私たちは学校内の様子を見回りつつ一度傑と合流するわ」
せいらが微笑み二人に手を振っていた。
そして学校内を走っていると、
「お嬢ちゃんたち、今は授業中じゃないのかい?」
急に話しかけられた。紙袋を頭に被った大男。
「そうですね。授業中です。
学校は関係者以外立ち入り禁止ですが、あなたは?」
せいらと頷き合い距離を取る。
「やれやれ、君らはどうやらハズレかな」
足元からどろどろと身体が崩れ落ち、地面に消えていった。
「式神?」
「式神とは違う感じがしたわ──」
──少し離れたところから大きな爆発音がする。
方角から推測するに、誰が爆発を起こしたか推測するのは容易かった。
「悟……」
額に指先をあてて「はぁ」とため息をつく。
「せいら、あれだけ目立っているなら陽動の意味もないわ。悟たちと再合流しましょう」
「りょうかーい!」
音のした方に向かう途中傑と合流して、悟のいる場所へ向かうと──黒井さんが攫われたことがわかった。
黒井さんが攫われて、理子さんの気持ちをちゃんと聞く時間も作って、一度は私が理子さんのふりをする案も出たけど、結局はみんなで助けに向かった。
そして今──
「「めんそーれー」」
煌びやかな海と、白い砂浜を駆け回る理子さんと悟の姿が。
「そよかも着替えてきたら?」
「男性は着替えるのが楽でいいわね。更衣室は今せいらが使っているの」
「そうだね。あの更衣室は確かに狭い」
なんで使ってもいないのに更衣室の狭さを知ってるのかと私が睨むと、傑は目を逸らしながら乾いた笑みを浮かべた。
「すぐるー! みてみてー!」
更衣室のドアを開けてせいらが飛び出てくる。
「「!?」」
悟と傑の視線がせいらに注がれた。
「せいら、ちゃんとラッシュガードを着ないと」
せいらに近付いてラッシュガードを羽織らせ、チャックを上げる。
「おーい。そよかー。空気よめよー」
「空気をよめ? あなた達の好奇の目からせいらを守らなければならないという空気を読んだわ」
悟はブーイングを続けていた。
「そよかもせっかくだし着替えなよ。こんなきれいな海の近くに来たのはじめてなんだからさ!」
せいらに言われて、
「そうね。呪霊の気配もないし着替えてくる」
買ったばかりの水着の入った袋を手に、更衣室へ向かった。
後編につづく
作品名:①五条悟が苦悩しながらも青春を謳歌し大団円を迎える話:黎明前 作家名:ますだ



