ミアキスの野望
いずれは花形役者間違いなし。しかし、それでも稽古をしなければ、きっとあっという間に次の有望株が現れて、蹴落とされてしまうだろう。そのためには、今から特別なスキルでも身につけておかなければ、と意気込むロイに。
「じゃあ〜、きまりぃ、ね?」
ロイの前にミアキスが一着の衣装を広げて見せた。
若草地の上着に、赤地に太陽と大河をモチーフにした……。
「男に二言あり、なんて言わないですよねぇ♪」
ミアキスの笑顔が迫る背後で、同じく笑顔のラハルががっちりと背後からロイを押さえ込む。
「オレの指南は厳しいからね。ちゃんと王女になりきれるまでは、かえさないよ」
と、低い美声でロイの耳元にささやく。
一瞬で、ロイの顔色は再び蒼白に変わった。
しかし、ラハルは嬉々としてロイを引きずり、ミアキスがしんがりとして笑顔でロイを脅しながら歩かせる。
「ぎゃああああ!!! はなせぇ〜〜〜〜!!」
ロイの悲鳴が城中に響き渡った。が、ミアキスとラハルの最凶タッグに挑むものはいなかった。