アイスクリーム・パラダイス
差し出されたアイスには、ご丁寧に濃紫のソースまでかけられていた。どうやら、こちらのソースは夏目から手に入れたらしい。
物々交換でもしたのかな?
伊達は思いつつ、アイスクリームに口をつけた。
作り方はかなり乱暴なのだろうが、それが却ってよかったのか、素朴な味に仕上がっている。
酔いの回った身体を冷やすには丁度いい。
確かにこれならば、これを腹に収めるために無事に帰還してやろうという気にはなりそうだ。
それにしても……俺って、ここに来ると必ずなんか食わせてもらっているような気がする。
伊達は少しばかり遠い目をする。
搭乗機ともども食事の世話をしてもらっているような気分になってきた。
たまには俺も納入しないと拙いよな。とりあえず、次の飛行演習のときには、やってみよう。そして、整備班に差し入れることにするか。
風に乗って運ばれてくる笑い声と涼やかな鐘の音を耳にしながら、伊達はそんなことを考えていた。
(2004.12.25)
作品名:アイスクリーム・パラダイス 作家名:やた子