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【リリなの】Nameless Ghost

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 アリシアはそう言って赤い宝玉を睨み付けた。マリエルは突然アリシアが声を荒げたことに驚き彼女に目を向けるが、アリシアは「何でもありません。レイジングハートとと少し意見のすれ違いがあっただけです」と笑顔で答え彼女の注意をこちらに向けさせなかった。
 アリシアとレイジングハートはミッドチルダの公用語で会話をしてない。それは、アリシアにとって長年慣れ親しんだ言葉、古代ベルカ語でされたものであるから、傍にいるマリエルであってもその会話の内容を理解できていない。

《However, it is Little Alicia. Only this make say.》(ですが、アリシア嬢。これだけはいわせてください)

「なに?」

《It agrees to me, too, about wanting to be in you. In your previous existence, there were too many weirs. Then, if you say that it was released, I don't have any more pleasure.
》(あなたが自分のしたいことをするのは私も賛成です。あなたの前世はしがらみが多すぎた。それから解放されたとあなたが言うのであれば私はこれ以上の喜びはありません)

「まだ、そうでもないけどね。ありがとう」

《However, if there is a thing as you deviate from the course in it, I have the all power of this body and stop you. We want to declare only it》(しかし、それでもしあなたが道を外れるようなことがあれば、私はこの身の全力をもってあなたを止める。それだけは宣言させていただきたい)

「そう、それはとても面白そうだよ。もしそうなったら、楽しみにしているね」

 アリシアはにっこりと笑い、少し上機嫌になって作業に戻った。

 それでも、アリシアは頭の片隅でこれを使用し続けることになる少女のことを思いやった。

(なのはは本当に天才だ。まさに魔法を使うため、魔導の道を歩むために生まれてきた人物だといっても過言ではないぐらいに)

 アリシアは込み上がってくる歓喜を押しとどめ、ただ機械的に端末を操作し続ける。

(高町なのはか……あの子は一体どういう遺伝子をしてるんだろう)

 彼女の指先がまるで精密機械のようにコンソールに舞い、それによって芸術的とも言える制御アルゴリズムがどんどん形を作っていく。

(優しい、慈しみがあり、そして意志が固い。そして、遺伝子に組み込まれた莫大な闘争本能と戦闘に関する絶大な学習能力がその感情を押し流して闘争という手段を執らせてるんだ。そう、そうじゃないと、未知の敵相手に逃げるという手段よりも攻撃する手段を真っ先に選択できるはずがない)

 彼女は白い幼子が戦場を飛び回る姿を想像しながら、彼女の思考を忠実に再現し攻撃のタイミング、判断速度とその選択基準をシミュレートしアルゴリズムの制御値を次々に変化させていく。

(本人は自覚していないだろうな……なのはの家庭には、何人か本式で人を殺してきた人がいるんじゃないかな?)

 彼女の目の動きは弾頭軌道であり、意識の方向は相手の未来の予測点である。半自動化しさせたイルミネーターの軌道予測アルゴリズムを修正し、それに乱数軌道アルゴリズムを付加させることでそれはまるで敵の背後を執拗に追い求める蛇の牙へと変貌する。

(とにかく、あの子は私の食指を大いに満足させてくれる狂気を身に宿していると言うことだね。うん、見てみたい。完璧な戦闘者として覚醒した彼女が理性を持って狂気を制御する。みんなを安心させる笑顔で戦場を飛び回るその姿を、見てみたいなぁ)

 アリシアの瞼の裏側には、数年後、十数年後の彼女の姿がまさに克明に映し出されていた。