そうだ、ユニスタ行こう
「・・・てことなわけよ」
ようやくありつけた愛しのニコチンをふかしながら、ハボックは地を這うような深い溜め息をついた。
周りにはちょうど休憩中のいつものメンツ+兄弟がたむろしている。
「嫌な頼まれ方だなー、相変わらず」
「あは、あははは・・・」
「ふむ、それで、その大佐は今どちらに?」
「つい先程、外回りに出られましたけど」
「「「「・・・・・・・。」」」」
「・・・・・・逃げられたかな」
「だああぁぁぁー!」
「あああ少尉、しっかりしてくださいー!」
「人に尤もらしい事いって押しつけといて、単に面倒だから自分が逃げたいだけじゃねーかー!」
「…そういえば先日、軍病院のナースと知り合ったとか話していらっしゃいましたが」
「ファルマン准尉も話蒸し返さないで下さいよー!」
「やってられっか畜生ー!!」
軽く阿鼻叫喚だ。
「・・・というか、久々だよね、こういうの見るの」
「その前に大丈夫か、ここ。こんなので…」
普段はむしろ率先して暴れている兄の台詞に、さすがにアルも言い返さない。
取りあえず、と一番手近で一人冷静に(慣れだ)事態を眺めているブレダの肩を突いた。
「んじゃ、オレたちもう行くよ」
「おう。どーすんだ、結局」
「何か情報貰おうかと思ったんだけど、いいや。先に噂になってる辺り2人で見てくる」
「噂の屋敷か? あそこマジできな臭いぞ。あんまり無茶すんなよ」
「判ってるよ」
「瓦礫にしちまったら後で掘るのが面倒なんだからな」
「そっちかよ!」
思わずつっこめば豪快に笑って見送られた。
「ま、あの人のお小言戴きたくなきゃ大人しくしとけ」
うわ、今の忠告、いままでで一番刺さった気がする。
…しっかし…。
「国家錬金術師見習い、なぁ・・・」
「一応元々軍属の人なんだよね。どんな人なんだろ」
「何にせよ、あの大佐の下に付くんじゃ大変だろ。ま、どっかで会う事もあるかもな」
行くか。
荷物を取り上げて立ち上がる兄について、弟も今だ騒がしい元・東方司令部の面々の部屋を後にした。
それから。
噂の『国家錬金術師見習い』とは、一悶着の中ですぐに顔を合わせる事になるとは知らずに。
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作品名:そうだ、ユニスタ行こう 作家名:みとなんこ@紺