兄妹のはなし
鬼道はかまくらが作られた方向に視線を移した。その中には監督や吹雪と共に彼の大切な妹がいるはずだ。
ああ、豪炎寺もそうなのか。
妹のためなら彼らはどんな苦境も乗り越えてしまえると、そう言っているのか。
――ならば。
「わかりました。ボクもキミを信じてみましょう」
きらりと光る眼鏡を引き上げて、目金は不敵に笑った。得意な表情だ。
鬼道も、当然だとでもいうようににやりと笑う。
いまはごたついている雷門イレブン。
だが、こうして少しずつ信頼の連鎖を広げていけば、きっと最高のチームが出来上がる。
いつか帰ってくる豪炎寺のために。
彼の前でも胸を張って笑えるように。
並んでいる雪だるまを見上げる。ぐるりと輪になっているイレブン。その日はきっとこんな光景に違いない。
目金はまぶしい日差しの下、遠いようでいてきっと近い未来にそうっと思いを馳せた。