二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みとなんこ@紺
みとなんこ@紺
novelistID. 6351
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

そうだ、ユニスタ行こう

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
・・・ああ、なんでこんな事に。





ハボックは足取りも重く、司令部内の広い通路を同僚達のたむろする大部屋に向けて歩いていた。
手には飼い主の判が入った、指令書を携えて。
・・・もう取りあえず誰でも良い。
何でこんな状況になったかオレが納得出来るように説明してくれ。



「・・・・・・。」



・・・はあぁぁぁあああ~・・・・

誰もいないのを良い事に、盛大に崩して溜め息を一つ。
「・・・煙草吸いてぇ」
…と言っても今は持ち合わせてすらいないのだが。
残念ながら、ここは飼い主の治外法権っぷりが遺憾なく発揮される東部ではない。
なので部屋に辿り着くまでの禁煙くらいしておかないと色々周りが煩い事になるだろう・・・って、いっそ吸っちゃって落とすか、評判。
あの人部下の管理も満足に出来ないんですよー、とか。

・・・所詮、思うだけの自分の犬体質が恨めしい。

「――――ん?」
今、何か見知ったものが通ったような。
角の向こうに消えたのは、一度見掛けると忘れないだろう凹と凸。


「・・・ッシュン!」


うわを。
まだ何も言ってないのに。
まぁ、くしゃみが出るのは噂されてるからだとか。何回出たら良い噂だの悪い噂だの。もしそれが本当なら、うちの上司なんて年がら年中くしゃみしっぱなしだろうなぁ。でもいつも静かだし。いらない事は言いまくりだけど。ああだったら、やっぱりアレ迷信か。
そんな無駄なことを考えながら角を曲がれば、やはり見知ったコンビで。

「よぉ」

何やら珍しく小声でこしょこしょ言い合ってる2人にのっそりと声を掛けてみたら、兄の方が何かあからさまに肩を揺らして微妙な顔で振り向いた。おいおい。
・・・まぁ、こちとら、ことエドワードからすれば非常にやっかいだろうあの上司の、直属の部下だし。
自分に知られれば十中八九居所がバレる。(何せ上への報告義務も絶対だ)どうもそれが嫌らしい。
何かまたマズイことでもやらかしたか、それともこれからやらかすつもりなのか。
・・・てゆーか両方かな。
意外と長きに渡る付き合いの中で、ハボックはごく自然と2人の態度から非常に正確に心情を推察していた。
時として子供らしかない言動を取る子供たちだが、こういう所は本人の自覚なく子供だ。判りやすい。
・・・というか大将。
別にオレに会わなくたって、たぶんあの人はある程度の居所は把握してると思うぞ。

知らない方がいいかもしれないけど。



そんな内心を余所に、対する兄の方は厄介なのに見つかった、とでも言いたげなのを隠さない。
ハボックも流石あの大佐が選んだだけあって、ぼんやりしているように見せかけて意外とそつがない。(失礼な)
ああ、ここしばらくまことしやかに囁かれているウワサの、ちょっとばかり情報収集と調べ物させて貰おうかとこっそり中央司令部に顔を出したのが、そもそもの間違いだったのか。
見つかりたくなかったのに。
あっちまで伝わるかなぁ。…伝わるよなぁ。
「こんにちわ、ハボック少尉」
ぐずぐずしてたら、弟の方がひょこり、と頭を下げた。
…別にあの上司と違って、ヤな相手ではないので一緒に軽く挨拶。
「・・・うす」
ちょっと警戒モードなんで、無愛想なのはごめんなさい。
でも、その辺りは元々あの男の部下の中でもずば抜けたアバウトさで流してくれた。
「久し振りだな、こっち来てたのか」
「今日の朝に着いた所なんです」
「図書館開いてなくてヒマでさ」
「ふーん。何か調べ物?」
「・・・ま、そんなトコ」
うわー、判りやすい。
「なんだよ、また何か胡散臭い事に顔ツッコンでんのか?」
思わず笑いながらそう聞いてやったら、子供は遠慮なしに眉を潜めた。
「胡散臭いのはそっちの上司だろ」
即答だ。
うわー超頷きたくねぇー・・・だが、違いない。
程度の違いこそあれ、お互い様々な煽りを喰らってきた仲だ。
ていうか、あの上司のよく判らない食指に引っ掛かってかつあんまり被害被らないのって、・・・ここじゃ豆・弟くらいじゃなかろうか。
「・・・今、何か言わなかったか?」
ちゃんとタブーワードに反応してる。
相変わらずイイ勘だ、大将。そう褒めてあげたい所だが、無駄に我が身が危なくなる事うけあいなのでスルーの方向で。
ていうか言ってない事が聞こえるようになったら本格的に危険だぞ。
そんな言葉にしないハボックの内心をよそに、間に割り込んだのはやはり気遣いの弟だった。
「もう、失礼だよ兄さん。大佐にはいつもお世話になってるのにそんな胡散臭いだなんて」
そんな今にも噛み付かんばかりの剣呑な視線でハボックを見上げる兄を宥めに掛かる、出来た弟。
ああ、何だかなぁ。久々に見るな、これ。
しかし、さすがあの人の無駄なちょっかいを受けない聖域だけはある。
騙されてるぞ、アルフォンス。
更に盛大に顔を顰める兄と似たような顔をしていたに違いない。アルフォンスは同時に2人に見上げられて、ええと、と踏鞴を踏んだ。
「ど、どうかしたんですか、少尉」
どうかした?
・・・どうかした、で済む話じゃないぞコラ。
とゆーか、よくぞ聞いてくれました。
自分がどんな顔をしたのかはしらないが、少なくともあからさまにエドワードの顔が引きつった。
ま、とりあえず。逃がさねぇぞ、兄弟。
「ここじゃなんだから、な?」
ついでだ。聞いてけ。
取りあえず聞いて貰う換わりに来た事黙っててやるから。おし、これで等価交換は成立だろ。

・・・ただし大佐に聞かれるまで、という注釈がつくけど。

縦社会で生きる身としてその辺の保身は目を瞑って貰おう、という内心は口にしないまま。
さて大部屋にお二人様ご案内。