二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

計画主任と私

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 しまった。不覚にも、すっかり失念していた。
 訓練など受けたことのない、銃もまともに持ったことのない自分では、はっきり言って護衛になどなりえない。しかし、なりえないからといって、ここで彼を独りで放り出すわけにはいかない。そんなことをして取り返しの付かないことになったら、母国の存亡に関わる。
「まぁ、たまには独りもよかろう」
 夏目の動揺を尻目に、宗方はさっさと彼を追い越して歩みを進めている。
「ちょっ……ちょっと待ってくださいよっ! そんな単独で行動されては危険です!」
 私も行きますからっ。一緒に乗りますよっ。
 慌てて彼に駆け寄って腕を掴んで引き留め、そう口にした瞬間、夏目は紛うかたなき地獄の魔王の微笑みを目にした。音をたてて血の気が引き、彼は立ち竦む。
「そうか。それではよろしく頼む」
 心底、嬉しそうな宗方の声も右から左へと抜けてゆく。
 は……嵌められた……。
 どう好意的に解釈しても、無理矢理好意的に思い込もうとしても、嵌められたとしか思えない。だが、既に手遅れだ。
 そして……己の粗忽さを心の底から呪いつつ、哀れな羊は涙に暮れることとなる。



(2005.6.5)
作品名:計画主任と私 作家名:やた子