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②五条悟が苦悩しながらも青春を謳歌し大団円を迎える話:黎明後

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●エピローグ

 祓う、取り込む、その繰り返し

 祓う、取り込む……皆は知らない呪霊の味

 吐瀉物を処理した雑巾を丸飲みしている様な……
 祓う、取り込む──

 現場近くに到着すると、せいらとそよかが交戦中と補助監督から報告を受けた。長く時間がかかっているらしい──苦戦しているのか? いてもたってもいられず走って現場に向かう。
「せいら! そよか!」
 あまりの様子に私は言葉を失った。
「?」
 毛むくじゃらの大きな呪霊の背に乗り、楽しそうに笑っているせいら。そよかは計測器を使って付近の調査を熱心にしているようだ。
「?」
「あ、すぐるだー! おーい!」
 呪霊が犬のような鳴き声を上げる。
「これは、一体……君たちは何をしているんだ? その呪霊が元凶ならさっさと祓えはいいじゃないか」
「なんで?」
「なんでって、呪霊は他のところにもいるしこんなところで時間をかけていても──」
「傑、私たちは少しでも呪霊を減らしたいの。
──ここになぜ呪霊が発生したのが、原因を突き止めて解決案を提示して呪霊を納得させることが出来てこそ、ようやく意味があるのよ。ほら、これをご覧なさい」
 この場所での過去の事故発生件数、事故の種類、具体的な改善案……なんだこれは……。
「どうかな? これで大丈夫そう?」
 毛むくじゃらの呪霊はわふわふと嬉しそうにしていた。
「大丈夫そうだね! 良かったー! よーし、じゃあ最後にシャワータイムだー! そよか! お願い!」
「わかったわ!」
 そよかは白猫の呪霊を呼び出すと、天気雨を降らせた。毛むくじゃらの呪霊は嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「あ、そうだ! せっかくすぐるがいるんだもん、お友だちにならない?」
 そんなことをせいらが言い出す。
「あはは、喜んでだって! すぐる! お願いしまーす!」
 ……毛むくじゃらの呪霊に手を伸ばす。いつものようにきゅるりと球体になるが、いつもの黒い球体とはまるで違った。まるで青空を切り取ったような澄んだ水色。
 口に入れると爽やかなラムネのような味を感じた。
「お! なんだ苦戦してるっていうから来たのに。終わってたか!」
 悟が突然姿を現す。
「傑が手伝ったからか? 流石だな。最強!」
 私の肩に悟の腕がまわる。
「いや、もう私が来た時には終わっていたよ。彼女たちが祓う呪霊を呪霊操術で取り込ませてもらった」
 彼女たちが時間をかけて任務に取り組んでいた理由。私は少しも理解できていなかった。
「そうだったのか。そういやぁさ、取り込む時はいつも呑み込んでるよな? 呪霊に味ってあるのか?」
 不意に悟は、私に疑問を投げかけてくる。
「──私も今日初めて知ったんだ。呪霊の味を」
 私はずっと誤解していたんだ。誤解したまま自分を追い詰めようとしていた。
 水滴が頬を伝う──それはきっと天気雨を浴びたから。
「なんだよそれ?」
「任務も終わったし、帰ろー! お腹すいたよー!」
 両手を上げて飛び跳ねるせいら。
「そうね。帰りましょうか」
 濡れた髪を耳にかけ、控えめに微笑むそよか。
「またファミレスでも行くかー!!」

 私たちの日常は──今日も、
 これからも続いていく──。

 黎明編 おしまい